今日は12月25日。世間ではクリスマスという日らしい。街並みの店は赤色と緑色で飾り付けされ、その間をカップルが忙しなく行き来している。クリスマスの雰囲気に包まれているのは万事屋も例外ではない。




「銀時、神楽は?」
「あァ、アイツなら寝たよ。騒ぎ疲れたんだろ」

これだから餓鬼は、なんて呟きつつも横目で後片付けをしている春樹を一瞥する。今日はクリスマスである。少しだけ奮発してクリスマスケーキを一つ買って、普段よりも幾分か豪華な晩御飯を春樹に作ってもらって、細やかながら万事屋四人でクリスマスを祝ったのだった。

「俺も手伝うわ」
「ありがと、銀時。じゃあ其処のお皿を台所に持って行ってくれると嬉しいな」

了解、と一言呟くとテーブルに纏めて置かれている使用済みの皿を手に取る。いつもなら春樹と共に片付けをしている新八は既に帰っていた。もう遅いから早く帰りなさい、と春樹が未成年の彼を気遣ったからだ。

「まァ、俺にすれば春樹と二人っきりになれるから嬉しいんだけど」
「銀時?何か言った?」
「…何でもねェよ」

春樹に背を向けたまま、そう誤魔化す。皿に付着した生クリームがクリスマスが終わろうとしている事を暗に示しているみたいだった。目の前では春樹が俺に背を向けて皿を洗っている。

「春樹、」
「わっ!銀時…!?」

するり、と眼前の彼の腰へと手を回すと春樹の口からは上擦った声が溢れた。自分よりも幾分か細い腰回りを抱き締める。

「ど、どうしたの?」
「…別に、ただこうしたくなっただけ」

そう呟きながら春樹の首筋に顔を埋めた。彼の髪から漂う俺と同じシャンプーの香りが鼻腔を掠める。 何故かは解らないが、普段よりも強く春樹が愛しいと感じる。これがクリスマス効果とでもいうのだろうか。

「ひゃ、!」

ちゅ、と小さなリップ音をたてて春樹の首筋に軽く口付けた。それだけなのに小さな悲鳴をあげる彼がとてつもなく可愛い。蛇口から流れている水は春樹の震える手によって止められた。

「ぎ、銀時…っ!」
「ん?」
「まだ、片付けてるから…待ってってば」
「明日やれば良いじゃねェか」

耳元でそう言葉を紡いでやると、真っ赤な顔をした春樹に弱々しく睨まれた。この男はそんな顔で抵抗しても逆効果である事を解っていないのだろうか。

「きょ、今日の内に片付けておかないと汚れがとれなくなっちゃうの!」
「別に今日くらい問題ねーよ」

ぐるりと春樹の身体を半回転させて自分と向き合うような体勢にさせる。自分とは正反対の色をした彼の髪の毛をゆっくりと撫でてやると、春樹が悔しそうな目付きで俺を鋭く見上げた。

「銀時ばっかり余裕で、ずるい」
「馬鹿。こう見えても銀さん余裕ねーの」

そっと彼の唇に自分のを落とすと、春樹の腕が自分の首に回されたのを感じた。どうも俺達はお互いに余裕がないらしい。




「…ま、待って…ぁ、」
「無理。待てねーよ」

俺の布団に横になった春樹が必死に言葉を紡ぐが、彼に覆い被さった俺はそれを聞く気なんて更々なかった。情けない事に余裕がないのだ。

「っひ…ぎん…やぁ!」

ぐ、と着流しの上から彼の乳首を押し潰すと春樹の口から弱々しく悲鳴が上がる。いやだ、と言うように春樹が弱々しく首を振るが、それを聞き入れる事なく俺は彼に口付ける。

「ん、あ…、んぅ…っふ」

春樹の舌を絡めとるように何度も舌を彼の薄い唇の間に差し込む。口づけの間に聞こえる春樹の吐息が酷く官能的で、自分の腰の一点に熱が集まるのが解った。

「っ…ひゃ、あ…ぎ、ぎんっ」
「んー?」

先程と同じように春樹の乳首を押し潰してやると彼の口から俺の名前が紡がれた。これが無意識だというのだから恐ろしい。

「…ふ、ぁ…」

春樹の首筋に舌を這わせつつ、性急に彼の着流しの帯を緩めて其れを脱がせる。何度でも思うが、こんなに余裕がないなんて自分が情けない。本当はもっと優しく抱いてやりたいのに。

「春樹、もう勃ってる」
「やっ、…言うなぁ…!」
「だって本当の事だろ?」

聞きたくない、と言うように春樹が首を横に振る。彼の黒髪が布団の上にぱらぱらと舞うのが酷く美しい。春樹を乱しているのが自分であるという事実が変に自分を満たす。

「…もうぬるぬるじゃん」
「ぁ…っや…ぎん、ときっ、あぅ…」

春樹自身を右手で握って先端をぐりぐりと親指で弄ってやると、恥ずかしいと言うように春樹は喘ぎながら俺の首に腕を回してしがみつく。付き合ってから何度も身体を重ねているのに、こうも馴れないものなのだろうか。

「…まったく、銀さん恥じらい系とか弱いんだからな」
「な、っ何言って…ひ…ああ…!」

鈴口を広げるように優しく親指を差し込めば春樹の口から一際大きな声が漏れた。それに自分でも驚いたらしい春樹は慌てて自身の口を両手で塞ぐ。

「何で声我慢すんの?」
「だ、だって…ぁッ、恥ずかしい…っ」
「手退けて。銀さん、春樹の声聞きたいんだけど」
「っだめ…!神楽に…も聞こえちゃ…や…あぁ!」

先程よりも少しだけ強い力で春樹のぺニスの先端を押し潰す。情事中に自分以外の名前が彼の口から出ただけでこうもいと容易く嫉妬してしまうなんて自分らしくもない。きっとそれ程までに余裕がないのだろう。隠しておいたローションを自分の掌に出すと何度か手を滑らせて温める。

「ひっ…冷た、い」
「ん?まだ冷たかったか?」

ローションを春樹の後ろの穴に塗り付けると小さく悲鳴があがった。悪いな、なんて彼への謝罪の言葉を紡ぎつつも、ゆっくりと中指を進めていく。少しだけ指を動かす度に俺の身体にしがみついてつくる春樹が愛しい。

「やっ…ん、っふ……ああッ」
「…春樹ごめん。銀さん限界かも」

既に猛り狂った自身を春樹の腿に擦りつける。相も変わらず指を抜き差しすると春樹の尻からはぐちぐちと水音が響いた。其処からゆっくりと指を抜くと春樹が小さく控え目な吐息を漏らす。これだけで銀さんイけそうだよ、うん。そんなふざけた事を内心で考えつつも、枕を手にすると春樹の腰の下へと設置する。男同士はこうしないと挿入しにくいのだ。

「っぎ、ん…ぁ…ふ、あああっ!」
「…っ…春樹、」

ぐ、と体重をかけて春樹へと自身を押し込んだ。途端に息が詰まるような圧迫感に襲われる。何度も身体を重ねてきたが相変わらず春樹の中は熱くて狭い。

「っや…、待って…ひ、ぅ」
「……わりィ、無理かも」

久々のその行為に直ぐに達しそうになるのを耐えながらも、春樹の腰を掴むと俺はがつがつと自身の腰を打ち付けた。その度に春樹の口から溢れる喘ぎ声に背筋がぞわりと粟立つ。

「ん、ぁあ…っん…や、はげ、しっ…ァッ!」
「…はっ、やべ」

情けない話だが、このままでは先に自分が達してしまうと考えた俺は、張り詰めている春樹自身にそっと手を伸ばした。そしてそのまま鈴口を親指の腹で弄ってやると春樹の顔が小さく快感で歪む。

「ぎんっ、…あァ…んッ、…ひぅ」
「…く、」
「あッ、も…っん、だめ…ぎんっ…ぎんとき、ぃあ…っ!」
「…っ」

ぎゅ、と春樹が俺の身体にしがみつく。快感に染まった表情を浮かべながら俺の名前を呟く春樹の身体を彼が抱きしめ返してやると、春樹が白濁を吐き出して俺自身をきつく締め付けた。

「…は、」

部屋に二人分の荒い息遣いが響く。春樹に覆い被さっていた俺は、彼の身体の上に倒れ込んだ。達した後の身体は酷く気だるかったが、それでも幸せだった。腕の中に春樹を閉じ込めると、そのまま少し強い力で抱き締める。

「…ん、…ぎん」
「…悪ィ、歯止め効かなかった」

彼の額に張り付いた前髪を手で払い除けてやると、春樹は可笑しそうに俺に向かって笑いを溢した。その表情に俺が頭にクエスチョンマークを浮かべると、春樹はゆっくりと言葉を紡ぐ。

「良いよ、幸せだったし」

そう柔らかく微笑んだ春樹から、俺は目が離せなくなった。やっぱりこいつ可愛いな、なんて考えているとある一点に熱が集まるのが解った。これはやばいなんて考えつつもやはり男の性だと言うべきなのだろうか。腕の中の春樹の腰に自分の緩く勃起しているものを擦りつけた。

「春樹、」
「……え」

ちょっと待ってくれ、という春樹の焦った言葉を俺は自分の唇で塞ぎながら、彼の中心に手を伸ばした。こんなクリスマスも良いかもしれない、もう日付は変わってしまったのだが。そんな事を考えながら、俺は春樹の中に自身を埋めた。




きみの体温をのみこむ




2011/12/25
marry christmas!