突然赤司の視界が夜にでもなったかのように真っ暗になった。
怒りにかまけていたせいで赤司は受け身がとれない。
@@をつかむ赤司の腕を暗闇から出てきた何本もの真っ黒な手が掴んで無理矢理引き剥がし、赤司の身を突き飛ばした。
ついで周りを無数の呪符が取り囲み身動きを封じてくる。おまけに真っ青な狐火で二重のバリアだ。


「@@っちー!!!(バヂィッ)あいだーーー!!!」
「いい加減にするのだよお前は!」
「@@くん…大丈夫ですか…!」
「げほっ、オエッ!あー…ゲフッ、生きてる生きてる…」


「お前たち…」


今まで見たことのない鬼気迫る赤司の眼差しに全員が竦み上がった。
しかしここで引いてはなけなしの度胸を振り絞り、来るなと言った@@の言いつけまで破って来た甲斐などなくなってしまう。えづく@@を庇うように三人が立ちはだかった。


「死んでも止めるッスよ…!」
「ぶっちゃけ明るくて影少ないし僕もう無理っぽいです」
「少しは努力を…ええい赤司を退けられただけでも儲けものなのだよ」
「そうか、お前らも僕に逆らうんだな」


音もなく伸びる赤司の角。
赤司が右手を虫でも払うように降ると呪符も狐火も一瞬で消え去った。


「ギャーッ!やっぱ無理ッス!俺あれ結構本気だったんスけど!」
「つべこべ言わずに絞り出せ!」
「ラスボスにひのきのぼうで立ち向かう気ですか」
「助けに来たわりには弱気だなお前ら…」


首を擦りながら@@が3人の間に割り込んで赤司の前に立った。

「俺がやる、どいてろ」


息はまだ荒いが、やる気は十分にある。




「虫の息のくせに、よく言うよ」


赤司がつまらなさそうに呟いた。息がつまるオーラが嘘のように消え、赤司の角はみるみるうちに縮んでいった。


「興ざめだ。……もういい」

「あ、待てやてめえ!」


興味を失った赤司は何事もなかったように踵を返してに坂道の上へ歩みを進めていく。@@が何を言ったところで振り返りもしない。

「お前に否定されたら、もう僕に道はないんだよ@@」



最後の呟きは誰にも届かなかった。








「し!に!か!けーーーー!!」
「よく生きてましたよね本当…」


赤司が去ったあと、宙から垂れる緊張感という糸が全部ぶち切れ誰ともなく全員が青臭い原っぱの上にへたりこんだ。


「うぇええ@@っち無事でよかったッスー…!」
「うぜえひっつくな…あれ、お前なんともねえな」
「あれそういえば」


@@の結界が解けている。余計に黄瀬はよかったー!と叫び散らしてぎゅうぎゅう抱きついてきた。


「まったく不様だったのだよ」
「一番焦って「やっぱり俺はいくのだよ!」って言って飛び出したの緑間っちッス」
「言うな!!」
「驚きましたよ。言いつけも守れないんですか」
「途中で俺ら抜かして走ってった黒子っちに言われたくないッス」

「あー…まあ助かったから結果オーライ。……ありがとよ」



ああ!その一言だけで報われる!!!
ちぐはぐな3人の思考がひとつに纏まった瞬間。


「あいつさ…大丈夫なわけ?」
「殺しかけた相手の心配か。見上げた根性なのだよ」
「…僕、赤司くんのこと許しませんよ」
「んー…なんか、」


やばそうなにおいする。



正論はいづこ
(@@くんの首に…!!跡が…!!もう絶対に許しません…!!)
(あの、黒子の顔が怖いんだけど…)
(俺は止めんぞ、腹が立っているのは俺とて同じなのだよ)
(はぁあ…@@っちに抱きつける幸せ…)
(黄瀬今真面目なとこなんだけど)
8
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