町はバレンタインフェアーと言う形でキレイな箱なので
ラッピングされたプレゼント形式で渡せるチョコレイトが
たくさん並んでいた。

この時期になると、いつも切ない気持ちになってしまう女の子がいた。

「…はぁ、」

チョコレイトの周りには女性が集り、ざわざわとしている。
それを横目になまえは寒い道を歩く。

毎年バレンタインデーは何かと忙しい村上。
一条の経営するカジノの黒服として働いているが、何故かバレンタインデーはあまり来ない女性客が殺到し、カジノ云々ではなく、一条にチョコレイトを渡す人。
黒服にチョコレイトを渡す人がいた…

それに紛れて、なまえも私に行けば良いが流石にそんなはしたない事は出来ない。
一条や村上に笑われてしまうんじゃないかと恐れているのもある。

「(…いいよね、お家帰ってくるし…)」

村上となまえは付き合って数年になる。
かつ、同棲をしているため特に心配する事はないが、毎年の行事だとわかっているが、やはり早く帰ってきて欲しかったりする。
しかし、仕事場に私情を持ち込むことは禁止だと、一条から言われている。

そんなもやもやを抱きながら、なまえは家へと帰った。

中はがらんとしていて、暗くそして寒かった。
「ただいまー・・・って、誰もいないよね、」

ぱちっと、電気をつける。
そして、ストーブをつけ洗面台へ行き、マフラー手袋を外し、手洗いうがいをする。
手洗いうがいをやり終えると、冷蔵庫をあけ、チョコレイトの塊を取り出す。

「…よし!」

腕まくりをし、包丁をだしチョコレイトを袋から取り出す。
ゆっくりと、慎重にチョコレイトを細かく刻んでいく。

上手く切れると
「ザクッ」
といい音がする。

手のヒラに包丁のあとが一直線つく。
そこが、赤くなって痛くなるため、当てる場所を変えるが力が上手く入らないため、戻して痛いが我慢して、きり続ける。

時計とストーブとチョコレイトをきる音が交互になる。
と、

「ふぅ。。。よし、これでおっけっと」

チョコレイトを小さめのボウルにいれ、大き目のボウルにお湯を少し入れる。
その大き目のボウルに小さめのボウルを入れ湯銭をする。

「……お、(溶けてる溶けてる!)」

チョコレイトをヘラでかき混ぜるとチョコレイトはドロッととける。
そのまま指をつっこみ食べてしまいたいのを我慢して、
その中に温めた生クリームを入れる。
そして、またかき混ぜる。よく書き混ざるようにかき混ぜる。
よくかき混ざるのを確認すると、冷蔵庫からオレンジのリキュールを取り出す。

「(毎日、疲れてるからね…これでさっぱりしてくれると良いな・・・)」

1滴、2滴と、ぽたっぽたっと入れる。
そして、また混ぜる。
よく混ざったチョコレイトを四角いトレイに流し込む。
どろどろと、トレイにチョコレイトが流し込まれる。

「・・・よしっ、」

ラップをふんわりとかけ、そのまま冷蔵庫へと入れる。
そして、次のお菓子を作る道具を取り出す。

「(クッキーとトリュフならいいかな?)」

なまえは、クッキーを作り始めた。

そして―


「よしっ、これでおっけっと、後は常温で冷やして後から冷蔵庫にいれればいいか!」

背伸びをし、肩を回し少し運動する。
そして、時計を見る。日付は変わっていたが、村上は帰ってきていない。

携帯を確認する。
着信履歴、メールも入っていなかった。

少しため息をつき、なまえはソファーに横になった。

と、気がついたら寝てしまっていた…





一方、カジノはやっと女性から解放され今は一服ついていたところだった。
一条は勿論、村上や他の黒服達も一悶着あったのではないか…
と、言うような姿をしていた。

が、机にはそれを裏返すようなほどのチョコレイトの山が出来ていた。

「店長ーこれ、どうするんっすか?」
「長野、お前持って良っていいぞ」
「俺、長野じゃないんで…おれ、上野なんで…」
「…どうでもいい、とりあえず持っていけ。俺は甘いの苦手なんだ」
「意外っすねー、じゃぁいただいていきますよっと、」

黒服たちが取り分のチョコを貰う。
それ以上に貰ってくれと、一条は頭を抱えて言っていた。
と、黒服の一人が村上にチョコを進めた。

「村上さんも、どうぞっ!」
「あ、あぁ・・・でも、俺帰ったらなまえからチョコもらえるからいらないや」
「なんすかそれか、彼女さんだけのチョコって…」
「わるいな。店長、俺そういうことなんで帰ります!」

一礼し、帰ろうとした。
すると、一条が止める…

「村上!!!」
「…?はい、」
「なまえちゃんの、分はいいのか?」
「こんな時間に持って帰ったら、逆に怒られますよ。それじゃぁ、失礼します」

村上は、帰って行った。





そして、村上が帰ってくる頃。なまえはソファで寝てしまっていた。

ガチャ、
「ただいまーっ、」
バタンッ、

ドッドッドッ。。。
「なまえ?…おーい、なまえっ・・・あ、寝てるのか」

寝息をたて、小さくうずくまって寝ていた。
ストーブは換気サインが出ていた。
延長ボタンを押したが、延長が有効できないくらい時間が経っていたので、もう一度ストーブをつけなおす。
すると、灯油のにおいが部屋を立ち込める。

「…んっ、??・・・・」
「・・?あ、なまえ」
「たも、つ?」
「おはよう、悪いな。起こしたか?」
「…Σ!あ!今、何時!?」
「ん?今は、2時だけど・・・」
「……はぁ、よかった。朝じゃないんだね。はぁ…」
「あはは、なんでそんなに慌ててどうしたの?」

黙って、体を起こしキッチンへと足を運ぶ。

「??」
「あ、よかった…ちょっと、早いけど…保、これっ」

ビスケットの入ったトレイを村上の所へもって行く。
そして、

「・・・はい、ちょっと早いけど、バレンタインの…チョコだよ」
「へぇ、ありがとう」

いただきます―
と、食べようとすると、なまえはトレイを下げた。

「おっ、っつ、なに?」
「保、私に渡すときはクッキーはやめてね」
「??どういう意味?」
「…さー?」


クッキーをもう一度さしだし、食べてもらう。
その味は、とても甘く、そして疲れた村上の体にしみこんでいった…




お返しは、キャンディーで…




ハート END



バレンタインっぽいのを書いてみた。
ほのぼのが無い村上だから、チョーほのぼのにしてみた。
甘くも苦くもない、ほのぼのです。

一条の店は、バレンタインとかクリスマスとかに人気になれば良いよ。
そして、義理チョコばっかり貰って、一生懸命黒服たちが
消化していけば良いよwww

そんな感じで書いてみたこの文章。
村上の事を「たもつ」「たもつ」って呼びすぎたかしら?


そして、一つ面白い情報を…
バレンタインデーのお返しには意味があり…
キャンディーをあげると、「付き合って下さい」ってなり、
クッキーがをあげると、「お友達でいましょう」ってなり、
マシュマロをあげると、「ごめんなさい」って誤られレてしまいます…
って、知ってました?

皆さんも、お気をつけてくださいね^^








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