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朝日が、眩しい。普段なら朝練に行かなくてはいけないのだが、今日は業者によるテニスコートの整備があるらしい。練習は休み。 「…涼汰?」 一番に目覚めたらしい俺はこの家の主を探すが、見当たらない。周りではブン太や赤也がぐっすりと眠っている。 「んっ…ジャッカル?」 「あ…悪い、起こしたか?」 「いや、平気じゃよ」 低血圧らしいのか目を覚ました仁王はなかなかソファーから起き上がらない。仁王は暫くはあのままだろう、と諦めて俺は涼汰を探す事を再開した。リビング、寝室、風呂場、各部屋を探しても見当たらない。ガチャリ、と玄関に続く廊下へのドアを開いた。 「…っ涼汰!?」 「どうしたんじゃ、ジャッカル?」 見たものは、玄関に座り込んでいる涼汰の姿。上着は一応着ているみたいだが体は冷えているに違いない。靴も履いたままだ。 「おい!」 「涼汰!?」 駆け寄る俺と、慌てる仁王。 「…んー…あ?」 「お前、何でこんなとこで寝てんだよ…!」 涼汰の目が少し充血して腫れているのは俺の気のせいなのだろうか。 「あー…眠たかったから」 「馬鹿、風邪ひくだろ!」 案の定、涼汰の体は冷えていて。「早くシャワー浴びて暖めて来い!」と声を荒げると半ば無理矢理に涼汰を風呂場に押し込んだ。 「何であんなに怒ってんだ?」 ジャッカルへの疑問を抱えたまま仕方なく服を脱いでシャワーを浴びる。鏡を覗けば自分の顔が写る。目が腫れているのはバレてしまったのだろうか。そんな事を思いながら風呂から出た。 「起きろー」 「…んー…あと30分」 「長ぇよ、馬鹿ブン太」 未だに目が覚めていない奴の頭を小突く。もう少しでブン太は起きるだろう。問題は未だに起きない赤也だ。 「赤也ー、起きろー」 「…んー…」 「赤也ー」 「…んんー…」 「まかせんしゃい、涼汰」 起きない赤也をどうしようかと悩んでいると来たのは雅治で。すう、と息を吸い込むと声を張り上げた。 「起きんか、赤也!」 「うわっ、真田副部長!?」 雅治お得意の詐欺(ペテン)で無事に赤也は目覚めた。真田の声で赤也が目覚めるのなら、真田の声入りの目覚まし時計でも作ってもらえばいいのに。それからは5人で出掛けて、テニスをして、帰宅して、昨日約束した通りにケーキを作った。あっという間に時間は夕方で。夕焼け色に染まった空が何処か物寂しく見えた。 「泊めてくれてありがとな」 「ケーキ、また作ってくれよぃ」 「また来るぜよ」 「楽しかったっス!」 「おー、じゃぁな」 バタン、と閉まった玄関。先程の賑やかさが嘘のように静寂が家中を支配する。寂しい、と思うのは気のせいにする。明日はいつものように学校だ。明日になればまた会えるのだから。 (変化する気持ち)(赤也への)(おかしいんだ、俺)(どうすればいい?) |
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