「ねえさん!これ、これはなんて読むんですか?」
「んー、これはね、“にわか”って読むんだよ」
「なるほど。ありがとうございます!」
「いいえ。雪男くんは難しい本を読んでいるんだね」
「勉強のためです」
「それはえらいね。雪男くんは賢くなるぞ」
「えへへ…。それじゃあ、つづきを読んできます!」
「はい、いってらっしゃい」

「……やばい、雪男くんかわいい」
「頼むから息子たちに手を出すんじゃねえぞ」
「うわ、いたんですか神父」
「ずっといたぞ」
「影うすっ。あと、わたしにショタコンの気はありません」
「おまえ今どんな顔で雪男見ていたか分かってんのか」
「えっそんな顔に出ていましたか?別に性的な目でとか見ていませんよ!」
「雪男にもう近付くなよ?」
「いやですよ!あんなに懸命な少年を無下に扱うことなんて出来ません!」
「だっておまえ、雪男を食いそうな勢いだったぞ」
「ええー、でもー、雪男くんも燐くんも好きですからー」
「あと、メフィストからも言われてんだ。余計な人間を関わらせるなってな」
「余計ってあのピエロ親父…」
「あきらめろ」
「えー。うーん、あっ、神父!わたくし名案が思い浮かびました!」
「……なんだ、言ってみろ」


「神父とわたしが婚姻関係になればいいんですよ!」


「は、」
「そうです。そうすれば、余計ではなくなりますよ。あのふたりの後見人の嫁になるんですから!」
「いや、ちょ、おまえ、なに言ってんだ」
「よし!そうと決まれば早く式の日を決定しましょう。6月がいいとかわがままを言わないでくださいね」
「落ち着け!なんでそうなるんだ!」
「え?だって、そうすればわたしは毎日ふたりといっしょにいられるんですよ?問題ナシ!万事解決!ノープロブレム!」
「どこがだ!第一、おまえ、俺なんかと結婚したくないだろーが、こんなおっさん」
「あれ?神父知らないんですか。わたしショタコンの気はありませんけど、ファザコンの気はあるんですよ。年の差バンザイなんです」
「は、……」


「なんだ、とうさんけっこんすんのか」
「そうだよ燐くん。おねえさんと結婚するんだよ」
「ねえちゃんと?じゃあ、おれたちのおかあさんになんのか!」
「うん。嬉しい?」
「おう!ねえちゃんならだいさんせいだぜ。なあ、ゆきお」
「ぼくも、ねえさんなら……」
「よしよし、いい息子たちよ」


「お、おい、なに勝手に話進めてんだ!」
「燐くんと雪男くんなら、もう報告に行きましたよ」


「藤本神父!ほんとうですか!」「おめでとうございます!」「案の定ですね!」


「ほら、」
「ほらじゃねェ!おい、どうしてくれんだよ……」


「あの、神父、本気じゃないと思っていますか?」
「あ?あたりまえだろ…、おまえがそんなこと本気で言うわけねえだろ…」
「なに言ってんですか。わたし、本気ですよ」
「……、ハイ?」


「あのかわいいふたりと同じくらい、神父のことも好きなんですから」






結婚式はいつにしますか
(絶句した神父の顔を覗きこむと、神父は顔を真っ赤にしていた)






予想に反してへたれ神父にしてやった。かっこいい神父はまだ書けぬ。
神父神父うるさい友人へ。
(2012/12/18)