最近バニーちゃんの様子が凄く変だ。何と言うか、こう、そわそわしている。落ち着いていない。と皆に言ったら「別にいつも通り」と返された。そうか?否、絶対に違う。どうやら相棒である俺にしか分からないようだ。…ちょっと優越感。
「何やってるんですか、虎徹さん」
「うぉっと!?よ、ようバニー!」
「どうも。…今、凄く不審な動きをしていましたよね?今度は何なんですか、一体」
そう言ってバニーはため息を吐いた。何だよその態度。おじさん泣いちゃうぞ?いや実際は泣かないけど。そこまで涙腺緩くはないけど。
「いや…まぁ、うん、ちょっとな!」
「僕に言えない事なんですか?」
「いや言えない訳じゃ…あ、でも、確かにちょっと言いにくいかなー…なんて」
本人に聞くのもなぁ…。冷や汗を流す俺の言葉に、バニーはそっぽを向いた。そして視線だけを俺に寄越す。あ、これだ。落ち着きがなくなる前兆。見とけよ皆…って皆居ねぇんだった!
「…もしかして、また娘さんの事で何か?」
「え?あー…あぁそう!いや昨日楓がさぁ、サイン!バニーのサインが欲しいとか言ってきてな?」
我ながら苦しい言い訳だと思う。でも、楓とバニーを結ぶものなんて、サインぐらいしか思い付かねぇ!ごめんね楓!
「バニーちゃんも忙しいんだよって言っておいたから、別に大丈夫だとは思うんだけど…代わりに何か贈ってやろっかなーとか考えたんだよ」
俺が言い終わると同時に、バニーは眼鏡をくいっとやりながら言った。
「それのどこが言いにくい事なんですか?スラスラ言えてますけど。それに、代わりなんか用意しなくても、僕のサインで良ければどうぞ」
「………えぇ!?良いのか!?」
「構いませんよ。…って、何驚いてるんですか」
…バニーちゃんって、こんなにサービス精神溢れる奴だっけ?俺は驚きのあまり二、三歩後退ってしまった。バニーは訝しげに俺を見る。「本当に良いのか?」と聞いたら、すぐに返事が返ってきた。
「勿論です。楓さ………娘さんの為なら、いくらでも」
…楓、今度帰った時に、パパから良いものをプレゼントするからな!

  始まりさえも    決められない

「バニー、楓からお礼の手紙だぞー」
「わざわざありがとうございます」
しかしこれから俺の相棒と愛娘の文通が始まるとは、誰が予想しただろうか。


title by 揺らぎ

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