関係者以外立入禁止の扉をくぐり、階段を駆け上がる。念の為作業服を着てはみたものの、人は居ないのでスムーズに上がることができた。最後の通路から、大きくジャンプして、外に出る。レールの上にうまく乗れた。
これで組織よりも先回りすることができた、と冷静に分析し立ち上がる。


「……!」


突風が吹いて被っていたキャップが空に飛んでいった。その帽子が飛んだ方向を見れば、同じように先回りした赤井秀一の姿。

やはり、先程の倉庫内での出来事は赤井秀一の仕業だったのか、と納得ができた。ゆっくりと息を吸って吐いた。反対側のレールに立つ赤井を睨む。



「アレがあなたの仕業なら、どうせここに来ると踏んでいましたけど……聞かせてくれませんか?僕たちを助けた了見を……」





────そして、なぜ彼女と行動していたのか、と告げればふっ、と笑う赤井に拳を握り込んだ。











ーーーー

小さな探偵さんを追い掛けたけど、あっという間に見失ってしまった。彼がどんな人物であれ、民間人には違いない。この場で起こることは危険だ。彼を保護して、この場から離れよう。

……風見さんが心配だ。キュラソーの身体能力は凄まじいものだった。
キュラソーの記憶が戻れば、危険だ。上司と互角に戦えたのだから、下手すれば死ぬ…?いや、伊達に公安を努めていない。彼は"ゼロ"の部下なのだから。

コナン君を保護して、私も組織が来るのを待ち構えないと。走り出した私の足音が響いた。







内部の中心部まで進めば、消火栓ボックスとその横に小さな影。探していた少年を見つけた。




「コナン君…!」


その名を呼べば、驚いて振り返って私の名前を呼んだ。きょろきょろと眼鏡のツルを持ちながら辺りを見回して、彼はまた私を呼んだ。



「みょうじさん……」

「コナン君、ここは危険だから保護され…「起爆装置があるんだ!」


私の台詞を被せるように彼は消火栓ボックスを指差した。……起爆装置?


「無数の電気コードがこの中に繋がっている……そのコードの先には恐らく爆薬が」


そっとボックスの横にコードが埋められた穴を押し退けて彼は私にその奥を見せてくれた。そこには彼の言うとおり、起爆装置らしき機械が見えた。



「……C4」

「わかるの?!ということはみょうじさん、解除できる?」


C4…所謂プラスチック爆弾の一種。よくあるタイプ、といえば語弊があるけれど、間違いなくそれは爆弾。
………扉にはトラップが仕掛けられている。迂闊に開けなかった、ということに、関して感嘆した。やはり、只者じゃない。しかしそんなことよりも、この起爆装置が遠隔操作によりいつスイッチが入るかわからない。
仕掛けたのは組織だろう。無数のコードの先を見れば観覧車の車軸の部分にまで伸ばされているのを見やり、懐からアーミーナイフを取り出す。


「扉は開けられるけど。…コナン君」

「な、なに?」

「ここの何処かに、安室さんと赤井さんがいると思うから探してきてくれる?」


先程までは彼のことを民間人であり保護をしなければならないと思っていた。だけど私は彼をかなり見くびっていたようだ。何故か沸き立つ安心感。
ふ、と笑えば、コナン君は力強く頷いて走っていった。その背を見送ってから、消火栓ボックスの前にしゃがみこんだ。早くしないといつ爆破スイッチが入るかわからないし、車軸が爆発すれば多くの犠牲は免れない。


「これだけで解除できる、かなあ」


ナイフを揺らしながら呟いて、不安になる。けど私には爆発物処理班のエースから培った業がある。一度ナイフを床に起き、ぱしん、と両頬を叩いた。


『あいつの腕なら信用できる』


『頼んだ、みょうじ』


以前、起きた事件を思い出した。私の先輩が降谷さんの同期ということを知った。そう、あの降谷さんも信用できると言ったのだ。うん、やれる。






×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -