「楓、美香、あたし今夢を見てるかも!」
「亜沙美、夢じゃないよ!」
「そうよ、現実よ」
楓と美香は亜沙美のほっぺたをムギュウっとつまんだ
(ややややや、柳生君が!このクラスにいる!)
お昼休み購買から教室に戻ってくると、どうやら柳生は仁王に話があるのか仁王と共にいた
柳生が大好きな亜沙美にとっては、もう大興奮だ
「おや、桜崎さん。こんちにわ、足の具合はどうですか?」
楓に気付いた柳生は声をかけてきた
「柳生君、こんにちわ。足はこの通りすっかり大丈夫だよ」
「俺がちゃんと手当てしてあげたからのぉ」
柳生は普通に歩いている様子を見て安心したみたいだった
「あの時はお騒がせして、本当にごめんなさい。」
「切原君が迷惑をおかけしましたね、でももう桜崎さんにつきまとったりしないと思いますよ」
「真田にこってりしぼられたみたいじゃ」
「あぁ、切原君も昨日下駄箱で会った時にもう"追いかけまわしたりしない"って言ってた」
3人で雑談してると、楓の背後で亜沙美が不機嫌なオーラを全開にしていた
「亜沙美、落ち着きなさい」
美香が亜沙美をなだめていると、陽気な声と共に教室のドアが開いた
「美香〜♪一緒に昼メシ食べようぜ!」
「煉…」
「出た、美香の彼氏」
教室に大声で入ってきたのは美香の彼氏の煉だ
クールな美香に対して彼は元気一杯で、正反対な2人だがとても仲がいい
「なぁ、美香!今日俺のクラス家庭科の授業で調理実習でお菓子作ったんだよ!美香のために作ったんだから、渡しに来たんだぜ!そのついでに一緒に昼メシ食おうぜー!なっ、いいだろ?」
煉はうるうると美香を見つめた
((耳と尻尾が見えるー!!!))
美香を見つめる煉の姿は例えるならば、捨てられた子犬のようだった
ちなみに美香はこの煉のうるうるに弱かったりする
「わかったかわよ…一緒に食べるわ。…ということで、2人ともごめんね」
煉は嬉しそうにし、楓と亜沙美は"わかった"とうなずいた
「いつみても、仲がいいですね。あのお二方は」
「柳生君って確か煉君と同じクラスだったよね?」
「えぇ。そりゃもう、今日の調理実習ははりきっていましたよ、美香さんのためにね」
簡単に想像できてしまう姿に、楓と亜沙美は顔を見合わせて笑った
するとまた教室のドアが勢いよく開いた