ざわ・・ざわ・・

「ゴクッ、」
「さぁ、どうする?」
「……こ、これだ!!!」

5枚のカードが机に無残に置かれる。

「(ニヤリッ)勝った、残念ねコレで私の連続勝ち。」

なまえもカードを置く。


「Σ!!あぁー!!!また、負けた…」
「フフフ、今日は運はないのかな?それとも、元々ポーカーは弱かったり」
「ケッ、あー毎日なまえに負けっぱなしってのもどうかと思うけどな…お前ホントにイカサマしてないよな?」
「え?」
カードを片付ける。
「してるわけないでしょ、ムシロ逆に森田がイカサマして負けてたり。わざと」
「んあわけねぇだろ。。。そんな事できるのは銀さんだけだって」
「はいはい、って、いっつも思うけどカード湿らせるほど手汗かかないの!」
「え?!あ・・・わりぃ」
「もー・・・逆にこのカードが何かってわかっちゃうんだから…」

ブツブツ文句を言いながらもカードを箱にしまう。

「さて、どうする?」
「え?何が?」
「コレから、寒いから外には行かない?」
「あーそうか…体もなまってるし、散歩するか!」
「うん、じゃぁ仕度してくるから待ってて!」

なまえは部屋の奥へと入っていった。
その後姿を森田はじっとみつめていた。
一人残された森田。
机の上に置いてあるカードの箱を取り中身を出す。

先ほど、自分が持っていたであろう軽く湿って形が変形しているカードに目をやる。

クローバーの8

「(そういうえば、あいつこのカードが一番すきって言ってたな…)」

少し前の話である。




同棲生活をしようと言い出したのは森田のほうだった。
どうせ、付き合ってるんだし、家もそれほど離れていない。
でも、帰ってくるなら一緒に。
待っているなら彼女を、彼氏を…という事で、同棲生活が始まったばかりの頃…
仕事もなく、優雅に過ごしていた…

「なまえ、」
「ん〜?」
雑誌を広げているなまえ。
その隣で馬券をまじまじと見ている森田がなまえを呼ぶ。
「好きな数字教えてよ」
「8」
「はち?」
「うん。」
「じゃぁ、好きなトランプは?」
「クローバーの8」
「何で?」
「ん?クローバーって幸せとかって意味じゃん。んで、私の好きな数字の8だから。」
「へ、へぇ・・・」
「森田は?」
「え?」
「森田の好きな数字とトランプは?」
「…うーん・・・」



結局答えは出ず。
そのまま時間が過ぎていった。
あれから、何ヶ月経っただろうか…
特になまえも気になったわけじゃないし、その後も深く追求する事もなかった…
というか、森田自身が好きな数字とトランプをあんなにすぐに答えるとは思っていなく、ただ話の口実を見つけたかっただけだったにすぎない。

「(クローバーの…8ね)」
「おまたせ。」
部屋の奥から先ほどとは打って変わっておしゃれななまえが立っていた。
「え?どっか出かけるの?」
「は?散歩行くんじゃないの?だから、着替えたんだよ」
「だからって、そんないい格好しなくても…」
「女の子は身だしなみが重要なの!いくら近くの道歩くだけでもおしゃれは必要なんです!知ってる人に会ったらはずかしいからね!」
「ふーん。。。じゃぁ、俺もおしゃれしようかなっ、」

立ち上がる森田。
部屋の奥へと行こうとするが、なまえが全力で止めた。

「いい!!森田はそのままでいいから!!」
「なんで?この間銀さんに褒めてもらったスーツ着てこうかと思ったのに…」
「ダメダメダメ!!!!あれはだめ!!ぜったいだめ!!!(緑のスーツならまだしも・・・あれはだめ!!)ほら、何時も着てるあれは洗濯しちゃったから、そのままでいこうよ?ダメ?」
必死の抵抗。
「…なんだよ、折角着替えようと思ったのによ」
「いいの!森田はその格好が似合うから!!ね?ほ、ほらいこっ!!」

森田の腕を引っ張るように無理矢理玄関まで連れて行く。

「ちょ、なまえ!お金、金はいらねぇのか?」
「散歩だからいらない!ほら、いくよっ!」
「ちょ、なまえ!寒いからマフラーとかいらねぇのか?」
「もう玄関においてるからいいの!」
「ちょ、なまえ!」
「何回おんなじこと繰り返すの!なっ・・・・・//////」

森田の同じような質問に呆れ後ろを振り返る。
すると、それと同時に森田がなまえをギュっとだきしめる。

「行ってきますの、チューは?」
「////ば、ばかじゃないの!一緒に出かけるんだからいらないって、」
「違う違う、俺が欲しいのっ、」

森田の手がなまえの背中から離れ両肩にのせる。
そして、ゆっくりと近づきそのままキスをした。
唇を離すとやはりなまえの顔は真っ赤に。
森田はニッコリと笑い、
「さ、でかけよっか」
と、先陣をきった。

この冬、初めてマフラーが要らないと思った瞬間だった。



同棲生活 END



手がべチャべチャな森田さん大好き。
カイジよりは出来る森田さん大好き。(カイジファンすみません)
銀さんと一緒に行動するようになって、キザっぽくなる森田さん。
いいと思います。
ちなみに、トランプのクローバーの8はなんの関連もありません。
ただ、私が数字の8が好きなだけです。クローバーは幸せをプラスしました。
森田さんの好きな数字って何だろう…気になる…
金だから、1?





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