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マネージャー設定



忍足侑士のペアである日向岳人は、よく跳びます。試合中も練習中も跳びます。目で追うのが大変です。

氷帝テニス部の部長、跡部景吾は俺様です。テニスは凄く強いですが性格に一癖あります。周りは彼の事を天才と言いますが、ちゃんと影で努力しているのを俺も侑士も知ってます。

芥川慈郎は何時でも何処でも寝ます。スイッチが入るまで集中しませんし、起きません。慈郎を探すのは一苦労です。

氷帝には沢山の個性豊かな人がいます。



「あっつー…」
「お帰りー」

買い出しを済ませてバタンと部室のドアを開けば、中には氷帝の天才である忍足侑士がいた。

「侑士、練習は?」

先程買った荷物を跡部が部室に持ち込んだソファーに置く。これがバレたら色々と跡部が五月蝿いだろうな、と思い荷物は床の上に変更。

「暑かったやろ?お茶飲む?」
「おぉ…サンキュー」

俺の質問に答える事はなく、侑士は慣れた手つきでお茶を用意している。ソファーに腰を下ろすと溜め息を一つ吐いた。

「大変やな…跡部に車出してもらえばよかったんちゃうん?」

侑士はお茶を入れ終わったらしく、それを俺に手渡した。お礼を言って受けとると飲み干す。やっぱ侑士の入れてくれるお茶は旨い。

「甘える訳にはいかねぇだろ?マネジャーやりたいって言ったのは俺なんだし」

二年前、つまり俺達が一年の時にマネジャーになりたいと跡部に志願したのは俺だ。偶然マネジャーを探そうとしていた跡部に俺はちょうどよかったらしい。

「せやかて、今日みたいに暑い日は…」
「侑士」

侑士の言葉を遮って俺は侑士を見つめた。俺を心配してくれている事は痛い程に伝わって来る。だけどこれは俺の仕事だから。

やっぱり侑士は氷帝のお母さんだと思う。現に練習に出ずに部室にいたのだって俺が買い出しから帰って来る事を見越してだろう。

「やっぱお母さんなんだよなー…」
「は?」
「いや、侑士がお母さんみたいだなって」

個性豊かな人が多い氷帝のテニス部を一番よく見ているのは侑士だ。岳人が好き勝手に試合で跳んでも、跡部がどんなに突っ走っても、慈郎がマイペースでも、ちゃんと侑士は周りを見ている。

ソファーから立ち上がると侑士の腕を掴んで自分の方に引っ張った。当然侑士は俺の方に引き寄せられる。

「春樹…?」
「侑士、ありがとな」

心配してくれて、と付け加えれば俺に抱き締められたままの侑士は擽(くすぐ)ったそうに身を捩らせた。

立ったままの状態も買い出し後の俺には少し辛かったので、一旦体を離すとソファーに侑士と一緒に座る。そして再度抱き締めた。

「…一番疲れてんのは侑士なのにな」

俺の胸の中で小さく寝息を立てる侑士に微笑む。最近は大会続きで疲れていたに違いない。それなのにマネージャーである俺にも気を使ってくれる、そんな侑士が愛しいと思う。


(まぁお母さんにも休息は大事って事で)


(はい、お前等、正座しろ)(…はい?)(俺の侑士に沢山の気を使わせた罰って事で)(春樹は侑士にゾッコンです)