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名前を病院まで送り届けたあと、ポアロのバイトに向かう。今日は、休みの筈だったが、梓さんが急遽入れなくなったというので、ピンチヒッターだ。
というのもいつも急な欠勤と早退をしている後ろめたさもあった。


信号待ちの間に名前にメールを送る。病院が終わったら真っ直ぐ帰宅するようにと食事は用意するから寝ていて構わないとの旨の内容。
迎えに行ければよかったのだが、ポアロのバイトを引き受けた以上は時間を合わせられないから仕方がない。


しかし恥ずかしい勘違いをしたものだった。




『おひとりの身体じゃないので、気をつけてくださいね』


警備企画課に足を踏み入れようとしたときに聞こえた、風見の言葉がリフレインする。
確かに名前が言ったとおり、名前が絡むと公私混同してしまう癖がある。それは自分でもよくよくわかっているし名前と風見からも時に咎められる。
だが、何故か動揺してしまうから、彼女には本気で惚れている証拠だ。

今後、彼女に僕の仕事を任せる上では、気を付けなければならないのはこの僕だ。

気を引き締めて動こう。ーーハンドルを握る手が強くなる。



「名前との、子か……」


女の子ならいいなと思った。女の子は父親に似るというが、名前そっくりの可愛い子。
可愛いだけじゃ危ないので名前が昔やってたという武道に、僕がボクシングを教えてもいいな。
名前と僕の子なら男の子でも女の子でも賢い子になるだろう。

なんて、妄想する自分は気持ち悪いな。

バックミラーで自分の顔を見る。……ニヤニヤしている。


くそ……今までこんなことなかったのに。名前と恋人になってからはおかしな妄想をしてしまう。



「……」


だがそれを叶えるためには自分の使命をやりきらねばならない。この国を守りたいーー名前には悪いが僕にとってはなによりも大切な使命だからだ。

だが、今くらいは彼女との未来に思い馳せても良いだろう。




180425


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