「ん……まだ、夜?」
うっすらと目を開ければ、暗く、窓の向こうはオレンジ色の光に灯されていた。よく寝た気がするのにまだ夜?と考えそうになってハッと気が付いた。此処は夜域のイル・ファンだ。仕事でやってきて、疲れたから一先ず宿を取って、休んでいたんだっけか。
「はあ……」
「なに溜め息吐いてんだよ」
「……アルも居たんだった」
「おっと、普通、そんなこと言う?恋人にさー」
「……」
「そんな睨むなって」
部屋の灯りを点けて、溜め息をもう一度。いけしゃあしゃあとそんなことが良く言えるなこの男は。
「……」
「……そんな顔、すんなよ」
「……してない」
近付いてくる顔を反らせずにアルのキスを受ける。差し込まれる舌を絡めながら上に乗って、服を脱ぐ。
「ねぇ、疲れてんだけど」
「うん。なに、気が乗らないってか?」
「そんなこと言っても、止める気ないくせ、に……っ」
噛み付くようなキス、痛みを感じるほどに強く揉みしだかれる乳房。そんな気分じゃなくても彼によって引き出される女の私。普通の幸せは得られないからと、女を捨てた私はアルに抱かれているときだけ女に戻れる。なんて皮肉なんだろう。
「んぁっ……」
くちゅくちゅと水音が更に煽り、身体がどんどん熱くなる。イル・ファンで彼に会いたくなかった。何故なら嫉妬してしまうから、アルとその恋人が此処で、住んでいた場所では、心が苦しくなる。
「お前見てると、ほんと欲情する」
そう、と冷たくあしらいたかった。そんな声が出るわけもなく、アルに鳴かされる。
「や、だ」
「……っなんで?」
「わか、んな……あっんぅっ」
子宮までガツガツと突かれて、其処が悦んでいるのがわかる。嫌だと言いながらも、あっさりと彼を受け入れる私が嫌いだ。
「ア……ル……っアル……!」
「落ち着け、俺は此処に居るだろうが……っ」
シーツの上で彷徨う私の手を取る。指を絡めて繋がれた手。それがどんなものより、私を安心させる彼の本当の部分。
「やだ……っ離れないで……っ!」
「離れるかよ、馬鹿」
そう小さく呟いて彼女の横に寝転んだ。いきなり泣き出した彼女を宥め、行為も中断されたわけだが、不思議と自分の身体の熱も引き……まあ、萎えたわけだが、泣いてる女を無理矢理抱くなんて俺の趣味じゃねぇし。
「信じろ、なんて言えねぇよ……」
泣き疲れ、眠る名前の額に口つけて髪を掻きあげる。いつか俺に捨てられることを怯える彼女を怒るつもりもないし、もしかしたらそうなるかもしれない。その時は、殺すくらい憎んでくれてもいい、彼女の中にどんな思いであれ俺が存在してくれたら尚良い。
「それくらいどっぷり浸かってくれよ、俺に、さ」
繋いだままの手を取り、甲にも口付ける。ああ、離れてほしくないのは俺の方だ。
好きとか、恋とか
(もう惑わされねぇって思ってたんだけどな)
――――
「ZEЯOMusiC」運営していらっしゃる海月緋斗様へ相互記念に贈ります。お任せということなので、何故か切なくなってしまい申し訳ないです。裏を書く!とも断言しておいて最後まで至ってないとか……ああああああああ!って叫び倒したくなります。
アルヴィン×プレザに嫉妬しているヒロイン(アルクノア)の、つもりです、が、上手く描写されてませんね……文才が皆無ですみません。苦情返品は受け付けて、ます(笑)
これからもよろしくお願い致します。
相互ありがとうございました!
111022