ガシャン!

部屋にいた全員が音のした方を見る。するとそこには呆然と立つ名と、その足元に散らばる花瓶と無残に散った花たち。みんなが見ていることに気付き気まずそうに目を背ける名。
しかしそんなことはどうでもよかった。


「大丈夫、名!!?」

謎解き本を投げ出して飛びついてくるキュウ。

「え、全然だいじょ――」

「ちょっとキュウどいて!どこか怪我してない!?」

そのキュウを押しのけ心配そうに覗き込むメグ。

「あ、ちょっと指先かすった――」

「はい、絆創膏!」

即座にかばんから絆創膏を取り出す数馬。

「え、でもかすっただけ――」

「ばっか、その前に消毒だよ!」

みんなの前に割り込み腕を取り、傷の様子を確めるキンタ。

「だからそこまでしなくても…――」

「………」

それを静かに見つめるリュウ。
ちなみに傷、とは人差し指の先っちょにちょび、とついた切り傷のことだ。本当に、ちょび、である。血も出ていないし、皮すら切れたか怪しいぐらいだ。
とりあえずはされるがままになる名。

みんな、こんな大げさにしなくても……このままじゃあたったこれだけで包帯まで巻かれそうだ……。
少し遠くに立っているリュウを見上げると、目が合った。

助けてくれたりしないかな……。

なんて思っていたら突然リュウがキュウ以下全員を押しのけ近付いてきた。そして名の前に跪き、

「リュ、ウ?」

「貸して」

言うや否や手をつかみ、ぱく、と指を口に含むリュウ。て、えぇぇぇぇぇぇぇ!?

「ちょ、リュ…何やって……!」

ちゅく、と吸い付き下から上目遣いのリュウ君。そこいらのアイドルよりも何倍も上手い。そして指を口に入れたまま、

「何って、消毒?」

そう言いまた指先を一舐めし、離れた。そして元の位置に戻り、また本を読み始める。なんという手際の良さ。一部始終を見守ることしか出来なかった他4人はただただ悔し涙を浮かべるだけ。

だって、

「………っ」

名のハートはとっくにリュウのもの。


いっつも後一歩で、奴に追い抜かされる。




the WINNER
(いつも後一歩で、)(奴に追い抜かされる)

end.



THANKS 7000HIT !!!
>> 逆ハー 甘 流落ち夢

まりか様、長い間お待たせしてしまって申し訳ございませんでした!いかがだったでしょうか?
一応逆ハーのつもりですが……orz
何を隠そう、管理人、これが逆ハー書くの初めてです(笑)
というわけで、駄作のきわまりになっているかもですが、よかったらどうぞお持ち帰りください!ありがとうございました!


07/11/03 初版
10/12/12 改稿 ゆん