「ひそか、っ…も、っと、ゆっくり…っ」
「ウン?ああ、もっと、奥まで欲しいって?」

 彼女の言葉を聞き流して腰を奥まで押し付けると、ハルは声にならない悲鳴を上げて背中を仰け反らせた。何処もかしこも細く頼りない身体をしたハルだが、中でもその白い首元がどうにも無防備で、傷を付けてみたくなる。
 実際にそんなことをしたら、か弱い彼女はものの数秒でその命を途絶えさせてしまうだろうけれど、どうしても、滑らかで薄い肌の下にある血脈から熱い赤が噴き出すところを見たい。───そんな淡い想像をしただけで更に昂ぶってしまった下半身に、ハルは短い喘ぎ声を漏らした。

「〜…っや、ぁ、…も、ゆるして、」
「クク、あんまり煽らないでくれよ…」

 追い打ちをかけるように目の前で揺れる乳房の突起に吸い付くと、自身を埋め込んだ秘部の内壁がひくひくと痙攣する。やんわりと噛めばきゅうと一層きつく締まる。更に力を込めて噛むと彼女はびくりと脚を痙攣させて達した。
 
「…痛くすると感じるの?」
「ちが、…っ」
「でも、ほら、イイんだろ?」

 確かめるようにもう一度噛んでみせると、やはり彼女の身体は正直な反応を返した。ハルは自分が信じられないという顔でいやいやをするように首を振っているが、彼女自身が一番良く分かっているだろう。この事実は否定のしようがない。
 確かに以前の彼女ははこんなふうに乱れるような身体ではなかった。痛みを快楽に変え、感じいったような、はしたない声をあげることもなかった。その変化を齎したのが他でもない自分だと思うと喉が引き攣るほど気分が良い。───そう、彼女の身体を変えたのはボクだ。

「…っ、…ぁ、あ…っ」

 抽送を一層深くして、腰を揺らす。届き得る一番奥の、子宮であろう部分に先端が触れると彼女の顔が歪む。鈍い痛みと、それに伴う強過ぎる快楽の波がハルの身体を押し流しているらしい。人間、強い痛みを感じる時と強い快楽を感じる時は同じような顔になるというが、今のハルもまた、何ともそそられる表情をしていた。

「…イイのかい?」
「ぅあ、…っんん、」
「ここ、好きだねえ」
「…っ〜…あぁ、ん…っ」
「…クク、ハル…良すぎて喋れなくなっちゃった?」

 そういえば、以前抱いたことのある女性に言われたことがある。ヒソカのそれは奥に届き過ぎて、癖になっちゃう、と。別にハルをセックスジャンキーにしたいわけではないが、他の男では満足出来ないような身体にしてやりたいとは思う。
 そんなことを彼女本人に言ったら、途轍もなく嫌な顔をされそうだな、とボクは密かに嗤った。嫌がる顔も見てみたいといえば見てみたいが、そんなことでセックスを拒まれては困る。ボクはそこまで考えて、はたと気付いた。
 ここ暫く、他の女を抱いていない。
 ───そんなにもボクは、彼女の身体に嵌っているというのだろうか。気付きたくもなかった事実に漸く気付いて、ボクはやはり密かに嗤った。でも、こんなのは駄目だ。認められない。彼女も、ボク無しではいられない身体にしてやらなければ。


所詮は不平等に満ちている
20141019
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