次の日、失踪者は増えていた。女生徒、ということだったので昨日目の前で消えた彼女で間違いないだろうと@@は踏んでいた。次々に犠牲者が増える、とついに学校に警察が介入。あちこちで見かける警官の姿に生徒たちは戦々恐々。
また黄瀬が騒ぎ立てるかと思えば、今日の彼は深刻そうな顔で静まり返っていた。@@をじっと見て、やばいッスとだけ呟く。


「何が」
「昨日いなくなったの、二人なんスよ」
「ああ?そうなの?」
「うちの部の…マネージャーで…桃井っていう人なんスけど」


桃井。@@も名前だけは知っていた。
何せ噂のミス帝光。そんな美女とかかわり合える黄瀬にヘッドロックをかけた記憶もまだ新しい。悪い評判は一切聞かない。そんな彼女までもが行方不明。

「桃っちは何も言わずにいなくなるような子じゃないし、やっぱり巻き込まれてんスかね…青峰っち…あ、桃っちの幼馴染みなんスけどその人も態度には出さないけど心配してるし…」


親しい人物が狙われるとは思わなかった、と黄瀬はやりきれない顔で前髪をかきあげた。
@@は黄瀬から視線を外して少し考え込んだ。
立て続けに二人、犠牲者はあわせてもう4人にも上っている。
その現場にも居合わせてしまった。いくら警察が介入したところで無駄だと誰よりも@@がわかっていた。


「……言っとくけどお前の為じゃねーからな」
「え?何がッスか」
「女の子のためだからな」
「だから何が!?」


俺が動くのは女の子のためだ。
@@はそう結論付けた。








「臨時休校っスかぁ」


その後、学校側が臨時の保護者会を開くとかで授業は午前で終わってしまった。部活動も禁止。寄り道せずに帰れと教師たちが目を光らせている。

「@@っちー帰ろっスー」
「俺やることあるからお前先帰れ」
「ええ?何でっスか。早く帰んなきゃいけないんスよ」
「俺はそんなルールには従わねえ…ルールとは何だ!俺がつくるもんだ!」
「や、やだ…かっこいいっ…じゃなくて!何かあるんスか?」




紫原っちが黙ってないと思うッスよ、という黄瀬の意見はまさに珍しく正論だ。
曖昧にはぐらかせば紫原はむきになって、てこでも@@から離れようとしないだろう。んーと@@は唸りながら少ない脳みそを回転させ、ひとつの結論に達した。


「そうだ黄瀬、ちょっと敦連れて帰ってよ」
「はあ!?いやッスよ!帰るなら@@っちとがいいッス!」
「お前狐なんだから化けるくらいできんだろ。俺に化けろ」
「そりゃ出来るッスけど……」
「うまーく敦誤魔化しといてくれれば明日弁当作ってきてやる」
「えっ」


べ、弁当?
うん
俺に?
うんお前用


「任しといてほしいッス!!」


お前ちょろくて助かったわ。@@は心の中で呟いた。
4
/ /
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -