「こんばんわー南郷さんいますか?」


塾の帰りにいつも寄る場所がある。


「お、なまえちゃん。今日はいないよ」

「そうですか…昨日も来てないですか?」

「そうだなー…最近、見かけなくなったかな」

「…そう、ですか…わかりました。」

「あ、なまえちゃん、やってく?」

「南郷さんいないからいいです。どうせ、わかんないし。ありがとうございます。でわ」


雀荘から出て行く。
塾の帰りに近くの雀荘へ足を運び南郷を探す。
そんな事が日課になりつつあった。
なまえの塾の近くには雀荘がいくつもあり、
毎日同じところに足を運ぶと周りの知人に怪しまれるから
という理由で毎日絶対に違う雀荘へと足を運ぶ。
そして、運がいいとそこに南郷もいるというわけだ。

ところが、最近どこの雀荘へ行っても
「南郷」
はいなかった。

どの場所も
「いない」の一点張り。そして決まって「最近見てないな…」
と言う。


「はぁ・・」

肩を落とすなまえ。そりゃそうだ。
大好きな南郷に会うために塾の帰りに
雀荘なんて行くなんて、母親に見つかったら一発でアウツ。
一回目は何とか許されるかもしれないが、
今後雀荘付近へ近寄らせてももらえないというのは確定だ。


そんな危険をおかしてまでも会いに来ていると言うのに、
肝心の南郷がいない。

「どこ、いっちゃったんだろ…南郷さん…」

夜道を一人で歩く。
特にこの付近は怪しいお店が多い。
そのため、人もあまりいい人とは言えないような人も多い。
時間は夜。

「(…今日は帰ったほうがいいよね…)」

3軒ほど雀荘へ寄って行くが今日は1軒だけで終らせ、家へ帰る。

「(明日は南郷さんに会えるよね…)」

明日はきっと…
と言うような期待を寄せながら歩く。
そして、家まであと数メートルという所で人が突っ立っていた。

「…??」

恐る恐る近づく。すると…

「…南郷さん?」

「ん?あ!!なまえ!!!」

「南郷さん!!!」

夜道、街灯が当たるところだけ明るくなる夜道。
遠くのほうへ聞こえる近く愛おしい人の声。
走って南郷の下へ行き勢いで抱きつく。

「うぉっ!なまえ、どうした?」

「……南郷さんだ。南郷さんだ…」

「なまえ?」

「今まで何処行ってたんですか?」

「…ちょっと、な・・・」

「明日雀荘行きますか?」

南郷から少し離れ質問するなまえ。
すると、南郷が顔を曇らせる。
いくら外が暗いからと言って顔が見えないわけではない。
曇らせた顔はなまえも見えていた。

「南郷さん?大丈夫?」

「……もう、やめたんだ」

「え?」

「もう、麻雀も賭け事やめたんだ。足、洗ったんだ…だから、もう雀荘も何処にも行かないよ。コレから真っ当に暮らそうかと思ってな…」

「え?」

突然の宣言。もう、何処にも行かない。雀荘も行かない。
つまり、
「(私に、もう二度と…会わない…)」

「だから、明日からもう雀荘行かなくてもいいぞ。あんな危ない所行かなくてもいいからな。ずっと心配してたんだぞ、いくら見た目的に大人っぽいからって――」

南郷の言葉が頭に入ってこないなまえ。
頭の中が真っ白になってしまった。

「――だから、って…なまえ?聞いているか?」

「………なら、」

「ん?」

「…さよ、うなら…っ、」

「お、おい!!なまえ!!」


行き成りのなまえの行動に戸惑う南郷。
しかし、なまえは家に帰りそのまま。
ただ南郷一人が突っ立っていた。
「…なまえ?」




その後、なまえと南郷が会う事はなかった。


「こんばんわー」

「お!なまえちゃん、今日は早いね」

「えへへ、今どんな感じですか?」

「ちょうど終る所だよ、やってく?」

「はい!!あ、煙草とビール、買ってきましたか?」

「買ってきたけど、なまえちゃんは駄目だよ〜」

「いーの!」

ドカッ、とソファーに腰をおろし机の上に置いてある煙草の封をあける。
懐からライターを取りだす。

カチッ、ボッ…

「スー……ハァ…」

なまえが煙草を吸う。
机においてあるビニール袋から缶ビールを取り出しペシッとあける。

「なまえちゃ〜ん、いくつよ?」

ニヤニヤしながら男が聞く。

「14だよー、…ゴクッゴクッ、ハァ…。あ、そうだ今週危険日だからゴムつけてね〜」

「ふっははは、負ける気満々かよ、まぁいい。」


少女は非行へと走っていたのだった。
そのことを、南郷は知るよしもなかった。



非行少女 END



南郷さんが足を洗ったって話が私なりに切なくて切なくて…
でも正しい選択なんですよね。
カイジも足洗えば良いのに…
南郷さんが好きで好きでたまらないのに、その南郷さんが雀荘に
絶対にこないなんて話されてもう二度と会えないと勘違い少女。
今までギリギリで悪い事してなかったのに、少女の中の何かがプッツンって
切れちゃったんですね…
だめですよー二十歳にならないと、タバコとお酒は。
性行為はー…うん、いいとはいえませんけどね。
南郷さんは悲しい系の夢文があう。
多分(笑)





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