光る星を追いかけて





ちかちかと暗闇で光る青いものに興味をそそられた。人に会わない生活で退屈していたせいもある。ただ、真夜中に森の中を歩いてみたくなった。その青い光に誘われて。

ざくざくと落ち葉を踏みながら、カンテラを片手に足を進める。懐中電灯は電池が切れていた。カンテラの明かりはあまりにあどけない。照らしてくれる範囲は私の足元くらいである。けれども、わたしは歩みを止めない。青はいまだに輝いている。

ぐるぐると唸り声が聞こえた。あ、青がちらつく。木の後ろに隠れてふたたびちらつく青を見つめる。青は、青い炎は、男の子のからだから発していた。男の子は透き通るまでのきれいな炎をからだいっぱいに纏いながら、獣の鳴き声を上げている。どこかくるしそうな声だ。男の子の発火現象など見たことはなく、またその焔が青だということも知らず、ただ男の子がのたうちまわるさまを眼に焼き付けていた。

水、そうだ、水がいる。彼が燃えているのならば、たすけてあげなくてはならない。どこかから水を持ってくるよりも、彼自身を川に落としたほうが早いだろう。カンテラを置き捨て、男の子のほうへと一歩あゆみを進めた。灯りなどなくとも、そこら一帯は充分な明るさがあった。

男の子の眼光がするどくわたしを射抜く。

警戒のそれに変貌した鳴き声は、ためらいなくわたしへと向けられた。男の子は青の焔をまとったまま、こちらに飛びかかってくる。地面と背中が衝突する間は一瞬だった。後頭部が鈍く悲鳴を上げた。

わたしまでも火に包まれた。男の子のひとみの色が火の色といっしょで、きれいだなあと呑気に考えた。だって、この火はちっとも熱くない。柔なこの身をちっとも焦がそうとしない。ただきらめくだけの、うつくしい、ほのおだった。男の子はわたしの肩をつかんだまま、じっとにらみつけるだけである。

この炎は、男の子から燃え上がっている。その事実は間違いない。草木を炭にする炎はわたしたちを包んでいた。
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