「アカギ!おい、アカギ!」
「・・・?どうしたの、南郷さん・・・」
「いや、死んだように寝てたからよ、ちょっと怖くなってな・・・」
「クククッ、大事な人に会ってたんだよ。」
「・・・大事な人って…ん?」

南郷が自分に指をさす。
アカギはニヤリと口角をあげて笑う。




―あれは、ずいぶん前のことだった…
チキンランをして、雀荘に逃げ込んで「南郷」って男にかくまってもらった…
その日からなんか変な夢を見るようになった。

「・・・(また、おんなじ夢)」

目を覚ますと鳥の声が鳴いている。

「・・・はぁ」

夢の内容は毎回同じ。
気がつくと、真っ白な何もないところにアカギがポツネンと立っている。
そのには何もなく、ただ一人だけ。
何もないところなのに、突然一人の少女が現れる。
その少女は白いワンピースを着ている。
アカギがその少女に近づこうと、歩くがいっこうに近づけない。
歩く速度がどんどん早くなる、が近づけない。
疲れてしまい走りを止める。
息遣いが荒いまま、ゆっくりと目を覚ます。

額には軽く汗をかいている。
走っても近づけない謎の少女もそうだが、
なぜアカギがあのような場所にいるのかも疑問になる。

気になって南郷に相談しようと考えるアカギ。

この時代、携帯なんてないから自分の足で南郷のもとへと行く。



「やぁ、南郷さん。」
「煤Iアカギ!?」
「やっぱり、ここに居たんだね。南郷さんは探しやすいからいいや」
「どうしたんだよ!…ん?」
「南郷さんにあってからさ、変な夢見るようになったんだよね・・・」
「??変な夢?」
「うん。」


夢の内容を話す。
南郷は、アカギの話を疑心暗鬼で聞いている。

「―なんだよね、」
「うーん…毎日か?」
「ほぼ、毎日かな。南郷さん夢占いできる?」
「そんなのできるわけねぇだろ?」
「ククク、だよね。」
「謎の少女か…もしかしたら、アカギの姉貴だったりしてな!」

あっはっはと笑うと、アカギがムッと怒り南郷を蹴る。

「いてっ!何すんだよ!」
「蹴ったんだよ。」
「蹴ることはねぇだろ?」
「ククク、俺には、姉貴なんか居ないよ。もちろん妹もね」
「そうか、」
「南郷さんには?」
「俺か?俺は、姉貴が一人いるけど・・・もうずいぶん前に死んじゃったけどな」

アカギが少し暗い顔になった。

「あ、すまんすまん。そんなに悲しくなるなって。アカギは関係ないだろ?」
「…ねぇ南郷さん、南郷さんの姉貴って髪短い?」
「え?あ、あぁ…短かったぞ。」

夢に出てくる謎の少女の髪型は確か短かった。

「白い服着てた?」
「あー、確か好きな色は白だったな」
「・・・名前ってなんて言うんですか?」
「名前は、なまえだよ」
「なまえですか…」

もう一度確認するようになまえの名前を確認する。

「・・・アカギ?」
「もしかしたら、その南郷さんの姉貴かもね」
「え?!どうして?なんで、俺の姉貴が?!」
「さぁ?でも、今日寝て聞いてみるよ」
「・・・(そんなことできるのか・・・)ι」

南郷と別れたアカギは、早速寝る準備をした。
まだ、寝るのには到底早い時間だが、アカギは寝ようとした。
布団に入り、目をつぶる。。。

が、当然まだお昼。
寝れるわけがない。


「・・・(寝れない…)」

布団から起き上がり、薬の入ってる箱のなかを漁る。
なかには、睡眠薬が入っていた。

「よしっ」

錠剤を正しい数だけ飲む。
あんまり飲みすぎて、死んでしまうのはごめんだからだ。

「よし!」

自信満々にアカギはもう一度布団へ潜り込む。



時間が経つ音だけが、部屋を響かせる。
が、いっこうに寝れないアカギ。
どうすることもできないアカギは、布団から起き上がりため息をつく。

日の光が部屋をさす。まだ、時刻はお昼。
3時が食べれる時刻を回っていた。
アカギは半分諦め押入れの中から麻雀牌を机の上にだし
神経衰弱のようなのを始めた。

頭も使うため、眠くなるだろうとアカギなりに考えた遊び。
だが、相手が自分対牌なため、最初は面白かったがやり続けるとつまらなくなってくる。

神経衰弱のルールを難しくしてみたいするが、
眠気より頭が冴えてしまい、盲牌でやってみても結局同じこと。


「・・・あ、終わった。ふぅ・・・」

牌を片付けず、そのまま床にごろ寝する。
すると、なんだか眠くなってきた気がした・・・

「……」





気がつくとアカギは夢の中にいた。
それも、何時も見ている白い空間にポツネンとただずんでいた。
周りを見渡すと、何時もの謎の少女が立っていた。
何時もと変わらず、白い服にショート髪型。

「・・・なぁ」

歩く事もしず、アカギは少女に向かって話しかける。
いつもは、動かない少女もどこか首をかしげたように見えた。

「…なぁ、お前さなまえ?」

「・・・・」

「なんで、俺の夢に出てくるの?」

「・・・・」

「・・・なんか、答えてよ」

「どうして、私の名前を知ってるの?」

「今は、俺が質問してんだけどな。」

「あ、そっか。ごめんね、私せっかちなんだ。」


今まで、近づけず何も話さなかった少女の性格が南郷に似ているため、
思わず笑ってしまったアカギ。

「あら、面白かった?」

「いや、兄弟だなって思ってよ。なぁ、近づいてもいいか?」

「・・・・・・いいよ、でも、がっかりしちゃうからあんまりおすすめできないかな。」

「わかってるよ。あんた死人だもんな。」


アカギがゆっくりと、歩き出す。
今度は、少女が近づくのがわかる。


「…弟は元気?」
「あぁ、死線をくぐり抜けたりしてるよ。」
「やっぱり、博打はやめておきなさいって言ってたんだけどね…」
「ククク、なぁあんたはどうして、俺の夢に出てくるようになったんだ?」
「弟の夢に出てきても、弟は気づいてくれなかったからよ…」
「…俺と、南郷さんが接触したのを利用したのか?」


今まで、間近で見れなかった彼女の顔がしっかりと見えるところまで来れた。


「……」
「あら?あまりの附子でびっくりしちゃった?」
「―いや、逆だよ…綺麗すぎてびっくりした」
「あら、うまいのね。」
「本当のことを言っただけだよ。…なぁ」
「?・・・何?」
「なんで、俺なんだ?他にも居ただろ?ましな奴が…」
「だって、あの性格だからね。貴方みたいに安全っぽそうがいなかったのよ。それに、色々と試してみたけど、貴方がちょうどよかったのよ。迷惑だったかしら?」
「とってもな…」
「ごめんなさい。でも、貴方しかいなかったのよ…」


なまえの目から涙が溢れ出すのがわかる。
アカギは何かの衝動に駆られるように、彼女の手を握っていた。


「・・?え・・・?」
「俺が、泣かせてるみたいだし…泣くことないよ。俺が、伝えておくから…その、その。。。なんだ、そのかわりさ・・・」
「??」
「また、…また、今度俺の夢に、あんたが――」





急に眠気がなくなってしまい、目が覚めてしまう。

「。。。」

周りを見ると、机の上には牌が散乱している。
外は薄暗く、時刻は7時あたりをまわっていた。

アカギは、寝ぼけている頭を無理矢理起こし、南郷を探した。
外に出て、初めて会った雀荘へ行く。

すると、運良く南郷が雀荘へ入っていくのが見えた。


「南郷さん!!!」

「??ん?・・・アカギ?」


走るアカギにびっくりする南郷。
思いっきり走ったせいか、アカギは息切れしていた。


「ど、どうしたんだ?!そんなに慌てて…あ、もしかして安岡さんからもう連絡はいったのか?!」
「はぁ、はぁ…ビンゴだった。」
「え?」
「やっぱり、南郷さんの姉貴、なまえだったよ…はぁ、はぁ・・・」
「え・・・嘘だろ?」
「ホントだよ、あんたが博打なんてやってるから、心配であの世にもいけねぇみたいだぞ・・・」
「・・・そうか。ありがとな、アカギ。」


アカギがはぁーと、大きく深呼吸をし体を起こす、


「別に、いいですよ…今度、お墓参り連れてってくださいね」
「あぁ、わかったよ。」


二人には見えていなかったが、二人のそばになまえも一緒にいたことは、黙っておきましょう。


その日の夜、
アカギはもう一度同じ夢を見た。
そして、アカギは夢の中でなまえとおしゃべりを楽しんだ。




―ずいぶん前のことになるが、それからというもの
毎日のようにアカギはその夢を見ている。

「アカギ、また寝るのか?」
「寝るよ、だって、なまえに会いたいもん」
「うーん。。。そう毎日会ってもな・・・」
「なに、南郷さんシスコン?」
「ち、ちがう!!」
「クククッ、どーだか。」
「からかうな!!」

笑うアカギ。困る南郷。
その二人を遠くの空の彼方、そして夢の中で見ているなまえも楽しそうに笑っていた。





泣き虫ピエロ END



お題企画の夢文が完成しました!!
えーっとですね、南郷さんにお姉さんは確かいなかったはず・・・
多分ね・・・

そんでもって、今回は甘いとかしょっぱいとか恋愛ものより、
普通の文章といいますか…
夢の中の彼女に気になってるアカギという感じでね。

泣き虫ピエロってのは、
泣き虫な南郷の姉(なまえ)が、弟をずっと見てあげたいけど死んでしまったので、
ピエロ(不思議な存在)として、夢に出てきた。
というような、解釈してくれるとたすかります。

はい、中2ですよ。
中2病ですよ。どうでしょうか?

最初と最後の会話は、しげる君(19)っぽいやつです。
はじめは、赤木さん(神域)にしようとしたんですけど、
赤木さんにしてしまうと、南郷さんの存在が薄れてきそうだったのでやめました。

あーこうやって、反省を書いていると、言い訳ばかり思いついてしまうので、
ここらへんでやめておきます。


二人三脚のかけら様。
お題ありがとうございました!
二回目があるのを期待しています!





アカギ 泣き虫ピエロ
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