人には嫌いな食べ物や好きな食べ物。
そして、苦手なものや食わず嫌いといったものもある。

しかし、それ以前に食べ物の見分けをつけなければいけない時がある。
ただ、口にして
「これまずい」
「これきらい」
なんて、子供のようなことを言ってられない。

ましてや、嫌いなものを死んでも食べない意地っ張りな奴がここにいた。



「ちょっと!!!てつ!食べなって!!」

「……」

「てつ!?」

「何?そんな大きな声で名前呼ばなくても聞こえてるよ」

「ゴーヤが残ってるよ。」

森田がお皿に目をやる。
お皿には見事に"ゴーヤだけ"残っていた。

「残ってるんじゃないよ。食べたくないから残したんだよ」

「だめだよ!好き嫌いしないで何でも食べなくちゃ!」

「そんな餓鬼見ないな事言うなよ。どーせあれだろ?食べなきゃ大きくなれないぞーだろ?・・・もう十分でかいって。」

「大きくなれないってか、大の大人がゴーヤ嫌いだから食べないって、恥ずかしくないの?」

「別に。好き嫌いはあって何ぼじゃないの?」

サラッと受け流す森田に半分苛立ちを覚えるなまえ。
しかし、ここで言い合いになってもどうせ負けてしまう事は知っている。

「大きくなれないぞー」

「ぷっ、やっぱりかよ。十分育ったって……あぁ、わかった。何だなまえはもっとでかいチ○コが好みなのか?」

「Σはぁっ!?//////ば、莫迦じゃないの!?」

「ぶはっ、図星かよ!!変態だな〜なまえは。えろ〜い〜」

「えろ〜い〜じゃないよ!そういう意味の大きくなれないじゃないから!」

「わかってるって。」


大きなため息をつく森田。
箸でゴーヤを突っついたり、箸でも持ち上げて落としたりと遊び始める。


「ちょっと、てつ。遊ばないの!食べるの?食べないの?」

「食べない。」

「なんで、食べないの?」

「だって、苦いじゃん。」

「そりゃだって、苦瓜って言うからね。苦いよ。でも今回は苦くないようにちゃんと火も通したし調理法だって考えたんだから!」

「かわんねぇって、苦いのは苦いから」


一向に食べようとしない。
半分あきらめかけているなまえ。
諦めて、コップの中の水を飲み干し食器を台所のほうへと持って行った。
その行動に森田もつられ残してあるゴーヤの入ったお皿をもって
台所の流しへ持っていく。
ゴーヤを残飯ボックスへ入れ、お皿を置いた。


「てつ!」

「あ?んだよ。」

「もー結局食べないのね!」

「だから、嫌いだって言ってるじゃん。」

「もったいない…せっかく、作ったのに…」


思った以上に落ち込んでいるなまえ。
そんななまえを森田は少しは申し訳なさそうに思い始めていた。

「…そんなに、ショックか?」

「ショックっていうか、今回は自信があったから一口だけでも食べてほしかったなーって思っただけ。でも、いいや。てつがそこまで食べないって言うなら、もう作らないから…」

「…っち、はぁ…おい!」

「何?」

「泣くなよ…悪かったよ…そんなに思ってくれたなんて知らなかったっていうか、その、俺もわがままだったし…」

「てつ…」

「今日のゴーヤは捨てちまったけど、次のはちゃんと…食べるから。その、また作ってくれると、うれしいんだけど…」

「…わかった。仕方がないな、てつがそこまで言うなら作ってあげなくもないっけど!」

「何が仕方がないな、だよ。泣いてるくせによ。」

「ばぁーか!」



嫌いな食べ物は苦瓜である。
好きな食べ物も苦瓜である。
どちらも愛情たっぷりである。



ニガウリ END



memoで野菜のを書く!
って言ってたので書きました!!
森田がゴーヤ嫌いってなんかわかる気がするのよ。
好きかもしれないけどね…

最後のはなぞかけでも何でもございません!
なんか、それっぽいこと書きました!
彼女の泣き顔に弱い森田が好き。
Sなんだけど、そこらへんはまぁ配慮するというか。

しかし、どうしてこうも森田のは下ネタをはさみたくなるんだろうか…
森田だからだよね。
そうだ、そういうことにしよう!!!




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