「じゃぁな…もう、首突っ込むなよ」
「あ、はい…」



遠藤となまえが別れ、もう3年の月日が経つ。
なまえは真っ当な人生を生きてきたつもりだった。
が、保証人と言うものに首を突っ込んでしまい、遠藤と出会いそして裏世界と言うのを体験した。

まともな人生を行き、会社にも行き借金など無縁のなまえ。
そんななまえに突如、遠藤が家に押しかけた。

「みよじなまえだな?」
「あの、どちら様でしょうか?」
「ちょっと、いいか?あんたに話があってきたんだ。外じゃぁなんだから、中いいかね?」
「え?あ、ちょっと待ってください。今部屋片付けてきますんで…」
「あぁ、わるいな」

行き成りの訪問に内心吃驚しているなまえ。
部屋を軽く片付け、そして玄関で待たせている遠藤の下へと戻る。

「あ、あの、終りました…どうぞ」
「わるいな、あがらせてもらう」

お構いなしに、ずかずかとあがる遠藤。
なまえはキッチンへ行き、適当にコーヒーを入れる
「(なんなの、あの人…)あ、すみませんこちら。どうぞ…」
「あぁ、すまないね…」
「…えっと、なんでしょうか?」
「申し送れました、こういうものだが…」

名刺を渡される。

「…遠藤金融…え?、あのっ」
「察しがいいな、そうだ。借金の話だ」
「ま、待ってください!!私借金なんてしてません…そんなお金借りてませんし…」
「そうだな、でも…あんた保証人になってるだろ?高崎学(たかざきまなぶ)の」
「え・・・高崎、くんですか?」
「あぁ、知り合いだろ?」
「知り合いと言うか、その、(元彼とか言えないしな…)大学の後輩でしたけど…」
「そいつの保証人にあんたなっただろ?」
「…保証人、あぁ確かなんかお金に困ってるからって言ってたような、それで名前を書くだけでいいからって…言われたから…書きましたよ。」
「それだよ、それが俺が言ってる保証人ってやつだ」
「ま、待ってください!なんで、そんな高崎君の借金って私関係ないじゃないですか?」
「保証人になったからには、関係大有りなんだよ」
「……、遠藤さんは、もしかして取立てとかそういうのですか・・・?」
「簡単に言えばな。もっとわかりやすく言えば、ヤクザだよ」

ヤクザと言う言葉に、引きつるなまえ。
少し後ずさりもした。

「ヤク、ザ・・・ですか」
「あぁ、この名刺は立てまえ。まぁ、遠藤金融ってのは嘘じゃねぇけどな。さて、どうする?」
「どうするって…いくら、なんですか?」
「いくらかしらねぇのに保証人になんかなったのか、ホントに何もしらねぇお嬢様だな、クククッ…」
「…」
「まぁいいよ、300だ、」
「え・・・・」
「300万、だ。一気に出せなんていわねぇからよ、あんたの今の給料だったら2年のうちには払えるだろう…いい会社、勤めてるんだろ?」
「(何で知ってるの…)でも、そんな…第一、私関係ないですし、それに私じゃなくて高崎君の借金なんでしょ!?なんで、私が―、」

なまえがキレて大声を出す。
が、なまえの身勝手な言葉に遠藤はキレ机を思いっきり叩いた。

「・・・・。」
「関係ねぇじゃねぇ。莫迦が。右も左もわからねぇおめぇみたいなお嬢様が勝手にやったことだろ…それで、なんだ関係ないか?名前書いたのはだれだ?お?てめぇだろ?ちげぇのか?」

ドスの利いた声。そして、先ほど机を叩いた音でなまえは今までに経験がなく、思考停止してしまう。
目頭が熱くなり、涙もたまっていた。

「どうやら、泣けばすむと思ってるらしいな。教えてやろう、お前みたいな奴は売春って言うい〜手があるんだよ。売春もしたらもっと早く終るんじゃないか?」
「Σ、そ、そんな・・・っ、」
「いいか、なまえ。金の問題ってーのは、簡単じゃねぇんだよ。売春がいやなら汗水働けばいいさ。ただ、払い終わるまで俺はいつまでもお前を付きまとうぞ…」

黙るなまえ。どうしていいかわからない。
ただ、早くこの遠藤と言う男に帰って欲しいという事だけ…

「……ど、どうしたら」
「どうしたら?簡単に言えば、返してくれれば俺達は何にもいわねぇさ、ただ、それが長続きすると俺達も嫌気がさす。だから、なまえ、お前にとっておきの千載一遇のチャンスをやろうと思ってな…」
「ば、売春ですか・・・?」
「ククククッ、売春がいいならそっち方面の仕事を紹介してやるよ、」
「いっ、いやです!!!!」
「フッ、売春よりも短く済む話だ。今週の末、港に一隻の船がでるんだ。その船に乗りある事をしてもらい、そして帰って来い。」

簡単な説明で、いろいろと質問がしたくなる。

「あ、あのっ、」
「意味がわからねぇって顔してんな。今週の末、深夜から港に一隻の船が出る。深夜から朝方までその船で金稼ぎをすればいいんだ。」
「え、もしかして…」
「ククク、なんでお前はそうすぐに売春へ頭を持っていくんだよ。違うよゲームだ。そのゲームで活躍をすれば、今の300万の借金は全てチャラだ。もっと、言えば金持ちにもなれる…多少のな」
「そ、そんな怪しい…話なんかっ、」
「じゃぁいいのか?毎日俺達取立てや、ヤクザがお前の家の前でガン飛ばして見張っててもよ。ご近所さんの目っつーのなんか俺達しらねぇからな」
「…そんな、…」

なまえの肩が落ちる。どうしたらいいかわからない。
自分にはもうとっくの昔に関係は断ったはず…なのに、今更金を出せなど要求されても、困る…

「あ、あのー」
「ん?」
「そのゲーム、危険ですか?」
「………ある意味、危険だな」
「?」

今まで、怖表な顔が少し柔らかくなった気がした…

「危険って、どういう意味ですか」
「危険っつーか、人の騙し合い。あんたみたいな嬢ちゃん、すぐに騙されてすぐにおっちんじまうぞ…」
「え?落ちるって…」
「本当はこういうことは教えないのがルールなんだが、気が変わった。俺はあんたには落ちて欲しくねぇからな…」
「・・・それって、」
「あぁ、今度乗る船のルールと流れを教えよう、そして生きて、まっさらになって帰ってこい!」

遠藤のサングラス越しでも、なまえを睨むのがわかる気がした。
しかし、その睨むは恐喝しているわけではなく、彼女を助けたい、そう訴えてるようにも見えた。

「…もし、その船で、ヘマしたら…」
「あぁ、まず最初に、レイプから始まるんじゃねか?なんせ、男が多いからな…」
「(ゾクッ)、レ、イプ…」
「嫌だろ?ちなみに、嬢ちゃん経験は?」
「…あ、あの、言わなくちゃいけないですか…?」
「プッ、くくくくっ、いやいや言いたくないならいいさ。ガードが難いと良いけどな、でも逆に難い奴のほうが狙われやすいからな、気をつけろよ」
「あ、はいっ、」
「でだ、ルールは簡単だ。ジャンケンをすればいいだ。」
「ジャンケン?」
「あぁ、それもいたって簡単。じゃんけんして、勝ったら星がもらえる。そして負けたら星がなくなり、最終的に星が手持ちでなくなったら、アウツ。」
「星って、なんですか?」
「あっちに行ったらわかると思うがグーのカードチョキのカードパーのカードがそれぞれもらえるんだ。そして、星を3つもらえ、さらにそこで金も貸してもらえるんだ。しかし、その金は後から返さなくちゃならねぇ。しかも金利がつく。」
「そんなところまで、金利が...だいたい、そういう考えがよくないんじゃないですか!?」
「…なまえ、」

低い声で名前を呼ばれ少しびっくりする。

「な、なんでしょうか?」
「そんなこと、船で言ってたらある人に罵倒されっぞ。」
「・・・ある人って…」
「行けばわかる。そんなのルールに関係ないからな、体で払おうなんて…あーでも、嬢ちゃんならいけるか?あいつ、たしかこーいうのタイプだったよーな気が…」
「や、やめてください!!売春なんて!!」
「いやいや、売春なんてしねーって。つか、そんな事させるくれーなら、俺がお前を喰うしな」
「煤I!!……(この人、わかんない。何が言いたいのか…助けたいのか、助けたくないのか…いい人、なの?)」

なまえの頭はこんがらがってしまっていた。
遠藤の助言を真に受けても大丈夫なのかと、

「話がズレたが、それでだ、金を借りれるだけ借りろ。そしてだ、ゲームが始まる前、そうだな…人が集まる前に、いいカモも見つけるんだ。そして、ゲーム開始直後にそのカモに近づき、ゲームを申し込む。」
「良いカモって、どういうのですか?」
「そうだな、お前がエロい格好をしていて、お前を下心でしか見てねぇような奴をカモにしな。」
「そ、そんな、エロい格好って…」
「布一枚とか?」
「煤I!ちょ、何言ってるんですか!!/////は、恥ずかしいじゃないですか!」
「ククク、そうだな。・・・そうだな、その服は事前に俺が用意しよう。それを着ろ」
「あの、その、変な格好だけはよしてくださいね・・・」
「あぁ、任せろ。パーティー行くみてぇな格好用意してやんよ。」
「パーティーって、ι」
「まぁいいだろ、でだ、そのカモにこういうんだ『星2つ負けてください。2つ負けてくれたらお金差し上げます』とな、どーせこの案には乗る馬鹿はいない。星の数か、金の要求じゃなく別の要求をしてくるか、相手待ちになるだろう…そしたら、『じゃぁ、体だったらいくついただけますか?』なーんて言ってみろ、きっとコロリだな」
「…遠藤さん、いやです。そんな危なっかしいの」
「…だめか?今回俺が呼び込んだやつら、それできっとヤらずに星あほほど手に入れられそうな気がするけどな…」
「そんな危ないこと私がしたくありません!」
「そうか、…なら、お互い全部アイコで最後の最後で裏切るのはどうだ?」
「??え?」
「アイコだと、星の行き来はしないんだ。まぁあっちで説明あると思うが、より早く、カードを無くし、星を手に入れる。それが船のルールなんだ。」
「……(早くカードをなくし、星を増やす…それをするには、じゃんけん)でも、アイコで裏切るって」
「最後の3枚残ってる時点で一回ミスする、たとえば次にパーを出さなくちゃいけないときに、譲ちゃんはあえてチョキをだす、そして間違えたといって次にチョキをだしてと相手に言う。グーを出して、また勝つ。」
「裏切るの!?」
「良いじゃねぇかよ。どうせ、お前を下心で見てたやつだ。裏切られて同然だろ?」
「そ、そんな…」
「二つもらった際には、逃げろ。勝ち目はないからな。」
「・・・」
「どーも府におちねぇみたいだな。でもな、譲ちゃんが勝つための戦略だ。残った一枚は負けてくれそうな奴を見つけろ。」
「そんな簡単に言わないでください!!それに、負けちゃったらどうするんですか!」
「現に2つ予備がある。ひとつくらいなくなってもおしくねぇって」
「借りたお金は…」
「いざって時だ。お前が下に落ちちまったときに使いな」
「…わかりました。」

話が一通り終わると、遠藤は彼女が出したお茶を飲む。
そして、周りを見て
「譲ちゃん、タバコは?」
「吸いませんけど…」
「そうか、ならしかたねぇな」

といって、懐からタバコを出すのをやめた。
長い説明で頭が混乱しそうになるが、結局の遠藤は彼女を船に乗せ、高崎の借金をチャラにできればいい。
そんなことしか考えていなかった。

「譲ちゃん、」
「はい、」
「…生きて、帰ってこいよ」
「Σえ。。。?」

聞き返すが、遠藤は何も答えなかった。

「あの、遠藤さん」
「あ?」
「あの、礼を言うのはあってるのか、わかんないんですが…ありがとうございます、その、私なんかに、助言というか、その、助け舟を渡してくれるというか…なんというか…」
「勘違いするなよ、譲ちゃん。俺は、ただ金を返してほしいだけだ。売春がいやだっつったから、船を紹介したまで…わかるだろ?ヤクザに、優しいもなんもねぇんだよ」
「…わかってます、でも、私遠藤さんみたいな人がヤクザにもいるなんて知らなかったから…なんか、以外って言うかなんていうか…」
「お人よしに見えるだけだ、こんなもんただの恐喝でしかねぇんだよ」
「はい、」

遠藤の言葉のひとつひとつがなぜか、暖かくてそしてこの言葉は彼女自身を押してくれるようなそんな言葉。
それが、ヤクザ悪徳商法のやり口だと、気づいたとしても彼女は遠藤に絶望しないだろう…
なぜなら…


「…(初めて会ったのに、こんな短時間で好意もっちゃうなんて…)」
「(…優しいか、こんな物好きもいんだな。船、強姦されなきゃいいけどな…)」



そして、なまえは船へ、一夜の勝負へと出かけた。
出かける前に、遠藤の元へ行き服を借り、そしてエスポワールへと行ったのだった。
その出かけるまでの一連を遠藤はしっかりと見ていた。

「譲ちゃん!」
「はい!」
「…負けるなよ。勝て、良いな。絶対だ」
「はい。わかってます!」


笑顔で出かける彼女は、怖いものなどないように見えた。





エスポワールへ行き、無事なまえは借金ゼロで帰ってきた。
どうやら、ちょろかったらしい。
しかし、船で出会ったある一人の男を助けたため、借金はゼロになったが自分の持分さえもゼロになってしまっていた。

と、一週間後遠藤がなまえの自宅を訪問した。


「あ、遠藤さん…」
「よぉ、生還おめでとう。」
「あ、花束なんか…ありがとうございます」
「聞いたぞ、借金ゼロでしかも持分もゼロらしいじゃねぇか」
「アハハ、そうなんですよ。ちょっと、一人ほっとけなくってね…」
「どーせ、アイコ持ち掛けた奴だろ?お人よしにもほどがある」
「でも、私そのおかげで大半の人から星いただいたんですよ」
「だったら、……あぁ、金利か」
「はい。」
「強姦はされてねぇだろうな?」
「遠藤さんが、心配するようなことですか?」
「心配するさ、あれだけ嫌がってたんだからな・・・・というか、なんか変わったか?」
「え?そうですか?」
「あぁ、前の譲ちゃんとはなんか別人に見える…(船で何かを見たんだな…)」
「変わってませんよ。なにも。。。あ、そ、それより服、ありがとうございました!クリーニングに出してるんで、また今度返しますね」
「あぁ、それはいらねぇわ。」
「え?」
「やる」
「いいんですか?」
「あぁ、記念に取っておけ。そうだな、また保証人なんかにならねぇように飾っておけ」
「そんな…」
「もう、借金なんかするなよ。わざともだめだからな」
「そんなぁ!…しません、よ…借金、なんかっ、」

彼女の中でひとつの支え棒が取れた。
また、遠藤に会える口実がなくなってしまったからだ…

「じゃぁ、元気な顔みれたからいいや、」
「え、あ、ちょっ・・・」

遠藤が立ち上がり、外へ出る。


「じゃぁな…もう、首突っ込むなよ」
「あ、はい…」


遠藤の背中が遠くなる。
追いかけたい、だが追いかけてどうなることでもない。
伝えたい、あなたのおかげでと。


「遠藤さん!!!!」


名前を呼んだ。
すると、遠藤は一度止まったがまた歩き出した。


「(呼ぶな、俺の名前を…呼ぶんじゃねぇ…)」


遠藤は、そのまま歩きなまえの前から姿を消した。

後、二人が出会うことはなかった。





保証人 END



リクエストの遠藤さんの切ないやつ書きました!
つか、なげぇー。無駄なところ長くって、いいところみじけぇー
ごめんなさい。

どーもだめだね。リクエスト募集ー!とか言いながら結局かけるのはだめだめなやつ。
そんならリクエスト募集するんじゃねぇってねww←

遠藤さんが夢主を「譲ちゃん」って読んでるのは楽しかった。
名前より、こバカにしてるような感じ?いいっすね。好きです。
まぁざっと書いてみて、遠藤さんに切ないのは似合わないってことね。←おい!

でも、リクエストしてくださるのは全然感謝です!感謝感激圧倒的感謝!

きのみ様も気にせずどんどんリクエストしちゃってくださいね^^






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