ここ最近、みょーな奴に気に入られているというか…
何と言うか…まさか、ストーカーじゃねぇよな…
金返せねぇあまりに、おかしくなって逆に俺を怖がらせようとしてんじゃねぇだろうな…

と、変な感覚に陥ってしまうくらい最近遠藤の周りで妙な奴がうろついていた。
そして、今も…

「…っち、おい!こそこそしてねぇで出てこい!!」

「Σっ!」

「…あぁん?」


夜道、暗くて一人で歩くのは憚(はばか)れるような時間。
遠藤が振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。
いや、女性だろうか…服装はジャージというかスウェット姿で、顔は暗くて見えない。
が、シルエット的に女性っぽかった。


「おい、てめぇ、こんな夜遅くに一人で何やってんだ?」

「…!!」

女性は逃げた。

「あ!てめぇ待て!!!」

遠藤はその女性を追いかける。が、その女性が思ったほど足が速かった。
遠藤は中学高校と培(つちか)ってきた自慢の足を使った。
すると、向こうのほうが疲れてきたのか距離がどんどんと縮まっていく。
後一歩後一歩と思い遠藤はスピードをどんどん速める。

「(うおおおああっ!!!)まてぇぇえ!!!」
「!!!」
「うりゃぁぁっ」

手が届きそうになるくらいまで近づき、遠藤は女性にダイブしとめた。
ま、様は遠藤が女性の背中を馬乗り状態になる感じです。

「はぁ、はぁ・・・はぁ・・・・てめぇ何で逃げた!!」
「ぐ、ぐるじぃー・・・」
「おい!答えろ!!」
「ぐるじぃー・・・・あ、あ・・・」
女性の手が遠藤の足を掴む。
「あ?」
「苦しいって…いってんだろーがぁぁあ!!!」
「うおっ!!」
女性が遠藤の足を掴み、そのまま横へ投げ込もうとする、と遠藤が態勢を崩しよろけそのまま地面に倒れてしまう。
「よしっ!!」
「いつつー・・・てめぇ!」
「Σ!やばっ!!」
「待て!!!」

カチャっ、と聞いた事のない音がする。
しかし、その音はテレビや映画などで聞く音…
女性はピタッと止まり、自然と手を上げてしまう。

「(ぷっ、こりゃおもしれぇ。おもちゃのチャカでビビリやがって…)そのまま、こっちを見ろ。」

女性は言われた通り、ゆっくりと遠藤のほうを見る。

「よし、ゆっくりこっちへ来い!」

女性は、重い足取りで遠藤へ近づく。勿論この間も手は上げたまま。
暗い夜道、お互いの顔が近くに来ないと見えない状態。
遠藤は、せめて顔だけ見ておきたかった。と、後悔しないようにチャカを構えた。

「……」
「よし、そのまま手を上げていろよ」

チャカをしまい、遠藤が彼女のあごをもち顔をよく見る。

「うっ、」
「ん?……ほう、よくみりゃベッピンじゃねぇか。」
「は、離して下さい」
「あぁ、すまねぇ。手も降ろしていいぞ。でも、逃げたりしたら打つ。」
「Σっ!う、打つって…ここは、日本ですよ。」
「あぁ、よくわかってんじゃねぇか。俺も打ちたくねぇ、だからいう事聞け。そしたら解放してやっから・・・」

と、優しい言葉をかける。
すると、彼女は何を思ったのか、ゆっくりと手を下ろしそして遠藤にもっと近づく。

「な、なんだよ」
「いや、よく見たら貴方とてもいい男だったんで。もっと近くで見たくなっちゃって…」
「はぁ?」
「クスッ、貴方がさっき言った言葉をそのまま返しただけですよ。」

どうやら、この女性、恐怖心というのが微塵も感じないようだ。
それどころか、遠藤の顔をまじまじと見つめ続ける。
流石に、遠藤がやめろ、と言って少し離れる。

「…っち、あ、そうだ。お前なんで俺の後をついていた」
「え?あぁ、逆ストーカーをしていたんですよ」
「…はぁ?」
「いやぁーここ最近、私ストーカーにあっちゃいまして、怖いというかストーカーの気持ちを知って今度ストーカーされそうな時に、『こいつなんかストーカーしたくねぇよ…』な〜んて、思えるようになろうと今、勉強中なんです」

ケロッと、遠藤が知りたい事をずばずばといわれた。

「そ、そうか…」
「それで、最近貴方に会っていい感じの人だと思ってつけていたんです。」
「…(まじかよ…)」
「まさか、貴方がヤクザの方とはしりませんでした…ごめんなさい」
「そうか……は!?」

遠藤は吃驚する。

「お、お前、なんで俺がヤクザって・・・」
「え?わかりますよーそんな事。その靴、新しいですよね?だからです」
「……は?意味わかんねぇよ。バカか?」
「バカって…莫迦っていわないでください。莫迦じゃないです。」
「じゃぁ、なんで俺がヤクザってわかったんだよ、説明しろよ、説明!」
「だから、さっき言ったじゃないですか」
「靴が新しいだけじゃぁ、ヤクザってまだ決まってねぇだろ?」
「……え?あぁ、…貴方はこれも説明しなくちゃいけないんですね…」
「はぁ!?」
「いいですか?靴が新しい=ヤクザ。そして、スーツの中のカッターシャツ白とか無地とか目立たない色を着ていない。だからです」
「…おいまて!!!そんなの、中が見れなくちゃわかんねぇだろ!!それに、みろっ!!俺のカッターは白だ!!」
「ベストは?」
「はぁ?」
「そのベスト、結構高いやつでしょ?それに、そのカッター、色は無地でもボタンに色がついてる。高いやつ買ってるんですね、ヤクザさん。」

遠藤は頭がこんがらがってきた。

「(……くそ、こいつ何もんだ…)…」
「ところで、ヤクザさん」
「あ?」
「私、これから一人で帰るの怖いんで、一緒についてきてもらっても良いですか?」
「はぁ?お前さっき、俺をストーカーしてたとか言ってたじゃねぇかよ!なのに、一緒に帰れだ?アホかお前は…」

大きなため息をつく遠藤。
そんな事にもなまえは動じず、

「えっと、私最近ここに引っ越してきたんです」
「・・・・は?」
ポカンとする遠藤。
「いや、だから私最近ここに引っ越してきたんです」
「お前、さっき…ストーカーにあってとか言ってなかったか?」
「あぁーあれは、一時の何とかってやつですよー。もし、貴方が本当のストーカーだったら、怖いじゃないですかー。だから、最初に警戒されるような事を言っておくんです。」
「……(こいつの頭ん中はどーなんってんだよ…)」
「そのーなんと言いますか、都会って夜道怖いってイメージが強いじゃないですか、だから実際どうなのかって思って…そしたら、案の定自分がいー感じにストーカー気分味わえたので、よかったです!逆に追いかければいいんですね!」
「(なーにが、逆に追いかければいいんですね!だ・・・)お前な、危ない事してんじゃねぇよ、」
「危ないですか?」
「あぶねぇよ、現に俺みたいな奴と会ってんじゃねぇかよ」
「いやいや、ヤクザさんの事、別に危ない奴だなんて思ってませんよ!寧ろ、ヤクザのイメージアップです!!」

と、親指を立てる。
その親指をへし折ってやろうか、なんて考える遠藤。
しかし、本当にそんな事をしてしまったら問題になってしまうのでその考えは抑える。

「…そうか。兎に角だ、もうこんな事やめろよ」
「わかってますよ。という事、でおくってください」

ニッコニコの笑顔で言われる。
その顔面を思いっきり殴ってやろうか、と考える遠藤。
しかし、本当にs…((ry

「わかったよ、で、どっちだ?」
「あっちです!」
「あっちって、俺が帰ろうとしてた方向じゃねぇかよ」
「そうですよ。」
「…わかった、連れて行こう…」

もう、何がなんだか分からなくなってきた。

「あ、そういえばヤクザさん、お名前なんて言うんですか?」
「は?……んなもん、良いだろどうでも」
「そうですか?あ、私なまえっていいます」
「…(こいつサラッと自分の情報流しがやって…)…」
「ヤクザさんはなんて名前ですか?」
「(言わなくちゃいけねぇ雰囲気にしやがって、こいつ…)なんでも、良いだろ?」
「わかりました、じゃぁ私が勝手に呼びますね…そうですね、みよじですか?」
「ちげぇーよ。」
「えーじゃぁ、遠藤、ですか?」
「Σ!?…え、」

遠藤が止まる。流石のこいつも、遠藤がヤクザだと見破っても、
みよじまで当てられるとは想定してなかった…

「あ、違いますか?…じゃぁー」
「お、おい!」

なまえを呼び止める遠藤。
なまえが止まり、振り返る。

「はい?」
「…な、何でわかった…」
「え?当たってたんですか?遠藤さんですか?」
「あ、あぁ…」
「Σわお!ホントですか!?すごい!」
「な、なぁ」
「はい?」
「なんで、遠藤って出てきたんだ?」
「旧姓ですよ、」

遠藤は、なまえの左手をみる。
が、そこには指輪はしてなかった。

「旧姓?…結婚してるのか?」
「あ、違いますよ。まだ、してませんよ。両親が離婚してそして再婚したので今はみよじですが、前は遠藤だったので」
「そうか…」
「そんな悲しい顔しないでくださいよー。別に離婚して姓が変わるくらい何処でもありますって」
「まぁな…」

少ししんみりとしてしまった。

「なんで、しんみりするんですー?あ、もしかして遠藤さん涙もろかったり?ヤクザなのに良いんですか〜?」
「、なっ!莫迦か!」
「あ、さっきの遠藤さんだ。遠藤さんって面白いですね」
「はぁ!?」

なまえが少し早歩きで先導をきる。
その後ろを遠藤が追いかける。


夜の都会の道がはじめてこんなに明るいとは思わなかった夜。


「あ、遠藤さん、連絡先教えてください」
「却下だ」
「えー…」


ストーカー END



キリ番リクエスト。
佐藤様お待たせしました!!

遠藤の照れるというか、なんか余裕のない遠藤さんです。
え?恋人設定じゃないのかって?
…あ、そっちで余裕のないですか!!←わざとらしいわ!!

えー違うんです。聞いてください。
余裕のない遠藤=なんか彼女さん大好き大好き
ってのではなく、
余裕のない遠藤=ヤクザなのにっぽくない
ってのが私の中の遠藤でして…

きっと、心のお広い佐藤様なら許してくれるはず^^←

今回は初対面夢という事で、コレから恋に発展してくのはどうなんでしょうね?
するんじゃねぇの?って私は思うのですが…
続編が読みたかったらまたリクエストしてください^^←上から目線やめろっ!

はい!それでは、キリ番おめでとうございます!
引き続き、壱李ンスの神様、お楽しみください!
リクエスト、ありがとうございました!





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