無色に帰せよ 03



「心配しなくてもアタシは女の子に興味は無いから安心して」
「ふ、服を、脱がすんです、か」
「勿論よー」
「い、」
「嫌なんて可愛いわねン」


鼻を突かれた。呆然としていると、早速セーラー服のホックを外される。やばい。抵抗しないと、


「無駄よー。アタシたちボンゴレの暗殺部隊のヴァリアーだから、そんな細腕じゃ何も出来ないわ」
「っ、暗殺、部隊…?」
「やっぱり。何も分かっていないわね」


器用に服を脱がしていくおかま疑惑男に、若干焦りを感じる。しかし、もうこの際裸じゃなければ何でも良い。それより、この人は今なんて。


「大方転送システムか何かで間違って送られたんでしょう。アナタ、あんまりにも警戒心も戦闘意欲もないもの。でも、もしかしたら意図的にかもしれないわ」
「意図的にって、誰が、」
「アナタの能力を使う為よ」
「わたしの、能力…?」
「あら、意外と胸があるのね」
「っ、あああ!い、わ、えっ、」
「顔真っ赤よォ」


気が付けば、キャミソール一枚だけになってしまっていた。オホホホと高笑いをするおかま疑惑男。恥ずかしくなって、両手で前を隠す。


「ちょっと中を触らせてもらうわ」
「いいいいい、無理、無理です駄目です」
「じゃあ脱ぐ?」
「もっといやですっ」
「じゃあ仕様が無いわよ」
「っ、ひ、」


うわああああ無理無理無理。裸じゃなければ何でも良いとは思ったが、まさかこんなことになろうとは。しかも、いくらおかまかもしれないとは言え男に。なんだこれは。本当に辛い。ひいいいい。


はい終わり。その声と同時に抜かれる手に、私は安堵の溜息を吐く。相変わらず顔が熱い。


「それで、話を戻すけど、アナタの能力っていうのは、簡単に言えば炎を無効にするものみたい」
「ほ、炎…?」
「炎も知らないのねぇ。まあ、流して聞いて。これも推測なんだけど、アナタの半径1メートル以内に居ると炎が全く使えなくなるの」


下半身は割りと簡単に済ませてくれた。制服は着るなと言われ、代わりに渡されたのはYシャツ一枚。これだけなのだろうか。そういう眼差しでおかま疑惑男を見ていると、サイズが大きいからと言われる。私は渋々それを羽織った。ワンピースだと思えば、大丈夫だ。


「見ていて」


そう言って立ち上がり、指輪をわたしに見せる。指輪をわたしに向けたまま、徐々に徐々にわたしから離れていった。約1メートルほど離れたであろう所に指輪が来た途端、その指輪から黄色の炎が灯った。本当に、そんな能力がわたしに。


「分かったかしら」
「は、い…」
「まあ、詳しいことは後でね」


おかま疑惑男はハンカチを取り出し、わたしの額の血を拭ってくれた。随分と優しい。感謝の意を述べると、微笑んだ。


mokuji