自室に戻り部屋の空気を入れ換えようと窓を開ければ、少し肌寒い夜の風がふわりと髪を揺らした。
立地条件が良く、ここ…イル・ファンの景色を一望出来るこの部屋からは、よく街灯樹の下で寄り添いあって幸せそうに過ごすカップルを見かける。
今日もその例外ではなく、何組かのカップルが幻想的な夜景を楽しんでいるようだ。
「いいなぁ…」
溜息と共に出た呟きは、窓の外の夜闇へと溶け込む。私にも恋人…と今は言えるのかどうか解らないが、そういう関係を持つ人がいるにはいる。
けれど今言った通り曖昧なものであって、今こうして見下ろしているカップル達と同じではないことは確かだ。
「むー…何でこんなにもやもやしないといけないのよ…アルのばかたれ、あほ、屑ー!」
「だーれが屑だって?」
「っひゃ!?」
私しかいないと思っていた空間に響いたのは今しがた多い浮かべていた彼の声。
しかもそれは至近距離から聞こえた為に、驚いて振り返ろうとしたが、彼が後ろから私を抱きしめる方が数秒早かった。
「あ、アル…なの…?」
「名前ちゃんには、俺以外にこの部屋に入ってくるような男が他にいるワケ?」
「いない、けど…来るなんて、思わなくて」
突然のことにまだ落ち着きを取り戻せない私は、彼の顔が見たくて夜景やカップル達から目を離して彼の腕の中で身体を反転させる。
そこには確かに求めていた彼がいて、思わずほっとして彼の背に腕を回した。
「…で、何が"いいなぁ"なんだ?」
「っ、聞いてたの?最初から!?」
「そりゃあな。俺、最初からこの部屋にいたし」
「う、うそ…」
「嘘じゃねぇよ。…おかえり、名前」
頭を優しく撫でられ、額にキスをひとつ落とされる。
たったそれだけのことなのに、単純な私はドキドキして満たされていく。けれど久しぶりの彼のキスは何だか少し照れくさくて、目を逸らしたまま小さく「…ただいま」と呟いた。
「それで?近くにこんなイイ男がいるのに、女連れの男に目移りしちゃった?」
「違います!」
「ありゃ、ムキになるところが怪しいねぇ」
「〜っ、だから…!」
違う、と否定しようと顔を上げれば、すぐに捉えられる唇。
整った顔が文字通り目と鼻の先にあり、恥ずかしさに耐え切れなくて目を閉じれば更に深くなっていくキス。息苦しさを感じて逃げようにも後頭部を押さえられ、逃げることが出来ない。
「あ…っふ、ぅん…っ、アル…っ」
「……ん、なぁ…これでも…まだ、寂しいか?」
「っ、!?」
囁くように言われた言葉に思わず閉じていた瞳を開くと、真っ直ぐに私を見つめる彼がいた。
見透かされていた気持ちはもう自分では抑えきれなくて、今度は自分から彼にキスをする。
何の迷いもなく受け入れられたそれは長い間飽きることなく繰り返され、ようやく互いの唇が離れる頃には、身体が熱を持っていた。
「…解ってるくせに、わざわざ聞くなんてズルい」
「俺はそーいう男だからな」
「…むー…」
「くくっ…名前のそのむくれる顔、結構好きだぜ?」
「嬉しくないっ!ばかっ屑っ!」
「屑って言うなっつーの!」
そう少しだけムキになる彼の腕からするりと抜けだし、開け放たれていた窓へと手をかける。
未だに街灯樹の下には数組のカップルがいたが、今はそれを羨む気持ちも薄れていて、窓とカーテンを閉めた。
「もう夜景はいいのか?」
「うん…夜景より、アルを見ていたいから」
気分が良くて、いつもは言わないような言葉がすらりと出てくる。
けれど時間差で恥ずかしさが込み上げてきて、顔に熱が集中した。
「くっ…名前、顔真っ赤」
「う、うるさいなぁ!あーもう、言うんじゃなかった!」
「何で?俺は嬉しかったけど。素直じゃない名前も可愛いけどさ、…素直なのはもっと可愛い」
再びぎゅっと抱きしめられて、そのままベッドに身体を沈める。
先程とはいくらか違い、熱っぽい瞳で私を見下ろす彼に不覚にもときめいて、私は肩の力を抜いて彼に身を任せることにした。
please kiss me, and..
(私を、愛して)
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「liquid」の桜もち。様へ捧げます相互記念夢でございます!
お 待 た せ し ま し た…!
というか見直すとリクエストが何一つ反映されていないことに気付きましたすみませぇぇぇん!><唯一あるとすればイル・ファンにいることです、か、ね…←ええー…
本当に申し訳ありません…!何がしたいのか解らない文章になってしまいました…(あうあう)書き直し承りますので、どうぞお申し付けたって下さい…(´;ω;)くすん
この度は相互ありがとうございました!不束者ですがこれからもどうぞよろしくお願いします><
111118fri 緋織
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「永劫回帰」を運営なさる緋織さまより相互記念で頂きました(*´艸`)
ありがとうございます!緋織さまのサイトさんは私がアルヴィン夢を訪問した一番最初のサイトさんなのですごく嬉しいです!本当にありがとうございました!