Charlotte
バタークッキーさくさく、香ばしまろやか。ひとくちアップルパイ、ぱりぱりしっとり。クランベリーグミ、ちょっと酸っぱい。ハッカ色のキャンディ、なんとライチ味。これはこれで。海外のお菓子は面白い。
「おい」
「はい」
返事はすれども手を止めないのが私流。ぱぺぺと開封するのは国産、大好物のプレッツェル。
「てめー、メシのことも考えろ」
「世の中には別腹って概念があるのよ」
みんなと囲む夕食前のお楽しみ、チョコレートの甘い香りにゆるむ頬。片眉を上げて不満そうな承太郎くんには最初の一本をあげましょう。
「あーん」
「……」
「ほら。あーん、は?」
対峙すること数秒、先に折れたのは承太郎。僅かに開いた唇にチョコレートの側を押し込んで、私は二本目をいただくことにする。
ぽりぽりと五つ目を収納する私。半分しか減っていない承太郎。甘いもの苦手なんだろうか。残ったそれと同じ長さ、煙草の方がいいのかな。ああ、溶けゆくカカオがもどかしい。
「いらないのなら」
わたしにちょうだい。真っ赤な舌をのぞかせねだるナマエに思考が止まる。俺もおかしいがナマエはもっと、どうしてここまで。
「いいぜ、やるよ」
「ほんと?」
受け取った菓子に執着はない。食べかけでいいのなら、くれてやっても構わないと思う傍らで。
「ありがと」
自分ではなく菓子を見ながら礼を言う、ナマエの態度が気に入らないとも考える。食べかけのそれ、艶やかな微笑。いただきます、と肩に乗せられた腕をひとくくりにして押し倒す。
「あれ」
「気が変わった」
邪魔な甘味は灰皿。菓子の乗ったそれはテーブル。空いた手のひらは引き締まった彼女の細い腰。柔らかい肌。あれだけよく食うくせに無駄のないライン。そのくせ乳だけはでかいのだから、これが
「……エロい体しやがって」
執着せずにいられるか。
(めしませ、わたし)