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【零、愛してる】


ーーーと彼女からの突然の愛のメッセージにギョッとした。彼女は普段からこういったことを言わないし、ましてや携帯メールでの愛の言葉なんて初めてもらうものだった。


何かあったのか?と瞬時に考えつくが、彼女は今は別の任務中。同じ公安とはいえ、直属的な部下の風見とはまた違う任務をやってもらうことが多い。一番危険な自分の仕事に携わってほしくない、そんな公私混同も含まれているからでーーーー


考えすぎ、か?いや任務中にそんなメールを送ってくるなんて。
彼女……苗字に返信した後、風見にも連絡を回し、落ち着いてポアロのバイトをこなす。しかし手につかず、いよいよコーヒーカップを滑り落とし割ってしまった。自分が酷く動揺していることに気付く。


「安室さん大丈夫ですか?」


店の常連である蘭さんと園子さんが心配そうに声を掛けてきた。


「驚かせてしまって失礼しました。大丈夫です」

「顔色がすごく悪いですよ?どこか体調が悪いんじゃ…」

「そうですか?いやぁ、こんなミスをしたから僕もびっくりしてます」


落ちたカップの破片を拾っていると携帯電話が震えた。風見からの返信を開いてみると身体の体温が奪われる感覚に襲われた。

苗字が任務途中で事故に遭い意識不明の状態であることの報告は、僕をパニックにさせた。


「戻りましたー!あれ、安室さんどうしたんですか?」

「すみません、梓さん。体調がよくないみたいで……早退します」

「ちょ……安室さん?!」


買い出しから帰ってきた梓さんに、やや強引に後を托してポアロを出た。苗字が運ばれた病院へと車を走らせる。




ーーー…



「降谷さん…!?」

「苗字の容態は?」

「……まだ手術中です。目撃した部下によると助手席側から車が飛び込んできたらしいのですが、その弾みで運転席から苗字さんが外に飛び出す形となったようです」

「くそ……」

「苗字さんの荷物をお預けします。手術室に運ばれる寸前まで携帯を握り締めていたようです」

「……!」


血に塗れた彼女の携帯は乱雑に袋に入れられていたが、確かに握り締めていた跡が残っていた。まさか意識を失くすギリギリの寸前で送ってきたのがあのメールだというのか。


「それで、そうなった原因はちゃんと捕まえたのか」

「はい。取り調べがありますので私は戻りますが、降谷さんは……」

「ここに残る。何かあれば報告する」


ビニール袋越しに苗字の携帯を握り締め祈るように俯いた。
風見は頭を下げてからその場を立ち去っていった。



目を閉じれば、彼女に心配される映像が浮かぶ。思えば、彼女にはたくさん心配を掛けてきた。
この国を守りたいから故の行動だとはわかっていても、心配されても怒られても直すことはなかったがーーー今、彼女の心配する気持ちが痛いくらいにわかった。









180422


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