私はあいつが嫌いだ。あいつと言うのは今話題のコンビの片割れ、バーナビー・ブルックスJr.の事。前々から好きにはなれなかったけれど、最近、特に嫌いになってきた。長年の悲願であった親の仇を取り、その事で相方のタイガー共々有名になり、日常を楽しむ余裕と言うものが生まれてきたのだろうか。けれどなぜか、私に対してはタイガーへの態度の100分の1くらいしか優しくない。…と、思う。
「今日のダンス、いつもより切れがありませんでしたね」
「…わざわざそれを言いに来た訳?」
ライブ後楽屋で休んでいたら扉がノックされた。開けるとそこには、あのバーナビー。…最悪。私の中で顔を見たくない奴ランキングのトップなのに。ため息を吐きたい気分、それに気付いたのだろうか。バーナビーは軽く頭を振ると言った。
「休憩のお邪魔をしてすみません。それじゃあ僕は、」
「帰るの?」
「はい」
「結局何の用だったのよ」
私の言葉に、バーナビーは困ったような笑顔を浮かべた。…なんて、似合わない表情。
「最近の貴女は元気が無いように感じたので、確かめに来ただけですよ」

1に1を足してみましょう、2になった人は失格です

私はあいつが嫌いだ。あいつと言うのは最近私の調子を狂わせるのに大嫌いにはなれない、バーナビー・ブルックスJr.の事。


title by 揺らぎ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -