青空から始まる恋 | ナノ


03




「ミーティング?」

昼休憩に蓮二が俺のクラスに来た。何でも部活の連絡事項を伝えに来たみたいだ。昼食の時に言えばよかったのだが、つい先程に決まったらしい。

「あぁ。来週の練習試合に備えてレギュラーでミーティングを行う。放課後、部室に集合だ」

仁王と丸井にも伝えておいてくれ、と言って蓮二は教室から出て行った。これから2年校舎に行くらしい。携帯を使えば楽なのに…。まぁ蓮二はアナログだから仕方ないか。しかし今日はミーティングか。それなら授業中に倒れた件で部活中に真田に怒られる事はないだろう。それはそれで一安心だ。

「今日ミーティングだってさ」
「マジかよぃ」
「プリ」

まぁ来週が練習試合なんだからミーティングが入るのも仕方ないのだが、やはりテニスがしたいと思うのは俺だけではないようだ。現にブン太も雅治もミーティングという言葉を聞いて若干は落胆した様子である。

「そういえばさ、練習試合って何処とすんの?」
「あぁ、確か青学とだぞぃ」
「…それって青春学園って名前だよな」

以前に小耳に挟んだ学校名だが、今聞いても恥ずかしい名前だと思う。青春って…。まぁ私立だから名前は自由に決めれるのだけどもう少し考えればよかったのにと思わざるを得ない。

「青学の選手は詳しく知らねぇや」
「この前参謀と柳生が資料を作ってたんじゃが…それを見たらどうじゃ?」

ナイスアイデアだよ、雅治。ミーティングが終わったらその資料を見て青学選手を片っ端から頭に入れようと決心した。




あっという間に時は過ぎて、放課後。普段の練習が始まる時間の5分前に部室に行ったのに入口には真田が待ち構えていた。

「遅い!」
「五月蝿ぇよ、まだ5分前じゃねぇか」

10分前行動が基本だー!とか怒鳴っている真田を無視して部室に入る。お前は昭和の先生か。真田は本当に五月蝿い。耳元で叫ぶのは止めてくれ。部室には殆どレギュラーが来ていて、まだ来ていないのは雅治と赤也だけだった。赤也は遅刻だと予想出来るが雅治は解らない。不思議な奴だからな、雅治は。

「すんません、遅れました!」

案の定、赤也はミーティングが開始された5分後に来た。やっぱり真田に怒られる赤也。ちゃっかり雅治はミーティングが始まる直前に部室に来て真田の裏拳を逃れている。パンッと音が響いた後にドサリと何かが床に倒れた。最初の音は真田が赤也を殴った音で、次の発生源は赤也が床に倒れたからだ。あーあー…。遅刻したくらいで真田は厳し過ぎるんだよ。

「真田」

幸村が真田を止めるような声をかけたが、それはミーティングを中断されて苛立っているような声色だった。仕方なく赤也の元に歩み寄ると腕を引いて立ち上がらせる。

「…ほら、」
「すんません…」

赤也を真田から離れた席に座らせた。本当に俺も赤也に甘いな。赤也だって男なんだから余計な手助けはいらないだろう。別に赤也が殴られた事に対しては真田を責めたりしない。これが立海だから。

「…じゃあ、続けようか」

再開された話し合い。幸村が話しを進めて蓮二が記録を取ったり資料提供をする。真田は一番後ろの席でミーティングの成り行きをじっと見ている。

「D1は丸井と赤也。D2は涼汰と蓮二」

次々と幸村がオーダーを発表していく。今回は蓮二とペアか。折角の練習試合という事で色々な組み合わせを試す方針らしい。

「要注意人物は主に手塚と越前だ」

手塚はテニス界でも超有名人だ。オールラウンダーらしい。まぁ手塚はシングルで来るだろう。一方の越前は全く知らない。誰だよ越前って。

「立海に負けは許されない」




(それが立海の掟)(王者に負けは許されない)(負けたら王者じゃなくなるから)(勝つのは俺達立海だ)


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