「ツモ…」

「あー!!また負けた。なまえはほっんと強いな・・・」

「まだまだだよ。」

「はははっ!こう言う時は、自慢していいんだぞ」


小さい頃から近所仲が良いなまえと南郷はよく大人たちに紛れて麻雀を見ていたりしていた。
南郷より5つほど下のなまえは南郷と一緒に卓を囲んだこともあった。
もちろん、なまえは一人ではできなかったので何時も南郷とやっていた。

そして、月日が流れると自然と大人たちの集まることが少なくなり、
麻雀を次第にやらなくなってきた。

しかし、南郷は昔以上に麻雀にはまり、雀荘を駆け巡っていたりしていたり、
なまえも一人前に打てるようになっていたから、大人たちを無理矢理誘い
やっていたりしていた。

そして今は面子が揃わず二人だけの麻雀。
一応ルールも考えてあり、
ロン禁止でツモのみ。2飜、3飜縛り。
というような、ルールを決めていた。


「あーだめだ。」

「終わる?疲れた?」

「うん、終わろうよ。なまえ疲れてないのか?」

「…うん。」

「すごいな。ここ数時間ぶっ続けだぞ。休憩だ!休憩。」


南郷がコタツの中で足を伸ばしそのまま中に首まで入れて寝転ぶ。


「あったけー」

「こんなところで寝てたら、風邪ひいちゃうよ」

「大丈夫だよ。風邪ひきそうになったらなまえを抱き枕にして寝るから」

「……冗談でしょ?」

微妙な空気が流れる。

「あ…ははは、そううだよ、冗談だよ」


昔からの付き合いだからというもの、南郷はなまえに好意を抱いていた。
が、彼女は南郷はただの近所の「お兄さん」と言う事しか考えてないため、
たまに、南郷が一緒にくっつくような事を言うと、嫌な顔をする。

決まって「冗談でしょ?」と問いかけてくる。
その度に、南郷は「冗談じゃないよ。本気(マジ)だよ」と言いたくて仕方がない。
が、言えない。
言ったところで、もしあれ以上の嫌な顔をされ、さらに今後の一緒に麻雀ができなくなってしまう。
なんてことが南郷は怖かった。


「(…気持ち、伝えられないよな…)」


南郷も南郷だが、彼女もとても面倒くさい性格で、
無口、というのもその一つだが、人見知りが激しくどうしても仲良くなれるひとが
限られてきてしまう。
そのため、周りの知人は彼女を毛嫌いし、彼女も周りの知人たちを毛嫌いしていくため、
恋人はおろか、友達さえ居ない。
唯一、麻雀を打っている間は人が変わったように楽しんでやるのが
終わると、黙ってしまいただ、ボーッ。としているだけだった。


「…なぁ、なまえ。」

「??何?」

「お前さ、最近外出てるか?」

「出てるよ、雀荘に昨日も行ったし。」

「…違う。夜じゃなくて、日が出てるとき。朝とか昼」

「昼は無いけど、朝方に帰ってくるじゃん。」

「…なまえ、」

「なに?」

「・・・・・もう、」


もう雀荘なんて行くな。
これを言ったら彼女はなんて言うだろう。
と、言いかけて言葉が詰まり、頭の中がぐちゃぐちゃになる。


「どうしたの?何か言いたい…トイレ?」

急に立ち上がる南郷に軽く受け答えをするなまえ
しかし、南郷はトイレに立ち上がったのではなく、デカイ図体をドカドカと歩かせ、彼女のそばまで来て、細い彼女の体を抱きしめた。

「煤I!!い、いやぁあっ!!」

びっくりして、なまえは南郷を突き飛ばす。

「な、なんで…なんですか!」

「あ、いや…悪い…」

「どうして、男の人って…こう、急に…抱きついたり、手を握ったり…なんでそんなことするのかがわかりません!!」


なまえの目頭が熱くなり、そのまま涙を流した。
彼女が泣く事など見たことの南郷にとってはびっくりするようなことだった。
鼻をすする声が続く。
南郷は何も出来ず、ただただなまえの泣いているのを見ているだけ。

声をかけようにも、どうしていいかわからない。
先ほど彼女が言った言葉もストッパーになってしまう。


どうして男の人は急に抱きついたり、手を握ったりしようとするの・・・?


しかし、南郷は答えられなかった。答えを知らなかったのではなく…
答えてしまうと、彼女はもっと混乱してしまうのではないのかと、
思ったからだ…


「ひっく、、うっ…」

「・・・これ、」

「・・?」


南郷がこたつ机の上に置いてあったドロップ缶からハッカ味の飴を一つとりだし、
彼女に差し出した。
キョトンとしたが、なまえはゆっくりと南郷の手から
ハッカ味の飴を取り、口の中に含んだ。


「美味しいか?」

「。。。(コクっ)」


首を縦にふり、歪ではあったが笑顔を見せた。
その笑顔を見ると、南郷もドロップ缶から飴を出す。
コロンと、出た飴の色が鮮やかなピンクだった。


「んっ、いちご!いいなぁ!」

「じゃぁ、これも食べるか?」

「でも、口の中にまだ入ってるし・・・」

「代わりに食べてやるよ。昔からよく交換してたろ?」

「…うん、じゃぁ。」


べえっ、と口の中に入っていたハッカ味の舐めかけの飴をとり、
南郷に渡す。
と、同時に空いている方の手でいちご味の飴を口の中に含む。
食べかけのをもらった南郷は何も言わずそのまま口の中に含んだ。

なまえの唾液とハッカ味が混じった変わった味が一瞬したが
ハッカ味の飴は南郷の口の中を満たした。






ハッカ END



キリ番おめでとうございます!
揚羽様お待たせしました!!

南郷さんのシリアスということで、書かせていただきました!

最後の方少し汚い描写がありましたが、吐き気等起こってないでしょうか?
言い訳をいうとですよね、どうしてもシリアスって
こういう表現がしたくなってしまいがちなんですよ…

かつ、南郷は相手の女性はとっても大好き、かつ、大切にしたい!ってのが強そうな
感じがするのでこのようなものになってしましました…

ちょっと話のまとまりがあやふやで読みにくかったかもしれません…
すみません…

あんまり誤ってばっかりだといけないんでね!
キリ番のリクエストありがとうございました!!!
引き続き、壱李ンスの神様、お楽しみください!
またのリクエストお待ちしております!!




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