ストロベリー・シェイクと乙女心


ホテルのベッドで横になってくつろいでいた承太郎の部屋の扉が控えめにノックされた
返事をするとゆっくりと扉が開けられてナマエが顔を覗かせた

「承太郎…今いい?」
「どうした?」
「えーっと……その買出しに着いて来てくれない?」
「さっきじじい達が行っただろ?」
「!!えーと…ほら、あの買い忘れてた物があって…」
「チッ…仕方ねえな」

めんどくさそうにベッドから体を起こして承太郎は立ち上がり、帽子を被ると「さっさと行くぞ」と部屋を出て行くのでナマエも慌てて後を追いかけた
そんな二人を影から見つめる姿があり…

「上手くいくといいですね」
「承太郎ばっかりなんでモテるんだろうなー」


* * *

承太郎の母親を助けるために自分達はエジプトに向けて旅をしている
が、敵も馬鹿ではなく真っ直ぐにエジプトには向かわせてくれない、何度も邪魔があり遠回りな旅になっている。ナマエもスタンド能力が目覚めて彼らと共に旅をしている
承太郎とは小学校から一緒だった、無口で無愛想だが時々見せる優しさに自然と惹かれていった。高校に入ってから彼は女の子達からモテ始めた。なのでやたらと近づいてしゃべることができなくなってしまい、この旅のおかげで久しぶりに昔のようにしゃべることができて嬉しかった

「承太郎の事好きなんだね」

ある日花京院にきっぱりと言われた、自分の気持ちが彼にバレていたのだ

「告白してみたら?」
「…今はそんな場合じゃないし……」
「…ならデートぐらいはいいんじゃないかな?誘ってみなよ」

デートか、とナマエは考えた。告白はこの旅が終わってからでいいとしてデートぐらいはしてもいいんじゃないか、しかしデートとはハッキリ告げずに買出しという口実で承太郎を誘う事に成功した


「で?何買うんだ?」
「え、あ…えーとけ、化粧品を!」
「化粧品?じじいが何か買い忘れたんじゃなかったのか??」

しまった、というような顔をしたナマエ。買出しなんて口実でただ承太郎と一緒に出かけたかっただけなのだ。承太郎は眉間に皺を寄せて彼女を見つめている
ここはハッキリというしかなかった

「ご、ごめん承太郎…ジョセフさんの買出しってのは嘘で……その、承太郎とちょっと気晴らしに出かけたくって……」
「………」
「(む、無言…っ!怒ってるのかな?プッツンしたかな?)」

どうしようと顔を俯かせているナマエに承太郎はやれやれだぜ、とため息をつくと先に歩き出す。もしかしてこのままホテルに帰るんじゃないだろうか?
顔を上げて声をかけようとした時だった

「じょ「何してんだ、とっとと行くぞ」
「え…?」
「…たまにはいいだろ、付き合ってやるよ」
「!…う、うんっ!!」

彼はちっとも怒っていなかった、ナマエは急いで彼の元へと走り一緒にデートすることになった


「そこのお嬢さんどうだい?ブレスレットは!!」

街を歩いているとブレスレットを売っている中年の男に声をかけられた、男は手招きしてナマエを店に来させようとする。少しだけ興味があったのでそこの店を覗いてみる事にした

「わ…綺麗…」
「お嬢さんお目が高いね!それウチの店で一番人気の物なんだよっ!!普段売り切れてるけど今日たまたま入荷してそれが最後!」
「へぇー確かにすぐ売り切れるのはわかる気がする…」

ちらり、と値札を見てみるがやはり少し高い。綺麗な色で欲しいのは欲しいのだがここは諦めるしかないと思った時だった

「じゃあそれくれ」
「え?承太郎!?」
「まいどありー!よかったね、彼氏に買ってもらって!」

店の男に言われてナマエは首を横に振って否定する、ブレスレットを手に入れると承太郎にお礼を言った

「あの…ありがと」
「気にするな」
「…一生大事にするから」
「……そうか」

承太郎はふっ、と笑うとナマエの頭に手を乗せてガシガシと撫でる
大きくなった男らしい手に心臓がドキッと鳴った
彼女から手を離して時計を確認するとそろそろ帰らなければならない時間帯になった

「帰るか…」
「うん、今日はありがとう…」
「……日本に帰ったら、またどこか行くか」

まさか彼から誘いが来ると思わなかったのでナマエは驚いて目を丸めていたが嬉しそうに微笑んで返事をした




**
「さよならミシェル」15万HIT記念リクエスト企画にて、水瀬様より承太郎夢を書いていただきました。
旅の途中で短いデートをしたい!というワガママがこんなにときめくエピソードになるなんて…!(しかもお土産付き!)
周りに見守られながら育つ恋愛関係がほくほくしていて大好きです!
素敵なお話をありがとうございました。「さよならミシェル」これからも応援しております^^*






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