「ブン太の髪ってさ、綺麗だよな」

今まで思っていた率直な感想を俺に跨がっているブン太に告げた。当の本人は一瞬唖然として直ぐに眉間に皺を寄せる。

「…ムードぶち壊し」

そんな不機嫌そうな顔なんかしても怖くないよ。俺にしてみればブン太の不貞腐れた表情は可愛く見えて逆にそそられるんだけど。

現在の俺の体勢は恋人のブン太にソファーに押し倒されていて、更にはブン太が俺の腹の上に跨がっている状態。あぁ、ついに俺はブン太にヤられるのか。

いつもと逆の立場に多少焦りながらも、この後にブン太がどんな行動をするのか楽しみにしている俺がいる。ま、最近はブン太とのそういう行為はご無沙汰だったからブン太が盛るのも無理はない気がする。

「本当にそう思うんだけどな」

するり、とブン太の赤い髪に手を滑らせると本人はくすぐったそうに身を捩らせる。そんな些細な動きだけでソファーがギシリと軋むように鳴いた。自分で言うのもアレだけど、何だかエロい。

「でも俺、脱色とか結構してるぞぃ?」
「けど、綺麗だよ」

俺の指先で遊ばせていたブン太の赤髪は重力に従ってサラサラと流れるように落ちる。何だかそれが外国の砂漠の赤い砂を連想させて神秘的だった。

「…んっ」

ブン太の綺麗な髪から指先を離して、そのまま白い首筋に触れればブン太は小さく鳴いた。そんな姿にさえも欲情してしまう俺は変態なんだろうか。

「お、れは…」

俺の指先から逃れるようにブン太が身を捩らせる度にソファーが小さく軋む。突然ブン太の左手が俺の右耳に触れた。

「春樹の…ピアスの方が綺麗」

俺の両耳に一個ずつ着けられた赤い輪の形のピアス。カーテンを閉めていない為に窓からの月明かりに反射するらしく、ブン太がうっとりとそれを眺めている。

「……もう、限界」
「へ?…うわっ!?」

ぐい、と上体を起こしてブン太に荒々しく口づけた。当然俺に跨がっていたブン太の体勢は崩れて、俺の上に座り込むような体勢になってしまったけれど、それはそれでいい体勢だ。

「ブン太、…えろ、い」
「そ、んな…っの…知らな…っん」

キスの合間に呟いてやれば、いやだと首を小さく左右に降るブン太。と言うより、俺に跨がる自体で十分エロいんだよ。

決めた。今夜はこの体勢のまま騎乗位でもしてみようかな。ブン太の首筋に紅い痕を残しながらそんな事を考えた。



赤い理由
(ねぇ、俺のピアスが赤い理由を知ってる?)
(ブン太の髪の色って赤色だろう?)
(少しでも君と一緒がよかったんだ)