「**ー赤司来てるんだが…」
「追い返せ今すぐに!」


多々良部長の言葉を聞いた途端@@は自分のロッカーに引きこもった。とんでもない発言から一夜。睡眠を挟みながら@@は考えた。

あの発言はなんだ。あの熱っぽい視線はなんだ。あいつ俺のことバカにしてたじゃん。意味がわからない。


ごちゃごちゃしたロッカーの中でごちゃごちゃ考えても結論は出ない。


いつのまにか外が静かになっていた。
多々良部長が追い返したか?と@@はそっと扉を開ける。


「やあ」


いた。


バン!ガン!!


反射的に扉を閉めたのだがすかさず割り込んできた赤司の足。
押し売り訪問販売のような図が一瞬にして出来上がり遠巻きにしていたサッカー部員たちがうわあ…と目を細めた。


「帰れてめえええーーー!!」
「帰らないよ。昨日の返事を貰ってない」
「知るか何それ!帰れ!帰りやがれ巨人の巣窟に!」
「ひどいな、あんな真剣にいったと言うのに」
「はあ!?」

「お前が欲しいと、言ったろ@@」


サッカー部員たちが吹き出した。笑いが込み上げてきたそれではなく。
一部の部員が飲んでいたドリンクで虹が出来ている。


「知りません!意味がわかりません!!」
「なら一から説明しよう。僕はお前が気に入った。生涯の伴侶としてお前が欲しい」



虹第二段。サッカー部の部室はまるで雨上がりの空のよう。


「僕の家にはしきたりがあってね。自分の力に見合う伴侶を見つけないと家が勝手に決めるんだ。でも俗世には僕に見合う奴なんか早々いない」
「知らんわ!勝手に見つけろ!!」
「それがお前なんだよ@@」


バキイッ!と音を立ててロッカーの蝶番が弾けとんだ。扉だったものはただの長い鉄板となり赤司に放り投げられる。
部室を埋め尽くす不気味なオーラ。@@以外の誰も気づいていなかったが赤司の足元にある影、その頭部から2本角が見えている。


「絶対ヤだ」
「すごいな、結構本気で圧力をかけたつもりだったんだが」


赤司の言う通りだ。
気を抜いたら全身がガタガタ震えるような気迫を彼は背後にまとっている。自由自在にそれを操って@@だけに脅しをかけてきているのだ。


「まあ一生の問題だし、答えを急いでもお互いのためにならないか」
「急ぐも何も俺の答えかわらないんですけど。第一俺男なんですけど」
「心配しなくても必ず落とす。それと、性別は大した問題じゃない。じゃあ僕も朝練があるから行くよ」
「二度とくんな!二度と!」


ぽん、と@@の肩に触れ部員たちに見送られながら赤司は颯爽と去っていった。
その背中を見送り、全員の視線は一斉に@@へ。しかも何故か拍手までされる。



「おめでとう**…」
「あー、あれだ、式には呼んでくれよな…?」
「ざけんな!!!!」





黒子テツヤは気づいていた。いいや何も彼だけではない。
誰もが気づいていた。赤司の異変に。



「どう思うッスか」
「危険としか言いようがないです」
「赤司は俺でも抑えられんのだよ」
「なんの話〜?」
「紫原っちおかしあげるから青峰っちと遊んでてほしいッス」


朝練が終わり、三人は顔を付き合わせてひそひそと話し合う。
昨日の一件から赤司の様子が一変した。紫原に@@の特徴を聞いたり、好みを聞いてきたり。とにもかくにも話題が@@なのだ。

まいう棒を青峰の方へ黒子が犬のとってこーいのように投げると彼はものすごい勢いでそれを追いかけてグラビアを真剣な顔で見ていた青峰に突進していった。


「でも@@っちのためなら…!俺赤司っちと戦うッスよ…!」
「まあ黄瀬くんが100人いても負けは確実ですね」
「ちょ、ちょっとくらいなら…」
「無理なのだよ。赤司は緑間家の総力をもってしてでも調伏などできん」


赤司が三人の正体を知っているように、三人も赤司の正体を知っていた。
そして彼がいかに危険であるかも。
日常生活で赤司が手加減をしていることなど誰でもわかる。それが本気になったら…


「嫌ッス!!赤司っちに@@っち取られたくないー!!」
「喧しいですよ黄瀬くん。だから今考えてるんでしょうが」
「とりあえず今は@@に注意を促すしかないのだよ。有効な手だてはこれから…」


「仲がよくて結構なことだな」



3人の肩が面白いほど跳ねた。筋肉が硬直して思うように動かない。
唯一自由が利くのは首くらいで、油の切れたブリキ人形よろしく振り返れば瞳孔をかっぴらいた赤司がオーラでジャージをはためかせながら立っている。これぞ王者の風格。


「面白そうな話をしてるじゃないか。僕も混ぜてくれないか」
「別に赤司くんには関係の…」
「無いこと、って?@@が関係してるならそうもいかないな」


彼は僕の伴侶だからね

さらりと繰り出されるとんでもない爆弾発言。


「はああああ!?」
「聞き捨てならないのだよ!どういうことだ赤司!」
「伴侶ってなんですか僕意味がわかりません」
「言ったままだが?ああ、これからは不用意に僕の@@に触らないでくれ。……まあ触れたら話だけど」


笑みを絶やさず赤司はさっさと着替えて部室を出ていった。
本格的にやばい…三人が焦り出すのは無理もなかった。



大胆不敵☆宣戦布告

(何様のつもりなんですか彼は)
(赤司様じゃないッスかね…うわ!黒子っち影出てる出てる!)
(やめるのだよ黒子!)

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