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「そーいえば何で屋上来たんだ?」 現在、赤也と雅治とで購買に行く為に廊下を歩いている最中。プリンとコロッケパンを買う為に。 「俺は、仁王先輩が着いて来いって言ったんで」 「俺は朝練をサボッとった涼汰と話そうと思っただけじゃよ?」 赤也はともかく雅治にはやっぱり朝練サボッたのバレてたんだ。やはり、あの時に目があったのがいけなかったのだろう。 「…頼むから幸村には内緒で」 「プリッ」 絶対に幸村に言う気だ、雅治の奴。楽しそうに口元を緩ませてやがる。そんな雅治を横目で見つつも俺は言葉を紡ぐ。 「何でもするからさー」 俺だって面倒に巻き込まれたくないから。自分で撒いた種だけれども。万が一幸村にバレればグランドを何周走らされるだろうか。考えただけで気分が滅入ってしまう。 「キスでも、か?」 「はぁ!?」 雅治の言った言葉に過剰反応してしまい、廊下に俺の間抜けな声が響いた。隣の赤也も目が点になっている。 「ククッ…冗談じゃき」 「…お前が言うと冗談に聞こえねぇんだよ」 なぁ赤也、と話を赤也に振れば、 「、え!?あ、…そうっスね」 返って来たのは慌てたような返事で。そして直ぐに俯いてしまった赤也。…あれ?赤也、元気ない?何かしたっけ、と記憶を辿ったが思い出せない。心に疑問を抱えたまま購買に着いた。昼前という時間帯でもある為に人が多い。人混みが苦手な俺にとっては面倒でしかないが、プリンなどを購入する為に必死に頑張った。 「雅治がプリンだろー…赤也がコロッケパン…」 二人の食べたい物に手を伸ばした後に自分の昼御飯も調達する。俺の手にはプリン、コロッケパン、おにぎり、シュークリーム。おにぎりは俺用の昼御飯。 「悪い、遅くなった」 ほら、とそれぞれの食べ物を渡す。先に歩く雅治には内緒で赤也にこっそりとシュークリームを手渡した。 「…雅治には秘密、な」 「いいんスか?」 いーの、と赤也の頭をぐしゃぐしゃに撫でる。あ、赤也の髪って見た目よりもフワフワしていて触り心地がいい事に気づいた。 「わ、ちょっ、涼汰先輩」 頭をぐしゃぐしゃに撫でられている赤也が俺の手から逃げようとするが、赤也の髪は俺のせいで既にぐしゃぐしゃだ。 「ほら、行くぞ」 手を離した俺に届いたのは元気な返事と赤也の笑顔だった。それに微笑みながらも俺は足を進める。 (妬けるぜよ)(…何が?)(涼汰は鈍感ナリ) (美味しいっス!)(そりゃ良かった) |
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