※死ネタ
一年前からぼんやりと変化を悟った。一ヶ月前からはっきりと変化を悟った。一週間前から変化は僕の目の前にやってきた。
そうして、今日になった。
一度で良かったんだ。一度、彼女に話を持ちかければ良かったんだ。ただ、それだけで良かったのに。
どうしてなにも言わなくなったんですか。どうして部屋にこもるようになったんですか。どうして返事をしなくなったんですか。どうしてその花を集めるようになったんですか。どうして、
訊きたいことはいっぱいあったのに、僕はなにひとつ訊かなかった。
僕が彼女の秘密に関わることを恐れていたからだ。それを訊くことでいまの関係が壊れてしまう気がしていたからだ。
僕が、弱かったからだ。
「いま、なにを思っているんですか」
僕を嘲笑っているんですか。
「どうして、笑って、いるんですか」
ぽたり、ぽたり。雫がその白い花の上に落ちる。
「話しましょう。僕はあなたに訊きたいことがたくさんあるんです」
あなたに言いたかったことばが、やっと言えたのに。あなたはもう、答えてくれない。
「答えてください、青子さん、お願いです、青子さん、」
それでも、笑ったまま。
「青子さん、」
真っ白な百合に囲まれて眠っている彼女は、とても安らかな笑みを浮かべていた。
はなそう
(話そう)(花葬)
ツイッターで見た「最も美しい自殺の方法〜」より(2013/01/14)