迸る水飛沫。
水中から飛び出した手が行き場を探してさ迷っている。
岸の草をつかむと@@は口に入った水を吐き出した。


「ここ深い!ちょっと手貸しなさいよ!」
「そのまま沈めばいいのだよ」
「お前殴るぞ」
「その状態で?まず上がってから物を言え」


見下ろすのは気分がいい。相手が@@だとなおのこと。
麒麟の気配はもう微塵もなかった。雷雲も@@が麒麟を沼に沈めた瞬間勢いよく散り、今は青空が広がっている。


「無様だな。仕方ないから情けをかけてやるのだよ」
「お前ほんっとーにやなやつだな…」


仕方なく手を伸ばしてやると@@はしかめっ面でその手を取った。
ぬかるんだへりに足をかけて上がろうとした瞬間、ずるっと足場が崩れて@@は引き上げられながら緑間を押し倒した。

どしゃ、と二人揃って倒れ込みじんじんする背中の痛みを緑間が訴えようとしたときぽたりと@@の髪から緑間の頬へ水滴が落ちた。


しっとり濡れた体。濡れた髪が張り付いた首筋のなんと扇情的なことか。
自然と緑間の瞳が見開かれる。




「お前やるじゃん。見直したよ」

息が詰まった。
麒麟を前にしたときとは別の意味で。
向けられることなんてこの先なかっただろう@@の笑顔が向けられている。
体が強張って背筋が粟立つ。こんなやつに誉められても嬉しくもなんともない!これは拒否反応の現れだ。


そのはずだ。


「っ…!!」
「おいお前顔真っ赤だぞ」
「うるさい!」
「いったぁ!!」


@@の脇腹を蹴り上げ横に転がす。手で火照った顔を冷やそうとしたが手まで熱を持っていて下がるどころか体温は上昇していく一方だった。

こんなやつに。

こんなやつで。


「……っ、認め、なくもない」
「うううぐううおおおいってぇえ…!ええ?なんかいったぁ?」
「何も言っていないのだよ!」
「いった!また蹴るしなんなのお前!?」






敵意の行方
(ていうかこれからどうしよう。神様殴っちゃった)
(バチが当たってもおかしくないな)
(とりあえず祠とか作るか…ここの壊れてたし)
(……手伝って、やらなくも、ないのだよ)
(え、いいよどうせお前俺といたくねえだろ)
(…!!)バシッ
(いてえよ!何で叩くんだよ!!)
5
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