Q **@@、とは?


「俺の幼馴染みだけど。…何、峰ちんも@@にべたべたしたいわけ?捻り潰すよ。ていうか峰ちん顔青くね」



「@@っちはかっこいいつか、かわいいつかこう…一言じゃ言い表せないんスよ!普段すっとぼけててかわいいのかと思えばいざってときはこう…!ああああもう好き!!てか青峰っち顔色悪いッスね」


「別にクラスが同じで席が前後なだけなのだよ。特別な感情はこれといって…なんだその訝しげな目は!なにもないったらないのだよ!気になったことすらない!…ゴホン、それより青峰、髪と顔の色が同化してるのだよ」


「敵をこれ以上増やしたくないのでノーコメントです。青峰くん、顔気持ち悪いことになってますよ」


「僕の伴侶だが?ところで大輝、体調管理を怠るなと何度言えばわかる」



どいつもこいつも口を開けば@@@@@@…それしかねえのか!

そんなことより頭いてえ。


青峰には悩みがあった。

近頃道行く全ての人という人が青峰は気になって仕方がなかった。綺麗な女の人を見ればおっ?と振り返ってしまうのは常だったが、今は綺麗な女の人に括らず男だろうが年増だろうが無意識に目で追ってしまう。誰彼構わず、というより健康で元気そうな人間を見るといいなあ、と思ってしまう。よくわからない悩みだ。


(そこまで飢えてねえぞ俺……)


青峰大輝、高校一年生。恋人ゼロ。経験ゼロ。
意欲はあっても相手がいなければてんで意味などない。


(頭いてえ……)


考え事なんて性に合わないことを連日し続けているせいか頭痛が耐えない。チームメイトに散々言われているので顔色の悪さも承知していた。
体調が優れないわけじゃない、ただ頭が痛いだけ。病院に行くまでもない。

幼馴染み兼、部活のマネージャーにありのままを伝えたところ彼女は胡散臭そうな顔で青峰を睨んできた。


「大ちゃんのそれはただ単に勉強したくないからじゃないの」
「何でここで勉強が出てくんだよ」
「あれっ、違うの?もうすぐだよ、中間考査。あ、今日みどりんたちが図書室で勉強するって言ってた行きなよ!」
「………ぐあああ!あ、頭が割れる!こりゃだめだ入院してくる!」
「病院なんかいかねえって言ったの誰」


すっかり忘れてた。






「サイン、コサイン?」
「インライン」
「……鳴くよウグイス」
「本能寺」
「………125+46-79は」
「ま、待て!!今数えるから…えっと、あれいくつっつった?」


緑間真太郎は呆れを通り越して絶望した。
目の前で単純な暗算をひーふーみー…と指折り数える@@を見て。


中間考査1週間とちょっと前。テスト期間のため全ての部活動は全面禁止。例外なくバスケ部もサッカー部も残りの期間を勉強に当てろということで誰もが最後の追い上げとして勉強に励んでいるわけだが。

追い上げどころかスタートラインにすら立つ気がない馬鹿がいた。


「よく一般入試に受かったものなのだよ…」
「俺頑張ったからな」
「何故それが中間に生かせない」
「馬鹿言え、覚えたもんなんか入試で全部忘れたわ」


胸張って言うことか。


「じゃあ@@っちも俺と一緒に補習決定ッスね!」
「ふざけんじゃねえまだやってもいねえ」
「じゃあこの前の数Aの小テスト、何点取れたんスか?」
「馬鹿にすんなよ!!!2点」
「マジスか!?俺でさえ6点ッスよ!」
「さすが俺」
「胸を張って言うんじゃないのだよ馬鹿コンビ!!」



「図書室ではお!し!ず!か!に!!」


ばぁん!と現れた司書に三人まとめていさなめられ、とばっちりをくらった緑間がすみません…と頭を下げた。周りの利用者がくすくす笑っているのが聞こえてきて緑間は今すぐここから逃げ出したかった。

「あのオバハンが一番うるせえよな」
「確かに〜」
「無駄口を叩くな。とりあえずノートを開け。まず英語からやるんのだよ」
「緑間、俺思うんだけどさ」


机に肘をつき、@@はやたらキリリとした顔で切り出した。
横にいる黄瀬が息を荒くしながら熱っぽく見つめているのからわかるように相当凛々しい顔である。視線をさ迷わせながら緑間はなにがだ、と問うた。


「数学なんか足し引き割り掛けできりゃいい。俺は日本人だ、英語がなくても日本語がある。国語ってなに。何で筆者の気持ちを考えなきゃいけない、意思とは!フィーリングだ!歴史?過去を振り返る暇があるなら未来を見据えろ!!」
「……教科書の32ページを開くのだよ」
「聞けよ」


「苦労してるようだね真太郎。僕が代わってやろう」


そっと緑間の肩の上に第三者の手が乗った。
振り向けば、鬼。



「赤司……」
「全く仕方のない奴だな@@。仕方ないから僕がつきっきりで、手取り足取り教えてあげよう。だから真太郎は帰っていい」
「…ありがたい申し出だが断るのだよ。一回引き受けたからには俺は退かん」
「遠慮しないで」
「断る」
「帰れと言ってるんだ@@を置いて」
「嫌なのだよ」



「国語くらいなら僕でも教えられますよ@@くん」


ラスボスの次は隠しボスの登場ときたもんだ。
儚げな笑みを浮かべて黒子がいつのまにかちゃっかり@@の向かい側の席を陣取っている。


「えー俺もう勉強したくなーい」
「もういいじゃないッスかー@@っちは俺と補習でランデブーするんス」
「空気とでもランデブーしててください黄瀬くん」
「ほんと黒子っちって@@っちのことになると辛辣ッスよね!」
「黄瀬くんがめげてくれれば言うこともなくなるんですけどね」
「ぜぇったいにめげねえ…!」
「くっつかないでくんないマジで」


「あーいたいたー」


間延びした声の主が遠慮なく@@から黄瀬を引き剥がし頭上から隠すように@@の上半身を覆ってきた。続々と集まってくる者達に緑間が遠慮無く舌打ちする。



「重い、敦」
「えー我慢してよ」
「やだよ」
「わっ、みんないる!」


@@は己の鼓膜を揺らした可憐な声を聞いて覆い被さる紫原を豪快に弾き飛ばした。むさ苦しいテーブルに天使がやって来た。@@がそう錯覚するほどに彼女は@@の好みど真ん中。


「も、桃井サン…!!」
「あ!テツくんもいる!…あ、**くん」


黒子を見つけた途端、彼女の表情はあまやかな恋する乙女のそれになるが目の前の@@を目視すると潤んだ瞳は逞しい女戦士の眼に一変する。


「負けないっ…!」
「桃井サンは俺と何故戦いたがるの…」
「テツくんがいるなら私も残りたいけど…!今日は用事があるし…!もうこんなときに限ってーーー!!!青峰くん!!」
「なんだよ」


悔しそうな様子の桃井は黒子を抱き締めながら図書室の入り口付近を振り返った。今にもそこから出ていきそうだった背中に向かって桃井はこっちきて!とがなった。司書の目がぎらりと光る。


「見張ってて!もう勉強とかどうでもいいから!」
「なんだよそれ!」
「テツくんと**くんに何かありそうだったら青峰くんが止めてね!いい!?」
「**…?」


めんどくさそうだった彼の目は一気に狙いを定める猛獣のようなものになった。それは@@も同じで、桃井とやたら親しいという話を聞いていたものだから初対面の彼に対し恨みのこもった念を向けた。



「「(こいつが……)」」



蚊帳の外だった黄瀬は後に語る。
二人の間に火花なんて生易しいものはなく、雷鳴が轟いていたと。
1
/ /
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -