以心伝心、という言葉がある。今のボク達はまさにそんな感じなのだと思う。
「キースさん、キースさん」
「何だいホァン君」
ボクはあの人の名前を呼んだ。あの人はボクを振り返った。それだけだと何が以心伝心だ、となるけど、それだけじゃないんだ。あの人は何だいと聞きながらも振り返って両手を広げた。ボクはその鍛えられた身体に飛び付いた。あの人は広げていた両手でボクを包んだ。そう、これが求めていたもの。あの人は声にしなくても分かってくれる。勿論、ボクだってあの人の求めるものが分かる。
「キースさん」
「ん?」
ボクを覗き込むあの人の頬に、ボクは背伸びをして唇を落とした。

盲目の兆し

こうしてボク達はお互いが居なきゃ堕落するまでの関係に至るのだ。それがどうした、と思うけれど、ね。


title by 揺らぎ

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