依頼通りにターゲットを殺したときには返り血の一滴も浴びなかったけれど、噴き上がった血の匂いはどうしても服や身体にこびりついているようだった。
 仕事から帰った私を待っていたらしいヒソカはその匂いを敏感に感じとり、こっちの鳥肌がたつほど興奮したオーラをぶつけてくる。そんなものに興奮するなんて彼は本物の気狂いに違いない。

「ねえ…やっぱりキミも、殺った後は興奮したりするの?」
「何、っ…、ん……」

 ヒソカに唇を塞がれ、自分はそんなにも隙だらけなのだろうかと逡巡している間に態勢の優位もとられ、そうして一度彼に捕まると最早抵抗する気も起きなかった。そもそも単純な力比べでは彼に敵うはずもない。
 私自身、疲れていると同時に少なからず気持ちも昂ぶっているのだろう。だから、始まってしまったものを止めることも出来なかったし、無駄と分かっていて足掻ける労力もなかった。ただ与えられる快楽に身を任せている方が圧倒的に楽なのだ。

「クックック…仕事の後はやっぱりいつもより感度が良いネ」
「っ…ん、…ゃ、っ」

 彼の残酷なところは、こうして言葉で私を嬲り、ただ身を任せて流されることを決して許さないところだ。自分の中の無意識を自覚させるようなその言葉を否定することもできず、ただ煽られてしまう私もきっとどうかしている。
 そうやって耳から優しく嬲られながら、昂ぶったオーラを纏った彼の指に肌をなぞられるとゾクゾクと肌が粟立った。太腿を這った彼の長い指が下着をよけ、浅いところで粘膜を擦る。せり上がってくる何かに我慢出来ず、ヒソカに爪をたてると彼のオーラが一段と興奮を伝えてきた。

「痛いよ、ハル…強請ってるのかい?」

 痛いなんて思ってもいないくせに、ヒソカはそう言うとナカを掻き回していた指を引き抜き、私に見せつけるようにべろりと舐めた。本当にヒソカは、私の嫌がることを的確にやってみせる。

「ん〜…いい味だ」

 ヒソカは多分最低の男だった。こんなにも最低なのに、自分のことを最低だとは微塵も思っていないところが、あるいは最低でも構わないと思っているところが、救いようもなく最低な男だった。
 自分の性器を取り出したヒソカが、粘液で自身を入口で何度か滑らせながら、ちらりと私の顔に視線を投げる。目があったと思うと細い目を更に細く歪めて、なんの遠慮もなく奥まで一気に押し入ってくるから、私はその圧迫感に息を詰めた。

「〜っ…、ん、っ…ぁ…ア、」
「ああ、気持ちイイ…」
「、っ…まだ、動かな、…で…っ」
「そう言われると、ねえ?」

 小さく痙攣する私の身体を抑え込み、心底楽しそうに、そしてどこか子供のように喉の奥で笑うヒソカは、どこまでもそういう男だった。


Kill me baby, xxx.

20130821
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