下ネタ・千蔵要素有り
「ひーかーるー」
「…何ですか」
「ヤろ」
ぶふっ、と隣で謙也が烏龍茶を吐き出した。若干散って汚いんですけど。ちなみに此処は屋上。時間帯はお昼真っ盛り。四天宝寺テニス部で昼食中。
「春樹、場所は控えた方が…」
「おん。堪忍な、師範」
最近は欲求不満やわー、と呟けば、また謙也が烏龍茶を吹き出した。だから汚いって。隣におる俺の事も考えてくれ。純情なのも大概にしとけって話や。
「なぁ、光…どう?」
「…先輩キモいっすわ」
ばっさりと断られてフラレた。結構本気だったのになぁー。昨日サッカー部の恋人と別れたばかりでホンマに欲求不満だったりする。いい締め付けだったのに惜しい事をした。
「なぁなぁ、ヤルって何?」
今まで弁当をガツガツ食べていた金ちゃんが口を開いた。小さい金ちゃんの口の辺りにはご飯粒が付いてる。ホンマに可愛い奴やわぁ。
「金ちゃんもお年頃やなぁー。俺が教えたるで、手取り足取り腰取り…」
金ちゃんに真面目に話している途中なのに俺の目の前に黒い影が出来て、ふっと薄暗くなったかと思うと後ろから思いきり叩かれた。
「いい加減にせぇ!」
「いだっ!」
今まで黙っていたユウジにバコンと叩かれた。地味に痛い。てか何処からそのハリセン取り出したんか不思議やわ。
「妬きもちか…可愛いなぁ、ユウジ」
「勘違いもいい加減にせぇや!」
ぐい、とユウジの顎を親指で持ち上げた。まるでキスするような体勢にユウジの顔は瞬時に赤く染まる。ちなみに謙也の顔は林檎みたいに真っ赤や。
「なぁ、ユウジ…俺にせん?」
「な、なな何言って…俺には小春が…!」
真っ赤な顔で拒否されても何ともないわ。寧ろそそるんやけど。クスクスと面白そうに笑う俺とは反対に焦り始めるユウジ。
「…春樹、ちょっとは自重しや」
「そんな連れん事言わんといてやー」
ぱっ、とユウジから手を離すと昼食を食べ終わったらしい部長の蔵に振り返った。今日も綺麗やんなぁ…。髪なんてサラサラやん。
「俺、蔵の綺麗な顔が快感で歪むところを見てみたいわ」
「あほか」
「なぁ…蔵?」
蔵の直ぐ前に屈み込むと蔵の瞳に俺を写させる。あぁ、ホンマに綺麗や。この顔が快感で歪む所を想像するだけでゾクゾクする。
「…俺とイイ事…せぇへん…?」
蔵の顔に自分の顔を近付けて耳元で囁いた。知ってんねんで、蔵が耳弱い事。案の定蔵はピクンと体を震わせた。可愛い。
「かわ「むぞらしか」
俺のセリフ奪わんとって。後ろから現れたのは放浪癖のある千歳千里。今日も身長大きいなぁー。俺と10cm差だ。
「なぁ千歳…俺に抱かれてみぃひん?」
千歳の俺に対する愛があれば身長差なんて関係なく抱けるで?ぼそりと千歳の顔を引き寄せて耳元で低く呟いた。普通のヤツならこれで落ちてくれんねんけどな。
「遠慮しとくばい」
またフラれた。全く、今日は厄日か。まぁ千歳は蔵が好きっぽいから少しダメ元で言ってみたんだけど結果は予想通りだった。
「それじゃあ、小春「浮気か!」…ですよねー」
くそう。ユウジのガードは無駄に固いわ。ちょっとくらいえぇやんけ。恋愛は刺激的な方が燃えるのに。例えば浮気だけど本気の恋愛とか、不倫で体だけの関係だけど相手の心も欲しいとか…。
「せやからフラれるばい」
「な、何やて!?」
俺の何がいけんのんや!半ば半狂乱で千歳に掴み掛かる。今回のサッカー部の恋人で1ヶ月に7人にもフラれた事になる。記録更新中やんか。
「ちょっと可愛いからって放置プレイで苛めようとするから!?ワザと妬かすから!?意図的に修羅場作るから!?」
「うわ…そんな事してたんですか」
「…そらアカンやろ」
「自業自得や、死なすど」
「春樹リンも意外と鬼畜ねー」
「なぁなぁ、ほうちぷれいって何?」
「ワイも知りたいー、白石教えてやー」
外野の呟き(プラス空気の読めていない謙也と金ちゃんは置いといて)は聞こえないふりで誤魔化す。だから駄目なんたい、と千歳に怒られた。何でも千歳が言うには相手を気持ちよくしてこそ大いに意味があるらしい。深いい話や。
「師匠と呼ばせて下さい」
「好きにしなっせ」
ピロリロリーン。春樹と千歳は師弟関係を結んだ。春樹は「気持ちよくイかせてやる」を覚えた。
「なぁなぁ、ほうちぷれいって何?」
誰からも教えてもらえなかったらしい謙也が俺に尋ねて来た。恐らく言った本人に聞く事が一番いいと判断したのだろう。未だに金ちゃんは白石にしつこく尋ねている。
「…ほんまに知りたいん?」
「おん!」
眩しいくらいの笑顔で謙也が俺に笑いかける。放置プレイすら知らんかったとは…どんだけ純情やねん、謙也。あ、せや。いい事思い付いた。
「教えたるから、こっちおいで」
「?」
謙也の手を引くと屋上からこっそりと退散した。生憎、白石は金ちゃんの質問攻めに困っているし、師匠(千歳)はそれを微笑ましく見つめている。光はiPodで音楽を聴きながらぼーっとしてる。ユウジは小春に浮気ちゃうで、と必死に弁解中(ま、俺のせいやけど)。師範はゆっくりと昼食中で、誰にも気付かれる事はなかった。
「え、…春樹…?」
「さて…丁寧に教えたるわ」
人が滅多に来ない放送室に謙也を押し込んで鍵を閉めると、ゆっくりと不安がっている彼に歩み寄る。なぁ、謙也。俺が一から教え込んでやるわ。
「ひっ、や…あっん…春樹、も…やめっ!」
「んー?聞こえへんなぁ」
そこら辺のコードで両手を縛って拘束し、謙也はほぼ全裸状態。俺はイヤホンを耳にはめて聞こえないふり。イきたいらしく謙也は必死に俺の名前を呼んでいる。
「…可愛ぇよ、謙也」
プレイボーイ
(さて、どうやってあげようか)
(ま、気持ちよくイかせたるわ)