「お前……!!何故ここにいるのだよ!」
「安心しろよ死んでもお前のためじゃねえから」
「なに…?」
「心優しーーーーいてめえの友人がお前だけは助けてくれとよ」


リフティングで頭上に放りあげたボールを器用に頭の上でキープしながら@@はいーっと緑間に舌を見せた。



「高尾、か」
「だからお前のためじゃねえよ」
「…っ引っ込んでいるのだよ!高尾がどう言おうと俺は俺で」
「ちょっと引っ込んでろ」


@@の頭を離れたボールは強靭な脚力で蹴り飛ばされ緑間のすぐ真後ろにいた麒麟にヒットした。


「俺は俺で何ぃ〜?死んじゃうかもよ〜?」
「いちいち腹の立つっ…!!」
「俺はお前のために来たんじゃなくて高尾のためにきた。お前もそれでいいじゃん」



「高尾のために俺と手ぇ組めよ」



さすがにあれは俺一人じゃ無理だわ、と@@は顎で麒麟を指す。
一人どころか相手は神だ。二人でもどうにかなるか

そこまで頭のなかで言いかけて、緑間は考えるのをやめた。



利用すればいい。高尾のためで利害が一致しているなら。こいつに引けを取る必要なんてない。迷っている暇なんかないのだから。
ふてぶてしい態度の@@を睨んで緑間は真新しい何も書かれていない呪符を取り出した。


「貸しは高尾に作れ」
「そのつもり」






@@の戦い方は破天荒、傍若無人その二言さえあれば十分だった。


「これで神様ぁ?笑わせんなアーッハッハ!!」


殴る、蹴る、ボールをぶつけるの暴力のオンパレード。
罰当たりなんて言葉じゃ済まされない暴言を吐き@@は麒麟を挑発し続けた。もちろん、麒麟は黙っていない。
長い角で@@を刺し殺そうと突進してきては緑間がすんでのところでそれを呪符で防ぐ。


「煽るな!!」
「いいんだよこれで!」
「いいわけがないのだよ!!」
「もうちょい…!もうちょいだ!とにかく呪符作れ!!」


@@も息が上がり始めている。
緑間を@@が守り続けるだけでなく、呪符を書く邪魔を麒麟がしようとすれば緑間を守るのは@@が担う。
チョロチョロと動き回る@@に痺れを切らした麒麟は角を天高く掲げた。頭上の雲の隙間から白い光が覗き腹の底に響くような音がし始める。
次の瞬間、@@の足元に轟音とともに稲光が走った。



「だぁっふ!あぶね!」
「だから煽るなとあれほど…!」
「最終奥義だろこれ。これでいいんだよ」


走り出した@@は転がっていたボールを再び蹴り上げものすごいスピードで麒麟めがけて飛んでいく。命中。ガッツポーズ。


「こりゃくるな」



肩で息をしながら@@は上を見上げた。尋常ではない雷雲が辺り一体を埋め尽くしていた。次の一撃はここら一帯を吹き飛ばす勢いではないだろうか。


「緑間ァ!呪符いっぱいある!?」
「多少は…何をするつもりなのだよ!」
「次で決める!あいつの動き5秒でいいから止めろ!」


@@と同じく麒麟も消耗しきっていた。
無駄に暴れ、力を使い動きが鈍ってきているのは緑間からでも伺えた。
汗でずりおちてきた眼鏡を押し上げ雷光にレンズを光らせながら緑間はなめるな、と呟いた。


「15秒止めてやるのだよ」
「さぁっすがー…俺絶対無理だわ」



麒麟の角に光が集まった瞬間、@@が駆け出す。同時に緑間が作った呪符を全て放つ。書きためたおかげで最初とは比にならない数だ。
呪符が障壁のように麒麟を取り囲み動きを完全に止めた。雷雲が静かになっていく。
麒麟が暴れているのは強く握りしめた拳から伝わる、呪符が弾かれていく感覚でわかった。あと8秒。



「調子乗ってんじゃねえよ!!!」



強く地を蹴り、@@が神の目の前に飛び出した。
握りしめた正拳が麒麟の鼻っ面に食い込み、ぐしゃあ!と嫌な音がした。
長い四本足が倒れまいと踏ん張っていたが@@は容赦なく押し出し、麒麟もろとも沼に落ちていった。


@@が思いきり、麒麟の顔を殴り付けたとき緑間はふと思い出した。
今日のおは朝の占いを。



「一位は乙女座のあなた!人助けをすると超ラッキー!!尊大な態度でいるとどんな強い人も怯むかも?ラッキーアイテムはあなたを嫌っている人です!」



やつは、乙女座だった。
4
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