04 |
(それは唐突に) 昼休みに裏庭を通っただけなのに、名前を呼ばれて振り返れば見た事のない女子。 「あのっ!好きなんです、付き合って下さい!」 「…は?」 まさかの突然の告白。 「ちょっ…仁王、見えねぇって」 「そのくらい我慢しんしゃい」 「そのまま言い争いをしていると見つかる可能性大だ」 「あんまし押すなって」 「聞こえないっス」 上から丸井ブン太、仁王雅治、柳蓮二、ジャッカル桑原、切原赤也。偶然裏庭で涼汰の告白現場に遭遇してしまったのだった。告白されているのは厘財涼汰。告白しているのは三年生の中でも上位に位置するであろう女子の一人。 「…立海大付属中等部3年生。テニス部所属。カウンターパンチャー。判断力、洞察力、瞬発力、観察力が特に優れた"立海大の司令塔"。冷静沈着、無頓着、無表情、自由奔放。左側は長く、右側は短い髪型が特徴。常時は左目に眼帯、テニス時は右目に眼帯を付けている。ピアスやアクセサリーなどが好み。好きな物は「ストップ、柳!」 ブン太が柳の情報を止めた。このまま聞いていたら長くなるだろうから。 「好きなヤツいるから無理」 「そんな…、っじゃあ、二番目でもいいから!」 「お前さぁ、…馬鹿じゃねーの?」 くるり、と涼汰は背を向けて歩き出す。 「どうなったんだよぃ!?」 「…いつもみたいにフッたんじゃなか?」 「涼汰が"好きなヤツがいるから"と言って断った確率89%」 「確率高っ」 「…全く見えなかった…先輩達、身長高過ぎっス」 「楽しそうな事してるね?」 後ろから聞こえた声に5人が一斉に振り返れば涼汰がいた。 「…何か言う事は?」 「「「「「覗いてごめんなさい」」」」」 五人の声が揃えば目は笑っていないが満足そうに口元を上げた涼汰。 (コイツ等は突然やって来る)(好きなヤツって誰っスか?)(…さぁ?)(それは唐突に) |
<< >> |