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ほんとにもうくたくただった。ラウルさんに作れますと言った手前、引き返すことなんてできなかったし(作れるのは本当だけど……)
運よくコルセイトでもお世話になったハリーさんとレイファーさんと一緒に動くことができて東の大陸で調査ができることになった。サンドドラゴンがいなくなってからは慌ただしくなってしまって、コルセイトの同僚へ手紙の返信も出来ないまま、旅立ってしまった。


そしてファーブ村での調査も一段落してステラードに帰ろうと思ったのに、ハリーさんとレイファーさんはここに残るとか言い出してしまって。紆余曲折あって一人でなんとか帰ってこれた。少し無茶はした気がするけど、平気平気。
尻尾はそんな私の気持ちと裏腹に力なく動いている。

とりあえず、そう、組合にいってラウルさんとソールさんに報告しないと。疲れきった身体を叱咤して、ふらふらと組合に向かった。






「もう、大変だったんですよ……」

報告の前に愚痴。言いたくないけどつい出てしまった。だって本当に大変だったんだから!泣きそうな声で愚痴ってしまっていたら、組合の扉が開いた音が後ろから聞こえた。ああ、こんなところにいたら邪魔だなと考えていた。


「……おかえり、エスカ」

「ーーー!」


懐かしい声。でもそんなに遠い前じゃないはずなのにドキッとした。恐る恐る振り返るとそこにはコルセイトにいるはずの同僚。


「ロジー、さん……?」


照れ臭そうに頭を掻いてでも、私を見るロジーさん。どうして、なんで?いろいろ言いたいことはあったけど。


「うわーん!ロジーさああああん!!」


なによりも彼がいたことが嬉しくて今までの苦労が報われてしまった。


















「やっぱり無茶してたのか……」


ため息と共に頭を抱えたロジーさんのその姿を見るのは久しぶりで。この街にはソールさんもいるし、なんだかコルセイトに戻ってきたような、変な気分。
私は今までのことをロジーさんに報告して、本当に大変だったのだと強調した。
お疲れ様、とロジーさんは私の頭を撫でてくれて、目を細めて微笑むその顔になんだか今までの苦労が報われた感じになった。
久しぶりのロジーさん。中央から戻ってきてくれて、でもそんなに時間が経ってないまま私はステラードに旅立ってしまったので、嬉しすぎて泣いてしまいそうになった。


「……よく頑張ったな」

「……っ、はい」


泣いちゃだめだ。私は今頑張ってるんだから。褒めてもらいたいわけじゃなくて、私の成長したところを見てもらいたい。コルセイトにいた頃より、もっと成長した私を、ロジーさんに見てもらいたいんだから。

「エスカ?」

「っ!はい?」

「やっぱり疲れているんじゃないのか?」

「そ、そんなことないですよ!……ただ、夢なんじゃないかと思って。ロジーさんが此処に居るの」


…なんだか変な感じだ。


「俺もそう思うよ。またこうやってエスカと一緒に仕事が出来るのは本当なのか、まだ実感が沸かないな」

「ロジーさん……」

「中央からまたコルセイトに戻ってきても、すぐにエスカがステラードに行っただろ?だから、正直……なんというか、まあ静かだったよ」

「ええっ!それって私がうるさいってことですか?!」

「そういうことじゃなくて。あー、まあ、……寂しかった」


「え……?」


小声になったロジーさんの頬は少し赤い。問い返した私の手をロジーさんは取って歩き出した。


「え、ロジーさん今なんて……というかどこに行くんですか!」

「ステラードを案内してくれるか?エスカ。まだ全然わからないんだ。俺が初めてコルセイトに来たときのように」


掴まれた手が熱い。ロジーさん、今どんな顔をしてるんだろう。


「……もー、仕方ないですね!手紙に書いてた所とか教えてあげちゃいます!」


でもきっと私も同じ顔をしてる。恥ずかしいから、振り向かないで。









161005

エスカ&ロジーのアトリエ/ロジエス





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