バカみたいに広い学校。アホみたいに多い生徒。
入学案内のパンフレットは紹介する場所多過ぎてもはやアコーディオンじゃんこれ。体育館二つもつくってどうすんだ…毎日運動会かよ…。
俺がいた中学もなかなかに大きかったが、こんな東京ドーム何個も収納できそうな場所じゃない。


「はなれた……@@と同じクラスじゃない…」
「まーこの数で同じクラスって難しいだろ」
「やだーーー!!@@と同じクラスがいいし!やだやだやだやだやだやだ!」
「うるさ「紫原っちー!!」」

昇降口の掲示板にどかんと張られたクラス割り。
アホみたいな多さの人口の中で敦と同じクラスになれたら奇跡に近い。俺はB組、敦はA組。隣のクラスなんだからそんなに離れてないとジタバタする敦をなだめようとしたらすぐ横からやたらキンキンした声がわりこんできた。

「あ…黄瀬ちん」
「おん?知り合いか?」
「うるせーから相手しなくていいしー」
「ちょ待っ!何スかその素っ気ない態度!」


人混みをかき分けやってきたのは金髪が眩しい、俺と身長がかわらない男。
折角掻き分けた人混みが何故またこいつを中心に集まっていくんだ?むしろさっきより増えたぞ。
女が。

「す、すいませんちょっと今は…」
「よし敦、俺はこいつの性質を理解した。行くぞ」
「うん」
「待って!行かないで!」
「うるせえ!イケメンは爆死しろ!」


俺は生まれてこの方モテた覚えがこれっぽっちもないので、こういう…なんかいかにも…いかにもモテてますって野郎が………死ぬほど嫌いだ。ていうか死ねばいいと思ってる。死んでくださいお願いします!
その点敦は安心だ。でかくて怖い、菓子ばっか食ってて怖い、何考えてんのかわかんなくて怖いとかよく言われてるから俺の仲間だ。うん天使。でもお前がバレンタインに女子からチョコもらってんの知ってるぞ裏切り者。


「ちょちょちょ!待ってよ!何で話しかけてる途中で行っちゃうんスか!!さっきちょこっと聞こえたんスけど、紫原っちB組?俺もなんスよー!」
「違うよ。俺A」
「あれ?聞き間違えちゃったッスかね」
「Bは俺だよ」
「え?そっち?」


頼んでもないのに追いかけてきたまっ黄色いやつは黄瀬涼太とかいうらしいマジで興味ない。
でもそういうやつに限って俺とクラスが一緒だった。マジで興味ない。モデルとかしててモテモテなんだってさ、クッソ興味ない。


「捻り潰す」
「え、えっ!?何でスか紫原っち!」
「何で俺が@@とクラス離れて黄瀬ちんが一緒なわけ。意味わかんないし、リフジン。だから、捻り潰す」
「@@…あっ、紫原っちの幼馴染みの!よく試合見に来てた人ッスよね、紫原っち痛い!ぶたないで!痛いっス!!!」
「うるさい」
「あれ、なんで知ってんの」

黄色いのの言う通り俺はよく敦の公式試合を見に行ってた。
敦がどうしてもと言うからだ。俺の部活が被らない限りは応援行ってたけどまさか気づかれていたとでもいうのか。


「アンタが来るときだけは紫原っち張り切ってたっスからー誰かはわかんなかったすスけど@@@@ってよく言って痛ァ!?」
「@@の名前気安く呼ぶのやめて黄瀬ちん」
「さっきから殴りすぎっスよ!い、いたっやめちょ」

よそで俺の事しゃべんのやめろよ敦…
馬乗りになって黄色いやつをガツガツ殴ってる敦から目をそらして俺は顔を手で覆った。恥ずかしかった。

「ひどい目に遭ったっス…」
「ハハッざまぁ」
「紫原っちの幼馴染みっていうからどんなのかと思えば…なんか納得したっス」
「どういう意味だ黄色いの」


入学式が始まってしまうため、嫌々と渋る敦を引き剥がし偶然通りかかった同じクラスになった中学の同級生とかいうこれまたでかくて黒いやつにつれていってもらった。敦は最後までぎゃあぎゃあ言ってたがまあしゃあないだろ。ところでさっきからメールがすごい。敦からだけど。

to@@
from敦
title なし

峰ちんより@@がいい


峰ちんってなんだ。峰のようにでかいチ○コのことか?


to敦
from@@
title Re

下ネタはやめろ


とりあえずメールを返す律儀な俺



「紫原っちスか?」
「ああうんまあ」

運の悪いことに黄色いのは俺の前の席だった。
いちいち振り返ってきてとてもうるさい。ていうか前向けよ。

続々と生徒が教室に入ってくる。中高一貫なせいかすでにあちこちで派閥が出来上がっていて、もしこの黄色いのに会わなければぼっち確定だったんだろうが…こいつじゃなあ…


「何スかその顔…」
「別に」
「折角同じクラスになったんだから仲良くしてほしいっスー!」
「やぁだ」
「すげえ笑顔!!」


ぶーぶー言ってる黄瀬の目線がふいに俺から俺の後ろに移ってぱっと笑顔になった。


「緑間っち!同じクラスだったんスね!」
「外れをひいたのだよ…やはりおは朝の占いで最下位だったのが災いしたか」
「皆ひどいっス…」


ちらっと後ろを見てみたらやたら肌の白い黒渕眼鏡のインテル入ってそうな男子がいた。手に持ってる針ネズミのぬいぐるみは…なんなの


「それ今日のラッキーアイテムスか」
「ああ」


ええ、通じんのここで


「…」
「……何」

インテルが何やらやたら睨み付けてきた。それも親の仇を見るような目で。針ネズミののかわいさとインテルの柄の悪さがなんともミスマッチ。
インテルは「いや」とだけ言って席についた。いやって言葉を区切った割りには背中に殺気を感じる。俺はこいつに何かしたんだろうか。

程なくして教室に全員集まったらしく挨拶もそこそこに全員が入学式のために体育館に召集された。
やっぱり全員集められると数が相当なのだが敦は一発でわかった。あいつでけえなやっぱり。向こうも俺に気づいたらしくぱっと笑顔になってブンブンこっちに手を振っていて隣にいた青くて黒いのが驚いた顔で敦を見ている。普通の敦見てたら考えらんないんだろうなああいうの…


「@@っちはすごいんスねー紫原っちがあんなになるなんて」
「おいなんだそのたまごっちみてえな呼び方」
「そうだ@@っちメアドとか教えてほしいっス!」
「おい聞けよてめー」

ほぼ無理矢理携帯を奪い取られ赤外線でメアドと電話番号をもぎ取られた。むかつくから黄色いので名前登録してやっからな。
式中は惰眠を貪ると言う大いなる野望に燃えていた俺だがやたら横からちょっかい出してくる黄色いのがうるさくてちっとも寝れなかった。
こいつさ…俺に恨みとかあんの




かくして俺の波瀾万丈な高校性活が幕を開けたのである。とでも締め括っておこう。


帰り、敦と帰ろうとしたらこいつまた肩になんか背負ってやんの…。


前途多難ってこういうこと
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