妖艶に微笑む名前の顔に背筋がぞくりと震えた。長く彼女と付き合ってきたが……こんな彼女を見るのは初めてだ。細い指が俺の服に掛けられる。
「お、い」
「いつもいつもアルばかり。たまには私からしなくちゃ、ね?」
にっこり笑う名前に冷や汗をかきはじめる。そんな俺に構うことなくシャツのボタンを外し、露にさせ、鎖骨をなぞる。
「っ……!」
「ふふ」
舌が首から腹に這い、言い様にできない感覚が身体を襲う。いつもは攻める俺が攻められる側に回ろうとは思いもよらなかった。
――ピチャ……
女のように膨らみもなにもない、存在意義の分からない、乳首を執拗にならないくらい舐められ、気がおかしくなりそうだ。
「かわいい……。ねぇ、感じてるの?」
「は、そりゃそんなやらしい顔した女に……ンなことされりゃあな」
「ふふふ……でもこれからよ?」
紅いルージュが引かれた唇を舌で舐め、彼女は今度は吸い付いた。チリ、とどうってことはない小さな痛みが走る。
「く、ふ……」
「意外とアルも感度あるのね?」
クスクスと笑い声が耳に残る。なんだ、こいつ。昨日なんか可愛らしくあんあんよがらせてやがったのに、今日は一辺して大人気取りか?……悪くはないが、自分のペースが崩れていく。
「勃ってる」
「う、るせぇなおい」
「だって面白いんだもの」
「こ、の……っ!」
名前の指が段々下に滑り落ち、初めてのシチュエーションに困惑を通り越し、感じてしまった下半身の熱が昂る場所を撫でられた。非常にまずい。しゅるりとベルトを外される。
「ね、腰上げて?」
その言葉に逆らうことも何故だか出来ず名前の言うように腰を浮かせば、素早くズボンを剥ぎ取った。俺はこんなこと教えたつもりねーぞ。
「っく……」
下着の上から再び撫でられて、さらに大きくなる自身に驚いたような声が返ってくる。うっすらと開いた目を腕で隠すように、息を吐いた。
「どれだけ大きくなるの、これ?」
「……知るかよ、んなこと……!」
びくびくっと身体が震える。下着の中に滑り込ませた手で自身をしごかれる。潤滑油の代わりに先走り液を全体に塗りつけ、勢いよくしごかれ、雰囲気に飲み込まれて、達してしまいそうだ。しかし、男のプライドは許さない。
「なあ、……キスして、くれよ?」
「ん……」
望み通り甘く、深いキスを受け、ここからが形勢逆転の時間だ。
「っ、え?」
「さーて、今度は俺がご奉仕だな?」
先程の彼女がやったように、ニヤリと笑えば、段々顔面蒼白になっていく。気が付いたときには彼女は俺の下に移動。
「ア、アル!」
牽制の言葉は一切無視。すぐに露になった彼女の身体に吸い付く。少し乱暴に閉じられた足を開き、太股の奥に指を進めれば、トロリと纏いつくなにか。
「俺苛めてる間におたくも感じてたわけか」
「ち、ちが……っ、あっ!」
「あ。おたく、そっちのがいいわ」
「……え?」
「そんなそそるような化粧しても、大人ぶった行動も似合わねぇよ」
これだけ濡れていれば、指で慣らす必要はないだろう。今にもはち切れそうな自身を宛がって耳元に口を寄せ囁く。
「やっぱりお前は俺だけに鳴かされてりゃいいわけ」
ずぷり、と貫けば、嬌声が部屋を包んだ。
アンドロメダの淪落
(ガキの分際で俺を襲うたぁ、100年早いぞ)
(ガキじゃないもん!)
title/水葬さま
111030
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