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「#幼馴染」のBL小説を読む
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そういえば昔付き合っていた彼女が言ったっけ。永遠って信じる?、と。あの頃の俺は無駄に素直で女の子の扱い方を知らなかった。故に俺はこう言ったのだ。永遠を信じる方が間違っている、と。



「…お前、それは酷ェよ」

俺の話を聞いていた銀時がぽろりと言葉を溢した。目の前のパフェに盛り付けられているアイスクリームをスプーンで弄りながらも俺は彼に言葉を紡ぐ。

「だって銀時はそう思わないの?人間は寿命ってものがあるし、老衰で死ぬより先に不運があって若くして死ぬかもしれないんだよ?」
「…なんつーシビアな考え方してんのお前。オイねーちゃん、チョコレートパフェ一つ!」

げんなりした様な呆れた様な表情で銀時は俺を見つめていた。そんな事はお構い無いと頭で考えながら俺はパフェを口に運ぶ。俺よりも先にパフェを食べ終わっていた銀時はウエイトレスを呼び、追加でパフェを注文していた。

「甘い物食べ過ぎて血糖値上がるぞ。この糖尿予備軍が」
「うるせーよ。甘い物は俺の命の源なの。銀さんこれがないとやってけないの」

そんな会話をしている間にウエイトレスがパフェを運んで来て銀時の前へと置くと、直ぐ様に彼はスプーン片手にパフェを口に運んだ。この糖尿予備軍には何を言っても無駄の様だ。目の前で幸せそうにパフェを食べる銀時の顔になんだか腹が立って、俺はテーブルの下で組まれているであろう銀時の脛を靴の爪先で蹴り飛ばした。

「い゛っ…!!」
「あれ?どうしたの坂田くん」

何もしてません何も知りません、という様な表情をして俺は銀時に微笑んだ。そんな俺に銀時は青筋を立たせるが、生憎全くと言っていい程に怖くない。

「こんの糞餓鬼ィィィ!何俺の弁慶蹴ってくれてんだァァァ!」
「糞餓鬼だなんて失礼な。たった三つ年下なだけだろ?」
「俺から見たら充分オメーは糞餓鬼なんだよコノヤロー!」
「おいおい銀時。あんまり怒るなよ、血圧上がるぞ」
「お前の所為だろーがァァァ!」

未だにギャアギャアと喚く銀時の口にパフェの乗ったスプーンを突っ込むと、追加でパフェを注文してやった。これで銀時は大人しくなるはずだろう。

「…しっかし春樹は女の扱い方ってモンが解ってねーなァ」

俺が追加注文してやったパフェを一心不乱に口に運びながら銀時は呟いた。どうやら先程までの憤りは何処かへ行ってしまったらしい。得意気な顔で女心について語り始める銀時に不快感が再び募るが、ぐっと抑え込む様に我慢する。

「そこは『お前となら永遠も信じれるよハァト』とか言ってやらねェと駄目だぞー」
「……大して女経験ないくせに」
「おーい。銀さん聞こえてるから。ちゃんと聞こえてるからね」

どうやら小さく呟いた俺の言葉は目の前の銀髪に聞こえていたらしい。先程俺が注文したパフェを既に食べ終わっていた銀時は「ったくよー」と半ば呆れた様な表情で言葉を続けた。

「目の前で恋人の過去の話を聞かされる俺の身にもなってほしいんですけどォー」

銀さん傷ついたー、と半分ふざけた様な声色で銀時は俺へと言葉を投げ掛ける。今に始まった関係ではないが、俺と銀時は恋愛関係にある。キスもしたしセックスも既に経験した。銀時を好きかと問われれば迷いなく俺はイエスと答えるであろう。

「…俺、永遠は信じてないけど、」
「おーい。銀さんの可愛い妬きもちは無視なのか春樹くん」
「銀時となら、生まれ変わった来世でまた一緒になれるって信じれるよ」

その言葉を告げた時、俺は確かに穏やかな気持ちだった。落ち着いてて、とても満ち足りた感情。保証なんてないけれど俺は確かにそう信じていた。俺の中にあった銀時となら来世でも一緒になれるという根拠のない確信は俺の口から言葉となった。

「………お前、それ無意識?」
「銀時?」
「あー駄目だわ、銀さんもう駄目。春樹くんが可愛くて仕方がない」

こんな白昼から男に向かって可愛いと言うこの男は馬鹿なのだろうか。ただ俺は男なのに自然と嫌な気持ちはしなかった。多分それは相手が銀時だからだと思う。とりあえず「万事屋に帰ったらセックスしよう」と俺に告げたやる気満々な銀時の脛をもう一度蹴り飛ばした。




永遠を信じる方が間違っている
(だけど来世は信じてる)