青空から始まる恋 | ナノ


01




「あー、疲れたー」

練習試合も終わり、結果は良好だった。今日の相手は銀華中。…うん。弱かった。真田と試合が当たった奴は腹痛で試合放棄。俺と当たった奴は頭痛で試合放棄。まともな試合が出来たのはたったの一試合。勿論勝ったのだが、これは良好と言えるのだろうか疑問だ。

「たいして試合してねぇのになー…」
「まぁ、そう言いんさんな」

雅治が俺を宥める。今は部室前でミーティング中。幸村は顧問と話し合い中。なので真田がミーティングを仕切っている。当然話を脱線させた俺を真田が怒鳴らないハズもなく…

「厘財!グランド20周だ!」

…やっぱり走らされた。どうしても俺は思った事を隠すのが苦手らしい。それが毎回のようにゴタゴタを引き起こすのだが。でも真面目に走っている俺は偉いと思う。




「……っ」

一瞬感じた喉の違和感。だけど一瞬だけで持続している訳ではないので走る事を再開した。最近俺の体はおかしい。頻繁に発作が出るようになった気がする。何か良くない事が起こりそうだ。ぞろぞろと部室から部員達が帰って行くのがグランドから見えた。もうミーティングは終わったらしい。未だに俺はグランドを13周目。あと7周走るのが面倒になってきた。

「早く終わらせる、か」

ペースを徐々に上げていく。流石に一気に上げるとキツいし効率が悪い。夕暮れに溶ける空を眺めながら走る。部室前を不意に見れば誰もいない。みんな帰ったようだ。あと2周。




「あー…」

水飲み場に来ると壁に背中を預けて座り込んだ。程よく汗をかいたせいか、頬に当たる風がひんやりと冷えていて心地よい。だがそれも束の間。直ぐに汗は引いて寒さが俺を襲った。

「…う、わ…!?」


(目隠しされて感じたものは)(背中に暖かい体温)(笑いを耐える声から)(その体温が赤也だと解った)



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