週一のオフの日はなまえちゃんの家に遊びに行ってごろごろするのが習慣になってきた。 ちょっと前まで彼女を怒らせてしまって門前払いをくらい、甥の通うバレーボール教室に顔をだしていたが、無事仲直りをしてこうして今日もだらだらと過ごしている。 「なまえちゃんってさぁ、マニキュアとかしないの?」 「なに、いきなり…」 「いやせっかく綺麗な爪してるのに何もしないんだなーと思って。」 「学校行くとき落とさなきゃいけないし、めんどくさい。」 「えー、もったいない。」 マニキュアを嫌う男が俺の周りには多いけど(岩ちゃんとかね!)、俺はゴテゴテギラギラしてなければマニキュアも化粧も好きだった。 かわいくなろうといじらしく努力しているという好感が持てるからだ。もちろんしていない子もそれはそれで魅力的だと思うよ! なまえちゃんは落とすのがめんどくさいって言っていたけど、だぶんこれは… 「なまえちゃん、自分じゃ上手く塗れないんでしょ?」 「!!」 「ぶきっちょさんだもんね〜。」 「うるさいいいい」 「項垂れないで、安心してよ。及川さんがキレイに塗ってあげるからね!」 なまえちゃんのお姉さんのネイル道具一式を拝借してさっそく始める。 爪の表面の見えない汚れをふき取り、ベースコートを塗る。マニキュアの色は色白のなまえちゃんの手に良く映える淡いピンクを選んだ。 うん、綺麗。 「…おいかわくん。」 「ん〜?」 「…手馴れてるね。」 「ヤキモチ?なまえちゃん、俺が誰かにこーゆーことしたことあるんじゃないかって思ってるの?かわいいなぁ。」 「やっぱり黙ってよ。」 「ひどい!…ふふ、でもね、はじめてやったよ。まぁ俺なまえちゃんより器用だからね。」 一塗り一塗り丁寧に。俺のありったけの愛情も一緒に込めて塗った。 仕上げにトップコートを重ねて、お姉さんは速乾スプレーも持っていたようなので活用してみる。 なまえちゃんの指先はより魅力的になって、やっぱり落とすのがもったいないなぁなんて思った。でも薄いピンクだし、ばれないんじゃないかな? 「さて、お礼はなまえちゃんの身体でいいよ。」 「…えっ、そんな流れじゃなかったよね?!」 「なんかなまえちゃんの爪見てたら興奮しちゃった!」 「は、はぁ?!」 「爪、思いっきり立ててよ。俺の背中に。」 「…へんたい。」 「でも好きでしょ?」 そんな変態な俺がさ、なんてなまえちゃんの一番好きないつもより少しだけ低い声で誘えば、真っ赤になってコクリと頷く。 これからかたちの良い綺麗な爪が俺の背中に細い傷をつくると思うと逸る気持ちが抑えられず、性急になまえちゃんの口を塞いだ。 |