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「厘財先輩、好きなんです、付き合って下さい!」 「わりぃけど好きな奴いるから」 「涼汰君の事好きなんだけど…付き合ってくれないかな?」 「好きな奴いるから」 「あ、あの、好「好きな奴いるんで」 「あ゛―、面倒くせぇ…」 「今日も人気絶好調だな、涼汰」 「そう思うんなら助けてくれっつーの…」 「それ以前にどうやって助けんだよ」 「それはジャッカルが考えるんだよ」 「俺かよ」 現在ジャッカルと二人で屋上に行く途中。これからテニス部メンバーで昼食。屋上に行く、という簡単な行動なのに、廊下を歩いているだけで三人に告られた。こっちは遅れたら真田が煩せぇから急いでんのにいい迷惑だ。案の定、屋上のドアを開けば真田はご立腹だった。 「遅い!」 「へーへー、スンマセンね」 お前は謝る気があるのかー、とか後ろで真田が騒いでたけど放置。あんなのと真っ向に口論しても何のメリットもないし、何より興味がない。 「涼汰先輩遅いっスよー」 腹減りました、と愚痴を溢している赤也が子供っぽくて不覚にも可愛いと思ってしまった俺は変なのだろうか。 「わりぃな、赤也」 「涼汰は仕方ないだろ、告白されて大変だったんだから」 「告白されたんスか!?」 「またかよぃ」 「涼汰はモテるのぅ」 「いや、お前等程じゃねぇよ…」 「で、返事どうしたんスか?」 「好きな奴いるから、と言って断った確率98%」 「蓮二正解ー」 昼御飯に箸を付けて、口に飯を含んだまま答えた。蓮二に「行儀が悪い」と注意されたけれど聞こえないふり。 「涼汰の好きな奴って誰だよぃ?」 「俺も知りたいっス」 「赤也、俺の好きな奴気になるの?」 「俺にはなしかよぃ」 ブン太は放置して、ずい、と赤也の顔の前に自分の顔を寄せた。俺と赤也の顔の距離は僅か15p。 「えっ…あ、の…はい」 戸惑う赤也が可愛くて楽しくて悪戯したくなった。それなのに、奇声に邪魔された。 「キェェエエェエエ」 浮く俺の体。 「な…!?」 気づいたら真田の背負い投げをされていた。見えるのは逆さの世界。青空が綺麗だ、とか考える余裕なんてなかった。屋上の床はコンクリート。こんなのに叩きつけられたら痛いに決まってるし怪我だってするかもしれない。それだけはテニスプレイヤーとして嫌だった。怪我なんてしたらテニスが出来なくなるから。 急いで床に叩きつけられる前に両足を背中よりも早く出せば、一際大きな音を立ててコンクリートの床に付いたの左右の足。両足に振動が響いて少し痛い。そのまま力を入れて踏ん張ると上体を起こした。 「ってぇな…何しやがんだよ、馬鹿!」 ムカついたので思い切り左足で真田の腰を蹴り上げてやった。先程の背負い投げのダメージがまだ残っていて辛かったけどそんなのムカついて感じなかった。 「黙らんか!!たるんどる!」 「はぁ!?意味解んねぇっつーの」 「だいたい何だ、そのピアスは!!」 「うっせぇよ、俺の自由にケチ付けんじゃねー!」 「それにその髪型はスポーツマンとして「五月蝿い、老け顔」 「まーた始まった…」 ふぅ、と溜め息を吐いたジャッカル。 「いつもの事だろぃ」 「このままだと幸村が二人を止める確率86%」 「今日は放っておこうか」 「ハズレたっスね、柳先輩」 「100%ではない」 「仁王君、それは私の…!」 「…プリッ」 喧嘩が大事にならないか心配しているジャッカル。昼食を食べ終わってお菓子を口に運びながらも涼汰と真田のやり取りを楽しそうに見ているブン太。データを取る様に二人を観察している柳。ゆっくりと昼食に食べる幸村とは対照的にガツガツと昼食を口に詰め込んでいく赤也。雅治が柳生のおかずに手を伸ばして食べて、柳生はそれを阻止しようとしている。 のどかな小春日和 (真田のバーカ)(黙らんか!)(小学生の喧嘩みたいぜよ)(いい加減にしようか)((…すいませんでした)) |
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