空が青いという不都合 | ナノ








「っし」

一通り買った生活用品を部屋の中の押し入れ等に収納し終わった俺は小さく息を吐き出した。また子ちゃんと別れて買い物を開始して数時間、俺は生活に必要な用品を全て買い揃え終っていた。

これからこの部屋で生活するのだと考えると、何だかとても不思議な感じがした。万事屋ではない此処は少しだけ息が詰まる様だ。そんな事を考えても、俺は万事屋に戻る事は出来ないのだけれど。

「玄」

唐突に俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。ゆっくりと振り返ると、部屋の入り口には晋助が煙管を口にして立っている。

「…何?」
「来い」

俺が彼の言葉の理由を聞き出す隙もなく、彼は先に踵を返して歩き出してしまった。そんな晋助に向かって小さく溜め息を吐き出すと、俺も彼の後に続いて自室を後にした。




「万斉さんに、武市さん…また子ちゃんまで」

晋助の後に続いて入った部屋には、良く見知った顔触れがいた。河上万斉、武市変平太、来島また子。他にも鬼兵隊の中でも世間に良く知られている人達。どうやら俺が連れて来られた部屋は、元々武器か何かの倉庫だったらしい。壁には刀や重火器などの武器が立てかけられてる。武器の類以外にも何かを製造するような機械が部屋の隅に置かれていた。

「晋助…まさか、」
「黙れ万斉」

俺を見て口を開いた万斉さんに向かって、晋助が冷たく言葉を放った。そうして彼が俺へと振り返る。晋助の瞳からはこれから発せられる言葉を予測することは出来ない。一体これから何があると言うのだろうか。

「…」
「…」

晋助が何も話さない為、部屋は沈黙に包まれている。こっそりと部屋にいる人達の顔を盗み見るも、皆真剣な表情をして変な緊張が漂っていた。そんな場所に一人場違いな俺。普段は俺を見るなり噛み付いて来るまた子ちゃんでさえも、口を開く事なく何処か遠い所を見つめている。

「半月後、俺達鬼兵隊は江戸の中央を破壊する」

静寂の中に響き渡ったのは、他の誰でもない晋助の声。俺がその言葉の意味を理解するのに、それ程時間はかからなかった。江戸には銀時達がいる。真っ先に俺が得た感情は『拒否』たっだ。




余った世界の寄せ集め