「@@ーどこいくのー!」
「辰也と遊んでくる!」
「遅くならないようにねー」


母に見送られながら家を出ていく@@。
異国でも友達を作ってくる我が子のコミュニケーション能力に驚嘆しながら母は息子の背中を見送った。





氷室は不思議な少年だった。

この国でも日本と同じようによくないものが少なからずいるのだが氷室の回りにだけは何故か寄ってこない。だから氷室のそばはいつでも眩しかった。
後々わかったことだったが氷室は紫原とは逆の性質を持ち寄せ付けない体質であったのだ。




家の近くの公園までいくともうそこには氷室がたっていて@@を見つけると手を振ってくれた。


「辰也!」
「おはよう、@@」
「バスケはいいのか?」
「さっきしてきた。今は@@と遊びたいし」


そう言ってくれる氷室に@@は感謝したい気持ちでいっぱいだった。
言葉の通じない国で唯一親しくしてくれる人物。まるで兄が出来たようで@@は毎日この時間が楽しみだった。
それは氷室も同じで彼ももう一人弟が出来たように@@を可愛がっていた。


その公園はよく猫が集まる、と氷室が教えてくれた場所。集会所になっている茂みの側に屈んで二人は猫を探し出す。

「そっか、@@はもうすぐ帰っちゃうんだな」
「うん、最初っからお正月までだったし」
「@@が帰っちゃうのはいやだなあ」
「俺ももうちょい辰也と遊びてえなー」
「言うなあ@@」



氷室は@@の頭をくしゃくしゃ撫でた。
照れ臭そうにやめろよ、と@@が言うのだが嫌がってはいないので氷室は少し細い身体を抱き締めた。


「帰らなければいいのに」
「たつ…あ、ミッシェルだ!!」


@@がじたばたしはじめたので氷室はそっと@@の体から腕を放す。支えがなくなったように寂しくなった腕と胸のなかの空虚に氷室は眉をひそめる。@@は氷室の背後からやってきたミッシェルーー先日の白い猫に向かい茂みの中へ一目散にかけていく。


「こい、こい!今日こそ!」
「ふしゃー!」
「……辰也ぁー」
「@@が怖い顔するからだよ」


@@にはやはり威嚇するのに氷室には擦りよっていくミッシェル。
嫉妬の眼差しを一人と一匹に投げ掛けながら@@は唇を尖らせた。
ミッシェルは氷室に顎の下を撫でられて気持ち良さそうに喉を鳴らしている。


「いいなあ辰也は。猫も犬もすぐなついて…」
「@@にだってできるよ」
「できねえもん。こんなに好きなのに」


ちぇ、と頬を膨らませる@@。
一瞬氷室の指の動きが止まりミッシェルがどうしたの?という顔で見上げてくる。
ミッシェルはそこにいるだけで無条件に@@に思われる。ミッシェルだけじゃない。彼のお眼鏡にさえかかれば、何でも。


「……ずるいな」
「え?なにが?」
「……なんでもないよ。それにしたって@@は本当にかわいいものが好きなんだな」



@@は満面の笑みを浮かべてうん!と頷いた。
かわいいものがすき、そういうと周りは男の子なのにと不振がるけど好きなものは好きなんだからいいじゃないか、と@@は開き直っている。
氷室はそれを否定しないので@@にとっては一緒にいて気を許せる珍しい人物だった。



「かわいいの大好き!猫も好きだけど犬も好き!」
「@@は猫に似てるよね」
「…そんなことない。似てたら仲間じゃん。こんなに引っ掛かれない」


そっと@@がミッシェルに手を伸ばすが噛みつく勢いで歯を剥き出されたのですぐに引っ込めた。


「@@は触り方が乱暴なんだよ。こうやって…」


氷室はミッシェルではなく@@に手を伸ばした。
白い喉元をミッシェルにするように優しく撫で上げると@@がにゃっ!と本当に猫のような声を出して氷室は笑った。


「くすぐったい!」
「でもこんな感じだよ?」
「えー?んー…もっかいやってみてよ」


ん、と喉を差し出す@@に氷室は知らず知らずのうちに生唾を飲み込んでいた。けどやっていいというのなら、躊躇う必要はない。
再び手を喉に伸ばし肌の感触を確かめるように撫でたり、指先で掠めるように喉を撫でた。


「ん、」


氷室は@@から目が離せなかった。
くすぐったさに身をよじりながら唇を引き絞り、頬を紅潮させながら@@は小さく震えている。
猫や犬には感じない可愛い、という意識が氷室のなかで急激に成長していった。
最初は喉だけだったのに、肩や脇腹、腿を撫でていくうちに@@が音をあげる。


「た、たつや…!へん、だから、やめ、ろ…!」
「大丈夫、だから」
「なに、んっぁ」

自分でも何故大丈夫なんて言葉が出たかはわからない。考える余裕もない。内股を撫でたとき@@が一層高く声をあげて身体を戦慄かせる。
その反応がもっと見たくて氷室は一心不乱に@@の身体に触れる。
時々焦らしたり、強く触ったりして緩急をつければ@@は余計高く鳴く。

「や、だぁ…辰也ぁ…!」
「@@…」
「ん、う、うーっ!!」


胸の辺りを撫で上げられた瞬間、@@はまたに何かじわりとしたものが広がる瞬間を覚えがばっと飛び起きた。
はね除けられた氷室が驚いた顔をしているが、@@の赤かった顔がさーっと青くなっていくのを見て首をかしげる。



「@@?」
「帰る!!!!!」
「あ!@@!」
4
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