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季節は冬。寒空の下で俺が吐いた吐息が白く変わって空に消える。寒い。制服の下に何枚も重ね着をして、学校指定のマフラーを口元まで上げても寒さは防げない。

「うあー…寒いー」

寒いと言った所で何も変わらない。ただ何かを言っていないと本当に凍ってしまいそうだった。

世間は受験シーズン。中三である俺も例外ではなく、毎日のように高校受験に備えての勉強に終われる日々。立海の高等部に進学するのだが、外部からの受験者も沢山いる中で中等部から進学する事は予想外に難関である。

「早くしろよなー…」

愚痴を吐きつつもその吐息で手を温める。こんなに寒くなるんならカイロをもう一つ持って来ればよかった。

「春樹、悪い!」
「…遅いよ、ブン太」

寒さの為に真っ赤に染まった俺の頬を見てブン太が再び謝った。責めるつもりなんて全くないのだけど。凍死しそうだから早く帰ろう、と言うと先に足を進め出した。

「で、志願書は出せたのか?」
「おう、バッチリだぜ」

期限過ぎて出したくせに威張んなよ、とブン太の頭を優しく小突いた。まったく。先生が待ってくれてたから良いものの。一歩遅かったら高校進学出来ないかもしれなかったのに呑気なものだ。

「今日も勉強すんの?」
「当たり前。受験生だからな」

ふーん、と俺の返事に面白くなさそうにブン太が呟いた。最近はメールもろくに出来ていない。俺だってブン太とメールしたいし、電話だってしたい。だけど受験生だから。受験に落ちたんじゃシャレにならないから我慢している。

「そんなにヘソ曲げんなって…な?」
「……ん」

あーもうっ。拗ねた表情も可愛いなコノヤロー。こんな事を思っている場合ではないのだけど、今のブン太を見ると思わざるを得ない。

「…ブン太」
「なん…っん、ぅ」

俺の唇を振り返ったブン太のそれに静かに重ねた。軽く触れるだけのキス。やっぱりブン太とのキスは気持ちいい。メールを止める事は出来てもキスする事が止められない。

まるでそれは麻薬のように。




薬物乱用
(近い内に禁断症状とかでそうだな)
(キスしないと情緒不安になったり)
(それならそれでいいかも)
(だって頻繁にブン太とキス出来るだろ?)